福島県飯舘村避難者健康維持・向上支援 活動詳細

2016年1月21日(木)17:21

 

【BHNの東日本大震災被災地支援活動】
当会は、3.11東日本大震災発生直後の岩手県沿岸地域への緊急支援を皮切りに、東北3県沿岸地域の臨時災害放送局立ち上げ支援、宮城県石巻市及び周辺地域のIT研修・就労支援・仮設住宅団地を対象とする被災者地域コミュニティ支援、福島県飯舘村においてのIT支援、健康維持・向上支援を実施しています。また、宮城、福島両県に現地事務所を設置し、自治体や事業協力者との関係を築きながら活動を進めています。

  

【福島県飯舘村避難者健康維持・向上支援】

<事業実施背景>
■飯舘村のこと
飯舘村は人口6,300人ほどの山村で、長年の努力で米作の他に飯舘牛やトルコキキョウなどの特産品を生み出すなど、活力のある豊かなコミュニティを育んできた村でした。原発事故の直後は村を挙げて原発近くからの避難者のお世話をしていましたが、後から飯舘村自身も極めて放射線量が高い事が判明し、1ヶ月後には全村民が避難指示の対象になりました。

■困難を極める避難生活
後発避難のため集団で避難できる仮設住宅の十分な用地確保ができず、民間アパートの1室などを借り上げた“借上げ住宅”に、多くの村民が避難しました。震災前は3世代、4世代で住んでいましたが、家族とも近隣住民ともバラバラになり、従来の親密なコミュニティは崩壊してしまいました。耕すべき田畑もなく、育てる牛もなく、狭い避難先での運動不足から健康を損なう人も少なくありません。
村内では現在急ピッチで除染が進んでいますが、避難指示が解除されるにはもう少し時間がかかると思われます。粘り強い東北人でも、5年近くの年月はさすがに身にこたえ、折れそうになる気持ちをなんとか鼓舞しながら、避難生活を続けています。

<活動>
プロジェクト目標:村民の健康維持・向上および情報通信によるコミュニティ再生
対象地域:福島県飯舘村
受益者層:避難先の4自治会傘下の村民約2000人及び全村見守り隊約200名
実施期間:2011年5月~現在
パートナーNGO:認定NPO法人災害人道医療支援会(HuMA)

■BHNの第1ステージ支援活動(情報通信基盤の提供)
避難状況の把握と村からの要請を受けて、役場と避難所(27拠点29ヵ所)をインターネットとテレビ会議で結び、村からの避難情報周知や住民の情報収集に役立てました。ICTに馴染みの薄い方々や自治会運営のために、100回以上にわたるパソコン・携帯教室や10ヵ所の自治会ホームページの作成支援も継続的に実施しました。
これらの通信設備は現在でも避難先で有効に活用されており、また自治会ホームページについては自治会担当者の交代時やトラブル時には、当会スタッフが技術面からの支援を継続しています。

  

■支援活動を第2ステージへ拡大(健康維持・向上支援)
2012年度からは当会の活動を健康維持・向上支援へと拡大し、現在も続けています。

◇健康相談会
認定NPO法人である災害人道医療支援会(HuMA)と協働して、医師・看護師による健康相談会を村民で構成する「全村見守り隊」(村内防犯パトロール隊)を中心に定期的に開催し、相談内容に応じて適切なアドバイスをしています。2015年12月までに延べ944人の方が相談に訪れています。

 

◇歩け歩け運動
避難中の村民に歩数計を持ってもらい、歩け歩け運動を展開しています。他の歩け歩け運動とは異なり村民自らの歩行意欲を高めることに注力しており、歩行の健康効果の説明、歩数データを当会スタッフがグラフ化して提供、データ提出者には自然食品の飴のノベルティ、歩数上位者の表彰など工夫をこらして推進しています。この活動は地元社会福祉協議会が毎月開催する“お茶のみ会”の場等を利用して行われ、2015年12月現在、約620人が歩数計を継続利用して歩行しています。

  

◇マッサージ会
避難先自治会との共催でマッサージ会を毎月3回開催しています。地元出身の専門家の先生が優れた技術を持ってマッサージを施術するだけでなく、健康生活のアドバイスもするなど生活に密着した対応ができていることから村民から絶大な信頼を受けています。また待合室での避難生活の情報交換や日常会話が村民にとって貴重なコミュニケーションにもなっており、待合室はいつも一杯です。2015年12月までに延べ1000人を超える方がマッサージを受けました。

  

■これからも
多くの支援団体が活動を終了してきていますが、現地での問題はまだ解決したわけではなく、当会はこれからも村民に寄り添った支援活動を続けて参ります。

本活動は以下のご寄付及び受託により運営しています。
・NTT東日本フレッツ光メンバーズクラブご寄付
・NTTドコモdポイントクラブご寄付
・飯舘村受託

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