特定非営利活動法人( 認定NPO法人 )
BHNテレコム支援協議会
                                                                                                   
 
(更新:2010-04-12A)
ラオス遠隔医療調査


ラオス保健省からの要請で遠隔医療システム構築支援事前調査

 ラオス保健省の要請に応えて1月17日より31日までの2週間、ラオス保健省、病院等を訪問し当該システム構築支援に関する事前調査を行いました。
 なお、この事前調査費用は外務省平成21年(2009年)度国際開発協力関係民間公益団体補助金を利用し実施したものです。(写真:首都ビエンチャンにあるラオス最大規模のマホソット病院で遠隔医療の概要説明をする茂呂事務局次長)

調査実施の経緯
 平成20年(2008年)10月ラオス国保健省がJTEC(財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力)の支援を受けて保健省ICTマスタープランを作成しました。
 そのマスタープランの1つに遠隔医療システムが掲げられ、翌年保健省からBHNに協力要請がありました。その要請に応え、本年1月17日より31日までの2週間、マレーシア・サラワク州及びサバ州の遠隔医療システム構築で技術協力をいただいた横野・植田両会員の参加を得て、ラオス保健省、郵電公社、科学技術庁、医科大学、病院等を訪問し当該システム設置に関する事前調査を行いました。

ラオスの医療事情
 ラオスも、この10年間で、経済成長率は年率7.2%(2008年推定)、国民一人当たりのGDPも859ドル(2008年推定)と2.5倍に急増するというと驚異的な経済成長を達成しています。これは、特に、中国からベトナムに至るアジアハイウェーの完成やバンコク−ノンカイ(タイ・ラオス国境にあるタイ北端の町)を結ぶ鉄道がビエンチャンにまで開通したことが、大きな要因と考えられます。
 保健医療事情も、WHOをはじめとする国際機関や日本のJICAなどの海外からの支援で、かなりの改善がみられました。
 主な病院としては、首都ビエンチャンに2つの国立総合病院と6つの専門病院があります。

 その他の医療施設としては、各県には県病院が、郡には郡病院があります。ヘルスポストと呼ばれる診療所は、ラオス保健医療の末端組織です。
 首都にある大病院の建物や設備は、海外からの支援で、近年顕著な改善がみられました。しかし、地方の比較的大都市にある県病院でも専門医が不足しており、例えば、放射線画像を読む読影医がいない病院もありました。大半のヘルスポストには、今でも補助医や看護師が1〜2名配置されているだけのところが多く、医療設備は血圧計が備えられている程度とのことでした。従って、首都と地方の保健医療サービスの質には大きな格差が生じているというのが現状です。
 因みにその他の医療施設として、医師が公的勤務時間外に診療する私設クリニックがありますが、政府は入院設備を持つ病院の開院は認めていなません。医師、看護師、その他医療従事者はすべて公務員で、給与は月数10米ドル程度と言われています。

保健省で
 保健大臣も出席した会議でプレゼンをし、大臣からは 遠隔医療システムの導入には最大限の協力を惜しまないとの言葉があった
 保健大臣(中央)を挟んで左から植田会員、茂呂事務局次長、横野会員、相澤参与
ラオス電気通信公社(ETL)
 各県でもこの国のIPネットワークサービスのメジャーであるETLの支店を訪問し、インターネットアクセス回線の状況を調査。ADSLに加え、オプティカルアクセス ラインのサービスメニューも県の中核病院がある都市のレベルまでは 用意されており、大容量の回線を必要とする医療画像伝送のネットワー クを構築する素地は整っていました。

 当協議会では、1998年から今日まで、ラオスの保健医療サービスの向上を目的に、設備の整った保健省や中央の病院と地方の通信手段のない病院やヘルスポストを結ぶ医療無線連絡網構築に携わり、現時点で約300箇所の医療施設に通信手段を構築し、現在もメンテナンスサービスを行っています。その結果、母子保健や小児感染症の予防、伝染病発生などの緊急時の連絡手段として保健医療の向上に寄与しています。
 政府が行った2000年小規模国民衛生状況調査によれば、都市部での病院へのアクセスは平均8km ですが、地方では100km 近くになるところがまだ多く存在しています。従って病気や事故に遭っても半数近くの人はこうした医療機関には行かず、比較的手軽に購入できる薬品で対処している傾向にあります。一人の年間平均医療費は、10年ほど前で約4ドルである。
(以上の数値等はhttp://www.jomf.or.jp/html/laos_pdf/3_1_1.pdf ラオスの保健・衛星・医療事情より)
マホソット病院で
 医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ(東京都千代田区飯田橋 山田匡通 理事長)より寄贈された、胃内視鏡検査機器を持参しました
 フランス植民地時代を彷彿とさせるサバナケットの県病院で


調査結果の概要は、以下のとおりです。
 1.県病院から首都ビエンチャンの病院への問い合わせは日常的にある
 2.地方の病院からの問合せ先は一病院に限定されず、専門により数箇所になっている
 3.問合せの統計データは、県病院、首都病院どちらにも残されていない
 4.問合せ手段は、一部e-mailを利用しているが、電話、FAXがほとんどである
 5.郡部の病院ではICTスペシャリストは配置されていない
 6. 医師の中には相当のICT知識を有しプログラミングまで手がけている医師もいる
 7.インターネット接続はどの病院もあるが、料金の関係から512kbps以下である
 8.プロバイダにはOptical Lineの契約メニューがあり、県病院までは接続可能である
 9.インターネット接続料などのランニングコストには経済的に保健省補助が必須である
10.システム使用言語は、メニューは英語でも依頼内容、コメントなどはラオ語が必須である
11.トレーニングなどにはラオ語の通訳が必須である

 こうしたラオスの保健医療を取り巻く事情から、遠隔医療システム導入の必要性が理解よくできました。
当会でも、10数年に及ぶラオス支援の経験を活かして、遠隔医療でもラオスの保健医療にサービスの向上に寄与したいと考えています。

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