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マレーシア・サバ州からサラワク州への遠隔医療システム移設完了

 

遠隔医療システムの移設の背景

 

当会は長年にわたるマレーシアでの遠隔医療システム構築事業の1つとして、外務省日本NGO連携無償資金協力の補助金を得て、2008年にマレーシア・サバ州の州都コタキナバルにあるクイーン・エリザベス病院と、州で2番目に大きいタワウ市にあるタワウ病院に、遠隔医療システムを設置しました。

(事業の概要についてはこちら

 

しかしその後、保健省により新システムがサバ州の病院に配置された為、使われなくなったことが判明しました。そこで、隣のサラワク州保健局と共にシステムの再利用策を検討した結果、サバ州の機器を、サラワク州の病院(州都クチンにあるサラワク総合病院、ミリ、ビンツル及びシブの各病院)に移設し、遠隔医療関係の設備が設置されていない整形外科の医療画像伝送システムとして利用することが決定されました。本年5月にはサラワク州保健局とBHNとの間で覚書を取り交わし、その後システム移設の為の準備を進めてきたところです。

 

 

システム移設が完了

 

7月25日にマレーシア・サバ州からサラワク州への遠隔医療システム(医療画像伝送システム)の移設が完了しました。同システムはミリ病院の整形外科の医療画像を、サラワク総合病院(S.G.H)の整形外科専門医が閲覧し助言を行えるようにするものです。

 

今回の移設は、サバ州のシステムそのものを単純に移設したのではなく、サラワク州でそれらをより快適に有効活用してもらえるよう、現地の現状をしっかりと把握した上でシステムに工夫を施し設置を行いました。

現地でうまく活用されれば、インターネットを使った発展途上国での画像伝送の標準ともなりうる方式です。今後、当会の他の遠隔医療関連事業にも大いに貢献することが期待されます。

 

 

移設作業の詳細と工夫

 

サラワク州ではインターネットの最高伝送速度は2Mb/s程度で、医療画像を伝送するための十分な速度を確保するのが困難な状況にあります。それを克服するために、画像を保存するサーバーをミリ病院のサーバー室に設置し、同じ病院内のネットワークに接続される整形外科のクライアントパソコン(画像を取り込み、サーバーに送る機能を持つ)からサーバーに画像を送りこむ方式としました。このため、インターネットを利用した従来の方式より、飛躍的に快適に画像をサーバーに送れるようになりました。

 

ミリ病院とS.G.H.を結ぶ回線については、当初インターネット回線(最高下り2Mb/s、上り384kbps/s)を利用する予定でしたが、7月直前になり、政府専用線を利用できるとの連絡があり、サラワク保健局のネットワーク技術者が設定から試験まで実施してくれることになりました。政府専用線は、ミリ病院で2Mb/s(上下)、S.G.H.で4Mb/s(上下)の回線速度を持ち、かつ一般の回線より安定していることが予想できます。

 

ミリ病院のサーバーとクライアントパソコンの設置が終了したあと、S.G.H.の整形外科の外来診療室を訪問し、サーバーと接続する専用アプリケーションがインストールされたクライアントパソコンを設置しました。早速、サーバーと接続して画像を読み込んだところ、予想以上に円滑に画像を表示することができ、快適に使えることがわかりました。

 

 

S.G.H.の整形外科の病棟では会議室の一角にもう一台パソコンを設置しましたが、こちらは専用アプリケーションではなく、インターネットエクスプローラを利用してミリ病院のサーバーにアクセスする方法を採用しました。このようにするとサーバーの接続ライセンスが節約されます。またミリ病院では、最新サーバーアプリケーションをインストールしたので、インターネットエクスプローラのみでも医療画像専用のビューワが起動されるようになりました。専用アプリケーションに比較して起動が遅いものの画像の表示には問題のないことが確認されました。

 

遠隔医療のマネジメント担当者には、システムの運用状況をインターネットエクスプローラで把握し、月例報告を作れるように整形外科病棟のパソコンと同機能のものを配置しました。このパソコンは予備機としても使えるようにしました。

 サラワク州には他に地方基幹病院としてビンツル病院(ミリから車で2時間)、シブ病院(クチンから空路1時間)がありますが、当会では両院にパソコンを設置し、それぞれミリ病院からの画像を閲覧できるようにして、教育等の為に使えるようにしました。

 

今回の移設の結果、安定した回線で鮮明な画像を伝送できるようになり、今後の整形外科の診療や教育に大いに活用されることが期待されます。

 

 

マレーシア遠隔医療支援事業担当:横野(参与)

 

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