【ミャンマー】紛争被害者支援 10カ村869世帯で灯りが点くようになりました

2017年1月27日(金)11:23

 
※日本NGO連携無償資金協力 NGOパートナーシップ事業「カレン州中西部・モン州東部における紛争被害者を対象とした住居電化プロジェクト」の詳細はこちら

2016年3月31日より2017年3月末までの計画で、少数民族武装勢力のひとつであるカレン民族同盟(KNU)が支配してきたKNUタトン地区で紛争被害者への支援を行う活動が始まって9か月経過しました。この活動は、タトン地区内の15村、1370世帯の住宅に小型ソーラー発電装置を取り付けて電気を供給することで、住民の生活向上を目的としていますが、2017年1月13日現在で、869世帯への設置工事を完了しました。

工事開始までの準備段階で業者選定の入札や仕様書の調整等に予想以上に時間がかかり、また雨期の間は、小舟と長時間の徒歩移動を必要とするため機材の搬入が難しいことから、設置工事は雨期明けの11月にずれ込んでしまいました。

工事開始前には、各村で住民を対象とした事前説明会を実施しました。主に、メンテナンス委員会を設置することと、将来に備えてバッテリー交換の準備が必要なことを理解してもらう点に注力しました。既に自費でソーラー発電設備を設置している家がありましたが、適切な使い方を知らないために5~6か月でバッテリーが使えなくなるなどの状況が多発していたため、ソーラー発電システムの基本的な使い方も伝えました。

工事施行者には、事前研修を行ってソーラーパネルの設置に必要な知識や技術を学んでもらい、パネルの向きを測るために必要な方位磁石や傾斜計などの機材を手渡しました。しかし、その後の日本人技術者のモニタリングで、調整や移設が必要と判断した箇所もありました。例えば、大きな木の葉でソーラーパネルが隠れてしまうような場所では、影になる葉を剪定したり、ケーブルの届く範囲でより日光の当たる場所にパネルを移設しました。また、ソーラーパネルが発電効率の良い方位に向いていない場合には、向きを調整しています。

今後は、ソーラー発電システムを設置した村から順次モニタリングを開始し、3月下旬までに全村のモニタリングを終了させる計画で進めています。

事業地へのアクセスは悪く、携帯電話も通じないうえ、地雷が敷設されているエリアもあるなど安全上の課題が多々あります。そのため、パアン事務所のローカルスタッフと東京本部の本事業担当チームメンバーで事業地におけるリスクアセスメントを行い、リスク軽減策をまとめました。ローカルスタッフへの説明や訓練も行い、普段からできることは行っています。また、事業地に入ってから不測の事態が発生した場合の緊急連絡方法と手順について、ミャンマー国内にもう一つあるヤンゴン事務所の所長以下、運転手も含め、全員で確認しました。

紛争被害者支援事業担当 石黒 和紀
     

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