【ミャンマー】デルタ地帯におけるCAシステムを活用した住民の生活環境改善および防災支援事業:ハザードマップ事業の取組み概況とワークショップの開催

2016年3月23日(水)16:54

 

ハザードマップ作成と設置


第3次事業(2015年9月1日~2016年7月31日)は新たに実施する、村落へのハザードマップ作成・設置が大きな柱となっています。ミャンマーの南部デルタ地帯は、川が多くあり、見渡す限り低地帯で田園が拡がっている村落エリアで、サイクロン襲来等で集中豪雨が発生した場合に避難する高台等が非常に少ない地域です。

村落の各地を踏査したところ、地図掲示板等も殆どない状況で、洪水が発生した際の避難の方法、避難場所の確保、避難場所への移動に役に立つハザードマップの作成・設置が必要であるとわかり、第3次事業を実施することになりました。

ハザードマップ作成にあたっては、ミャンマーにおける防災研修で実績のある(特活)Seeds Asiaからハザードマップ研修(昨年11月14日~16日)を受け、12月には2村落のプロトタイプのハザードマップを作成して、村落の住民が集まる場所にハザードマップ掲示板の試作品を完了させました。

その後、12月末までに10村落のハザードマップ作成のために現場踏査を実施しました。各村落の幹部、及び住民を集めて「ハザードマップの意義、及び必要性を理解してもらう」と共に、村落のリーダーや村人と共に村歩きを実施して危険個所の特定、高台と避難ルートの確認、災害時の事前連絡先等の情報をマップに書き込むなどをすることで、情報を共有しました。現場踏査終了後にはリーダーや村人と共にハザードマップの正誤の確認を行いました。

2016年1月から、ハザードマップの手書きのデータをパソコンに入力し、マップの最終版を作成しました。今後は、再度踏査した村落を訪問し、住民を集めてハザードマップの説明会を開催します。

2016年1月開催の防災ワークショップ

前年のワークショップでは、CAシステム設置の意義、非常時・平常時の活用方法、システムの保守・運用方法を伝え、日本の防災行政無線システムの利用例などを紹介する、CAシステムの活用が目的でした。

今回のワークショップ対象の村落は、既に従来のワークショップに参加しており、2回目のワークショップとして、SEEDS Asiaと連携し、防災研修を主に行うことにしました。研修内容は移動式防災教室の形式をとり、サイクロン,高潮、洪水等の自然災害の発生するメカニズムについて模型を使って説明しました。それによって引き起こされるであろう被害や避難方法等について学ぶと共に、CAシステムの保守、運用面の現状、課題等について村人と意見交換を行いました。

今回開催したのは、ボガレー市で1月13日、15日、19日の3回実施(参加村落数;46)、ピアポン市で1月21日の1回実施(参加村落数;12)です。各村落に予め設置されている「CAシステム運営委員会」のメンバー2~3名も出席し、大変興味深く防災研修に参加していました。研修後のアンケートには、「防災研修が今後の災害発生時の避難誘導などに大変役立つ」との回答や「自分たちの村落にも是非ハザードマップの設置を希望する」要望が多くありました。今後の防災研修に加えて、ハザードマップ設置活動も進めていく予定です。

CAシステム設置作業

今後、10村落のハザードマップ作成設置と並行して、新たに45村落でのCAシステム設置作業を行っていきます。村落での基本設計結果をまとめて、所要資機材を購入して、2月からCAシステムの設置工事に入りました。当会ミャンマー事務所のメンバー4~5人が船で村落を訪問し、村人の協力も得ながら1村落1日がかりの作業となります。4月にはミャンマーの人達が楽しみにしている水かけ祭り* があります。この水かけ祭りが始まるまでに、CAシステム設置作業を終了させる計画です。

* ミャンマーやタイなどでは、最も暑さが厳しい4月の中旬にお正月を迎えます。農民は農作業から解放され一息できる時期で、人々は新年の幸せを祈り、誰かれかまわず水をかけ合います。ミャンマー人にとって水かけ祭りは、一年で最も重要なイベントだそうです。
ミャンマーN連プロジェクト・参与 木村 俊一
     

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