ネパール案件調査(1)チョウジャリ病院訪問

2018年1月17日(水)15:58

 

BHNでは、2015年4月に発生したネパール地震に対して、被害を受けたコミュニティラジオ局に、新しい放送機器の提供、倒壊した局舎の新設、スタジオの再建をジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急支援プログラムに基づき実施しました。2016年5月の事業終了後もネパールでの活動の可能性を探ってきましたが、2017年11月、かねてから様々なアドバイスや情報をいただいていた「どさんこ海外保健協力会」の楢戸医師と一緒に、ルクム郡チョウジャリ市を訪問してきました。その様子を2回に分けて報告します。

ネパールでは、1996年から2000年にかけてネパール政府軍とネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)の間で内戦が繰り広げられました。ルクム郡は、その内戦が始まった地域でもあります。ここは、丘陵地域であるためにアクセスが難しく、インフラ整備や保健衛生状況も立ち遅れている地域であり、3年程前に道路と電気が通ったばかりです。

病院までの道のり

首都カトマンズから飛行機に乗って1時間でネパールガンジ空港に到着。ここから車で、今にも崖崩れしそうな山肌を両脇に見ながら6時間ほど行くと、車で行ける最終地点(大きな菩提樹)に到着。ここに病院のスタッフが5~6人待っていてくれ、私たちの荷物などを運んでくれました。ここからは、吊橋を渡って川の向こう岸に行き、そこから少し急な斜面を徒歩で30分ほど行ったところに、今回訪問を受け入れてくれたチョウジャリ病院がありました。
朝7時にカトマンズを出発し、到着したのは夕方5時。つまり、カトマンズから目的地まで約10時間かかったことになります。



丘陵地域における医療サービスの脆弱性

医師の回診に同行させてもらい、どのような症状で入院しているのかなどを聞かせてもらいながら、入院患者に面会しました。そこでわかったことは、
・地域で唯一の病院であり、患者は山道を数時間から1週間かけて歩いて(担がれて)来る。
・丘陵地であり、落下事故が多い。
・衛生状態の悪さや栄養不足が原因の疾病がとても多い。
・妊娠中の検診、出産など病院にかかる件数は増えてきたが、病院に着くまでの山道で出産してしまうといった危険がある。
・退院後の患者に対して、服薬や病状の管理ができていないため、悪化してしまうケースもある。
・体の不調は病気ではなく「神の怒り」であると考えられ、呪術師に相談することが一般的。
・遠隔地でメディカルキャンプを実施すると、医者を見るのも、薬を飲むのも初めてという人もいる。

担当 内山 智子

→ 後編「(2)フィールド訪問から見えてきたこと」

寄附をする