ミャンマー南部デルタ地帯における地域住民の生活改善事業報告

2014年8月8日(金)14:20

 

●第一回目のワークショップを開催

本事業を通じて、商用電気や水道などのインフラや電話も無いに等しいミャンマー南部デルタ地帯の村落に、CAシステム(地域情報伝達システム)を設置し、これを平常時、非常時を問わず地域の人々に長く有効活用していただき、日々の生活向上に役立てていただきたいと考えています。

そのため、システム設置後に一方的に研修を実施して、それで終わり、ということになりがちな従来の方法を変えて、各設置村落に「CAシステム運営委員会」を編成してもらい、その委員を対象にワークショップを実施することとしました。ここでいうワークショップとは「一方通行的な知識や技術の伝達ではなく、参加者が自ら体験して、グループの皆で意見交換しながら、何かを学び合ったり作り出したりする、双方向的な学びと創造スタイル」です。

第一次事業計画では、予定通りCAシステムの設置が完了し、引き続きワークショップを開催するため、そのスケジュールを検討する第1回目のミーティングを4月上旬に現地工事責任者と行っていく中で想定外の難問が持ち上がりました。

それはミャンマーの雨期(5月中旬から10月中旬)は日本の梅雨とはイメージが違い、大量で継続的な雨と風を伴うことがわかったことです。特に本年は雨が多く、本格的な雨期の最中にワークショップ参加のために多くの地元の方々がボートで移動することは、河川の水嵩も増し、大変危険なことが判明しました。

また、雨期の初めは農繁期で手を離せない幹部も多く、農作業を考慮して、スケジュールを大幅に変更しなければならない状況となったのです。そこで、スケジュールを再度検討し、最終的には、安全かつ業務に支障のないミャンマーの乾期(11月、12月)に実施することになりました。

但し、ワークショップのノウハウが少しでも欲しいことから初のワークショップ開催にあたって、比較的雨季の影響が少ないと考えられるヤンゴン地区郊外のKyauktan Townshipで5村落を集めワークショップトライアルを行うことにしました。

 

開催日が7月16日に決まり、プレゼンテーションや配布する資料冊子等の準備を鋭意進めましたが、この事業が、日本からの支援であることを現地の人に分かっても貰うために会場には、日本(本プロジェクトは外務省日本NGO連携無償資金協力資金を受けて実施しています)、BHN、パートナーであるミャンマー商工会議所(UMFCCI)のそれぞれの旗を掲げる工夫をしました。

幸いワークショップ当日は雨が止み、何とか開催可能な状況となったのですが、僧院は最近降り続いた雨で1階は浸水し、2階の会場に行くまでズボンを膝までまくって会場に入りました。

 

参加した方々からは「電気の無い地域にCAシステムを設置して頂き有難うございます。」と感謝のことばが多く聞かれました。

午前中にワークショップを開催した後、参加者一同で食事をしながら意見交換を行ないました。機器の取り扱い方などに関する研修が主な内容だったため、当初、参加者は男性ばかりでしたが、意見交換会の際には地元の多くの女性たちが配食の手伝いなどに加わってくれました。

ワークショップ終了後、ヤンゴン事務所における反省会では、双方向性をベースに意見交換を行い、参加者のレスポンスが把握できたことは大きな収穫だったことが確認されました。

又、アンケートの結果、開催意義や内容が「大変良かった」とする意見が大半を占め、開催の目的は概ね達成できたと思われます。

今回は僧院での開催でしたが、次回以降は4つのタウンシップ(郡都)の大きなホールで10~15村落程度(一村落から3名)を集めてワークショップを開催することが効率的であると判断しました。

昨年9月24日から開始された第一次事業計画はこのワークショップ実施を最後に7月23日で終了しました。続いて、本年9月から第2次事業を進めるべく、外務省に日本NGO連携無償資金協力資金を申請し関連作業を行っております。

 

ミャンマーNGO連携プロジェクト
事業担当 渡辺 栄一 (参与)

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