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トンガ王国における災害通信に関するAPT J2プロジェクト

 

当会は、ICT海外ボランティア会 (ICTOV) とともに 財団法人海外通信・放送コンサルティング協力 (JTEC)とトンガ政府を支援し、「トンガ王国における先端ICT利用による災害通信の研究」に関するAsia-Pacific Telecommunity (APT)のJ2プロジェクトを提案していましたが、これが2012年3月になって採択され、正式に検討が開始されることになりました。

 

当初は4月から研究を開始する予定でしたが、トンガ国王の逝去とその後の服喪期間などの事情により開始が遅れ、このほどやっと第一回の研究会合がトンガで開催されました。本プロジェクトには日本側はJTECを中心にICTOV会とBHNが、トンガ側は情報通信省に加え土木省、国土資源省、教育女性省などが加わっています。

 

プロジェクトの背景

 

トンガは南太平洋に浮かぶ、169の島からなる人口約13万人のポリネシアの島嶼国です。地勢上、サイクロンや地震・津波の被害を受けることもしばしばで、最近では、2009年9月にサモア諸島で発生したマグニチュード8.1の地震による津波のためにトンガ北部のニュアトプタプ島で9人の犠牲者が出ています(詳細はこちら)。また、最近でもサイクロンによる洪水に襲われています。このような状況で、災害対策用の情報通信ネットワークの確立は大きな課題となっています。

 

折りしも、トンガにはICTに関する日本からのシニアボランティア(SV)が派遣されており、その努力により、日本のノウハウを活かして、トンガの災害通信対策システムの構築を支援しようという機運が盛り上がってきました。そこで色々な検討の結果、APTのJ2研究の枠組みを使って現地ニーズの調査、日本の技術紹介などによる交流を含め、まず人材育成とフィージビリティスタディから始めることとなりました。

当会は、ハイチやミャンマーにおけるCAシステムの経験、東日本大震災の被災地で立ち上げたコミュニティFM放送局などの経験を活かし、防災・復興システム及びICT利活用の側面から支援するためにプロジェクトに参画しています。

 

研究内容

 

研究内容は、以下の図のように、2つの大きな部分からなり、1つは、気象室や地質資源調査室(地震観測、津波情報担当)、放送局、携帯電話会社、国家緊急管理室など災害情報を扱う組織間の情報共有の高度化 (Disaster Information System)、もう1つは、このようにして共有した情報を、災害時にラジオや携帯電話、さらにはラウドスピーカーなどを使って住民に対し迅速に避難指示などを発出するための仕組み (Emergency Community Addressing System)の検討です。

 

第1回共同研究打ち合わせの概要

 

出席組織

日本側=JTEC2名, ICTOV会1名、BHN1名

トンガ側=情報通信省、国家緊急管理室、気象室、地質資源調査室、教育女性省、TCC(トンガ通信会社)ほか

 

議事概要

AM

PM

6/4(月)

トンガ ヌクアロファ到着 気象室視察(サイクロンの監視を担当)

6/5(火)

・教育女性省次官表敬

・キックオフ会合(日本側各組織の紹介、日本の災害システムの紹介)

・トンガ側各組織の紹介と災害時における役割分担、情報の流れの紹介、議論)

6/6(水)

・国家緊急管理室視察 ・TCC(トンガ通信会社)訪問・地質資源調査室視察(地震情報の監視を担当)

6/7(木)

・地方視察(学校、低地帯、携帯電話用鉄塔など)

6/8(金)

・とりまとめ会合 ・日本大使、JICA所長表敬訪問・首相表敬訪問

当会はハイチやミャンマーにおけるCAシステムやFM放送局に関する活動を紹介するとともに、日本の災害システム全般を紹介しました。

 

会合結果

“百聞は一見に如かず”で、今回の訪問を通じて実情がよく分かってきました。トンガ本島(トンガタブ)ではWiMAXが普及していること、携帯電話が普及していること、サイクロンや緊急津波情報に関する気象室や地質資源調査室からの各関係機関への情報発出手段に関しては課題があることなどです。災害対策システムはカバーすべき範囲が広く、課題は多岐にわたりますが、これらの状況を踏まえて、今回のプロジェクトでは前述のとおり、政府内における災害情報の共有化の高度化と、CAシステムのような住民への情報提供システムの導入を中心に研究を進めることを合意・確認しました。

 

 

小学校を訪問 

今後の予定

 

2012年7月上旬    日本における共同研究打ち合わせ(トンガ側メンバー4人が来日)

2012年7月下旬    APTに中間報告提出

2012年9月     トンガにおける第二回共同研究打ち合わせ(日本側メンバーがトンガ訪問)

2012年10月頃   APT J3プロジェクトへの提案

2013年3月         最終報告書提出

あとがき

 

今回の日本メンバーのトンガ訪問はテレビでも報道され、また新聞にも載るということでした。(ただ、新聞は週一回発行で、我々が帰国するまでに見ることはできませんでした。)また、トンガ政府のポータルサイトにも報告され(ここにある日本側メンバーの名前は当初の出張予定者で、誤った名前が記載されています)、本プロジェクトに対するトンガ側の期待の大きさを感じました。期待を裏切らないような成果を出して行きたいと考えています。

 

トンガ・プロジェクト担当:  山下(事務局長)