苦難の臨時テント放送から新局舎へ、そして第2次事業の始まり

2016年4月15日(金)13:27

 

ネパール中部ゴルカを震源とした「ネパール・ゴルカ地震2015」では、90000人近い犠牲者が出るなど甚大な被害が発生しました。この地震に対する支援としてBHNは、2015年6月18日から12月25日まで第1次FM局支援事業を実施し、さらに2016年2月18日から第2次FM支援事業を開始しました。支援するFM局は8局で、事業期間は5月24日までの100日です。

臨時テントの厳しい環境に耐えたコミュニティFM放送局

第1次事業では、8局への放送機器設備提供と4局のスタジオ修復に加え、地震で建物が崩壊したラジオ・シンド及びラジオ・ダーディンの局舎を再建しました(第1次事業の支援内容はこちら)。
両FM局とも新局舎が完成するまでの6カ月間は野外テントからの放送だったため、風雨の際には、テントにたたきつける雨や風の音がマイクを通じて放送されないよう、机の下にマイクを持って潜り込み、何事もないかのように放送していたそうです。また夏は酷暑でサウナ状態、冬は外気温とほぼ同じまで下がり、厳しい環境に耐えながら放送を続けていました。ラジオ局は1500m以上の高地にあり、冬の夜は外気温零下まで冷え込みます。ラジオ・シンドで行われた新局舎引き渡しセレモニーでは、困難な状況を乗り越えたFM局マネージャーや、FM局を管轄する情報通信省無線部長から感謝の言葉を頂きました。

 

ネワFMとのMOU契約式には首相が出席

第2次事業の支援先の一つ ネワ FMは、カトマンズ市近郊にあり、ネワール語の学校ネパール・バハッシャ・アカデミーが運営しています。学校総長のサトヤ氏はカトマンズに生まれ、苦学の後、行政官としてネパール考古美術館、博物館、庭園、国立劇場などを建設する傍ら、ネパールの歴史及び文化研究の第一人者として60冊以上の著書を出版するなど、ネパールを代表する知識人として有名な方です。

ネパール・バハッシャ・アカデミーとのMOU契約は、総長の出版記念式典に合わせて行われました。式典の主賓はネパール首相で、その他にも著名な方が多く名を連ね、総長の影響力の大きさがうかがわれます。当日、壇上で総長とのMOU契約が終わると、貴賓席から首相が歩み寄ってこられ、“Thank you ”の言葉と同時に握手を求められました。この模様は、BHN及び私自身のプロフィールと合わせ、ネワFMから実況放送されました。首相は、インドに続く中国への公式訪問直前の多忙なスケジュールにも拘わらず、式典終了までいらっしゃいました。このような光栄にあずかり、私たちにとって大きな励みになりました。

第2次事業ではまた、バッテリー提供等のハード面の支援のほか、さらなる発展のため、地域密着のFM局に対し、日本の大学の先生方が設立に貢献したデイケアセンターの運営やサービスなどを紹介する予定です。このセンターは2015年8月、カトマンズの古都パターンにオープンし、ネパールでは初めて、地域コミュニティーの住民が自らボランティアで運営しています。

 

プロジェクトオフィサー(参与) 鈴木 弘道
     

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