【H30年度日本NGO連携無償資金協力によるエーヤワディ地域における防災支援、及び住民の保健衛生意識向上のためのモデル事業】

2019年9月17日(火)16:24

 

中間報告

当会はH30年度 外務省 日本NGO連携無償資金協力(以下N連)(注)の採択を受け、ミャンマー エーヤワディ―地域において支援活動を行っていますが、その状況を紹介します。

ミャンマーの南部デルタ地帯は、2008年5月の大型サイクロン「ナルギス」により死者・行方不明者13万8千人を超える甚大な被害を受けました。被害を大きくした要因として、官民の防災意識の低さ、警報システムやシェルターなどの防災インフラが未整備だったことも挙げられ、特に農村部や貧困層の多く居住する地域における情報伝達システムの構築が急務とされました。

このため、当会では2008年(H20年)11月に支援事業としてスピーカを使った情報伝達システム(Community Addressing System? 以下CAシステム)の設置を開始しました。支援事業は自主事業、ジャパンプラットフォーム助成事業を経てN連事業として現在に至っており、H29年度までの事業で243村落にCAシステムを設置しました。H30年度には新たに20村落に設置し、設置数の累計は263となりました。

CAシステムは災害時の連絡だけでなく、役場の連絡放送や天気予報の放送などにも使用されており、住民の平常時の生活にも役立っています。また、設置したCAシステムを住民たちのものとしてできるだけ長く活用されるようにするため、ワークショップを行い、利用方法や保守方法について話し合ってもらっています。

CAシステムによる防災力向上の支援に加え、H27年度からはハザードマップの設置と防災研修を行っています。ハザードマップは村落ごとに作成され、災害発生時の危険区域、避難場所、避難経路などが示されており、H30年度には30村落に設置し、合計112の村落にハザードマップを設置しました。これらの活動は日本のNGOであるSEEDS Asiaと提携して行っています。

CAシステムによる防災支援を行うなかで、住民は保健衛生に対する意識がまだ低く、また医療サービスを受けることが非常に困難であることが分かりました。この地域は低湿地帯のため村から町への移動は舟の利用が大半であり、少ない医療機関は町にしかないため、診察を受けるには1~2日かかります。したがって、住民が保健衛生・健康の知識を高め、病気を予防することが非常に大切です。このため、H29年度からは住民の保健衛生・健康意識の向上のための活動も行っています。この活動では、モデル村落を選定し(H29年度 20村落、H30年度 20村落)、その村落の健康状況調査を行い、それを基にして保健衛生に関するメッセージ―をCAシステムで放送したり、村の集会所等で住民に保健衛生の指導を行ったりしています。本活動では、ミャンマーのNGOであるPHF(People’s Health Foundation)と提携して行っています。

H30年度の事業はH30年12月に開始し、現在まで順調に活動が行われています。今後も事業終了のR元年12月に向けてエーヤワディ―地域住民の防災力と健康保健意識の向上のために努力していきます。

注:日本NGO連携無償資金協力は、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発事業に外務省より必要な資金が供与される制度。

 

参与 片上 勘次

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