インドネシア・ムラピ山周辺地域にバックパックラジオを導入

2018年3月29日(木)15:55

 

BHNは、3月5日から7日にかけて、インドネシアで「バックパックラジオ」の導入ワークショップを行いました。バックパックラジオとは、スマホアプリとFM送信機・アンテナ・ソーラーパネル・バッテリーを持ち運びできるようにパッケージ化したもので、どこでもすぐラジオ局を開局できるという装置です。災害発生時に、速やかに情報発信をする目的で開発されました。

インドネシアのジャワ島中部に位置する標高2,930mのムラピ山は、約5年周期で大噴火し、2010年には300人以上が亡くなる被害をもたらしています。山麓にはコミュニティラジオ局があちこちに設置され、復興情報や火口の観測情報を伝えていますが、もし警戒レベルが最大になった場合には、放送の担い手も避難しなければならず、災害発生時に情報を被災者に届けることができないという悩みを抱えていました。

ムラピ山周辺のコミュニティラジオ関係者が、バックパックラジオを扱えるようになることで、同地域の防災力・減災力を向上させることが、今回実施したワークショップの狙いです。ムラピ山に隣接するスルマン県・マグラン県・ボヨラリ県・クラタン県で活動するコミュニティラジオ局に参加をよびかけ、応募のあった7局に1台ずつバックパックラジオを無償で提供しました。


ワークショップ当日は、7局のコミュニティラジオのスタッフが会場に集まり、まず講義形式でラジオ放送のいろはを学びました。その後、実際に送信機やアンテナ・ソーラーパネル・バッテリーを各種ケーブルやコネクタで繋いで、装置の組み立てを行いました。半日ほどかけて、無事に全参加者がバックパックラジオを使い放送することができました。




ラジオ試作の後は、各ラジオ局に「バックパックラジオをどう活用していくか」というテーマで話し合いをしてもらいました。「ガムラン(インドネシアの伝統楽器)演奏イベントで出張放送する」、「これを使って新しくコミュニティラジオを開局する」など積極的な意見が交わされ、ワークショップは終了しました。

そして先日、「自分たちだけでバックパックラジオで放送できた」という報告が届きました。インドネシアに新たな防災メディアが根付きつつあることを感じました。インドネシアを出発点としてアジアでの他国展開を視野に入れ、より多くの地域の防災力・減災力向上に努めていきます。

プロジェクトオフィサー 瀬戸 義章

※クラウドファンディングの御礼(2018年4月26日追記)
バックパックラジオ事業は、Readyforにてクラウドファンディングを実施し(Readyforプロジェクトページ)、青木啓剛様、松浦さと子様、三宅晃様、高橋絵美様、金山智子様、中村貴玄様、株式会社通訳翻訳舎様、他35名の方々にご支援を頂きました。心より御礼申し上げます。

     

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