【熊本】熊本地震被災者支援―緊急支援フェーズを終えて―

2016年11月11日(金)11:37

 
※ジャパン・プラットフォーム(JPF)九州地方広域災害被災者支援「熊本県益城町等7市町村の避難所・仮設住宅団地運営業務の円滑化・活性化に資するパソコン環境整備・運用支援プロジェクト」の詳細はこちら

2016年4月14日の前震から始まった熊本地震の被災地に対し、当会では、災害時等の緊急・人道支援を行うジャパン・プラットフォーム(JPF)の事業資金を得て、2016年6月2日から10月15日の事業期間で、「熊本県益城町等7市町村の避難所・仮設住宅団地運営業務の円滑化・活性化に資するパソコン環境整備・運用支援事業」を実施し終了しました。この支援活動では、パソコンやプリンターをただ配布するだけではなく、被災者自身が自立して使いこなせるよう、運用面の支援に力点をおいて実施しました。

6月7日には、事業開始に向け九州電電同友会熊本支部(支部長 宮本金生氏)と熊本シニアネット(代表 色見高司氏)の協力を得て現地支援体制の確立に着手しました。BHN熊本事務所(所長 宮本金生)とBHNテレコムパソコン支援センター(センター長 色見高司)を開設し、ここを拠点に、更に6人の協力者(加藤公彦、徳留和憲、橋本求名生、尾形邦彦、廣井均、吉田和子の各氏)を加えて現地支援体制を編成しました。

併せて、被災者側の代表者に加わっていただいた企画型被災者支援活動キックオフミーティングを実施しました。ここでは、被災地の地元組織と連携した企画型被災者支援活動への取り組み方法について話し合いました。

具体的には、以下について繰り返し話し合いました。
①被災者自身が避難所自主運営に取り組んでいた「益城中央小学校避難所(運営責任者・吉村静代氏)へのパソコン・プリンター設置方法」
②被災地における地域コミュニティ-の果たす役割の重要性(安藤實奈子氏)
③地震後、中断していた熊本シニアネットのさわやか大学パソコン講座等を熊本地震被災者支援パソコン研修として再開し、「仮設住宅団地向け巡回出前パソコン研修へと展開する方法」
④熊本地震で、より困難な状況に陥っている人の心に寄り添う「熊本いのちの電話(事務局長・赤星敦氏)のお知らせ方法」
⑤仮設住宅団地に住む被災者向け「健康サービス支援方法」(NTT西日本熊本支店スマートひかりタウン推進室室長・谷口英樹氏)
⑥高齢被災者向け企画として「法律相談」(岩瀬清治氏)

各種の企画型被災者支援活動は、避難所及び仮設住宅団地集会所へのパソコン・プリンター設置作業の進展に合わせて、順次実施しました。


さて、この度の熊本地震被災地では、仮設住宅団地建設計画の取り組みが順調に進められたことから、地元行政部門から寄せられた避難所へのパソコン・プリンター設置要望は、当初から限られたものとなりました。そこで、地震被害が甚大で、かつパソコン・プリンター設置要望が特に強く寄せられた一部の町に限定して実施することとし、益城町・嘉島町・御船町の3町6カ所の避難所を対象にした支援活動を実施しました。

各避難所に設置したパソコン・プリンターは、主に子ども向けイベント管理、被災者健康支援向けイベント管理等に活用されました。一方、益城中央小学校避難所では、避難所自主運営業務に幅広く活用されました。今回のパソコン環境整備・運用支援では、被災者自身が主役となった避難所運営に大きな役割を果たしたことが確認できました。

全期間を通じて、パソコン・プリンターを設置した避難所へ簡易な巡回・指導を実施しました。10月15日時点では、5カ所の避難所で撤去回収済み、1カ所のみ現用設置となりました。なお、現用設置していた益城町総合体育館避難所も10月31日には閉鎖され、避難所に対する支援活動は全て終了しました。避難所閉鎖に伴い撤去回収したパソコン・プリンターは整備確認後、順次仮設住宅団地集会所等へ移設しました。

一方、被災地の多くの各市町村から、出来るだけ早く仮設住宅団地集会所にパソコン・プリンターを設置してほしいと強い要請を受けました。これらの地域に対しては、早い段階から各市町村の仮設住宅団地及び集会所等の建設状況、仮設住宅団地への被災者入居状況を現地調査し、設置可能な段階を迎えた集会所等から順次設置作業を開始し、熊本市、益城町、嘉島町、御船町、甲佐町、西原村、南阿蘇村等7市町村46カ所の仮設住宅団地集会所・談話室にパソコン・プリンターを設置しました。

それに加えて、仮設住宅団地集会所等へインターネット回線の設置要望が寄せられました。当会は、JPFへの事業内容変更申請手続きを行い、承認後直ちに、25カ所への「ドコモおくダケWiFiサービス」を調達しました。8月29日に全てのWiFiアクセスポイント装置が完納され、8月30日には現地スタッフへの説明会で仮設住宅団地集会所への設置に向けた注意事項等を確認し、JPFとBHNロゴステッカーを貼付して設置に備えました。並行して、各支援対象市町村との個別調整会議で、ドコモおくダケWiFiアクセスポイント設置対象仮設住宅団地を選定し、これまでに、設置対象とした仮設住宅団地集会所等へWiFiアクセスポイントを追加設置しました。

10月18日午後、2回目のJPFモニタリングは、支援対象である益城町テクノ仮設団地Dブロック集会所をお借りして実施しました。今回のモニタリングに際しては、事業内容のポイントを報告し、仮設住宅団地(テクノ仮設団地Dブロック)が地域コミュニティ形成・強化に取り組んでいる事例として、当会が設置したパソコン・プリンターを活用して作成・印刷した各種イベント案内チラシを紹介しました。
その後、JPF事務局2名、BHN熊本担当3名、仮設住宅団地側代表2名(吉村静代氏、松舟陽一氏)が参加して、被災地熊本が現在抱えている幅広い課題について自由討論を行いました。

BHNテレコムパソコン支援センターで、当会の佐藤征紀理事長も加わり、JPFから資金を受けた10月15日までの事業の総括会議を開催しました。この会議において、今後の被災者支援活動は、ICT活用面から仮設住宅団地を起点とする地域コミュニティ形成・強化を支えていくことであり、そのために重要なのは、「仮設住宅団地集会所に設置したICT環境の巡回設備点検・巡回活用相談」や「仮設住宅団地自治会役員等向けの巡回出前ICT研修」等を繰り返し実施することであると改めて確認し合いました。

熊本地震被災者支援事業担当(理事) 有馬修二
     

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