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ミャンマーの土は赤かった!― JPF資金によるミャンマー少数民族帰還民支援調査事業を実施―

 

中央部はそれなりに舗装はしてあるものの、路側帯は赤茶けた土の道路を3人乗りのバイクタクシー、荷台にすずなりに人を乗せたトラックが行きかう東南アジアではよく見かける風景です。そんな中を半ば他の車を押しのけるようにかなりのスピードで走りぬける1台のトヨタの4WDピックアップトラック、荷台には自動小銃を持ちヘルメットをかぶった二人の警官が乗っています。

それに続いて遅れまいとするかのように急ぐのが今自分達が乗っている同じくトヨタ4WDピックアップです。ミャンマーはカレン州のタイ国境近くの村へ調査に向う行程のはじまりです。

 

「ミャンマー少数民族帰還民支援プログラム実施に向けての情報通信調査事業」の調査がこんな形ではじまったのは5月17日の朝のこと。2012年1月にミャンマー政府とカレン民族同盟(KNU)との間で、停戦が合意され、地域の平和構築プロセスがすすむ中でジャパン・プラットフォーム(JPF)は昨年12月に第1回調査団を同国に送りこみ、中央政府、州政府、ミャンマーピースセンター(MPC)との調整を重ねて今回の調査開始に至ったという訳です。

 

当会はJPFのミャンマーワーキンググループの発足当初から参加し準備を重ねてきました。そしてこの5月にJPFから調査事業が採択され、二人のメンバーを同国に派遣しました。

 

5月16日にはカレン州のゾウ・ミン首相とのミーティングが州庁舎で開かれました。これには今回の調査に参加したNGOが出席し、当会も日本から出かけた横野、秦の二人がヤンゴン事務所のAung Kyaw Min氏、カレン語通訳としてEh Htoo氏とともに出席しました。もともとは昨年から2度の打合せをしているだけに儀礼的な訪問になると思われましたが、「そもそもJPFとは何ぞや」「何故日本政府はJICAとJPFの二つのNGOに資金を出しているのか」など数々の質問が首相から出され、一時はこれで今回の調査は出来なくなるのかと思われるほど議論が白熱しました。

 

カレン州ゾウミン首相(右)とのMTG(左はJPF柴田氏)

結果的には当初の申請通り調査できることになりました。具体的な調査先は前日にならないとわからないという状況でしたが、5月17日にはPayingkyon(パインチョン)を、翌18日には、本来の調査対象とは異なるものの、比較という意味で州都Hpa-an(パアン)近郊の村を訪問しました。Payingkyon の周辺は、一部の地域で道路事情が悪いため4WDが必須でしたが、20日に訪問したタイとの国境近くのShanywathit(シャインワティ)では、更に状況が悪く、開けていた車の窓から水しぶきが飛び込んでくるのではないかと思われるくらいの深さまで浸かりながら橋のない川を渡り、泥濘につかまりスタックしてしまう車も出ました。濁った水の中にある段差を越えるときに、突然ガツンと揺れるので油断しているとドア枠に頭をぶつけてしまうことが何度かありました。

 

シャンワッティへの道 シャンワッティまであと1時間

このように移動しながら更に奥地に行くと、道路脇には銃を持って立っている兵士に幾度も出会いました。あとで聞いたところによると、彼らはBGF(国境警備隊=政府軍)の兵士とのことでした。停戦協定中でもあり、また、州政府の連絡が行き届いているとのことで何事もありませんでしたが、気持ちの良いものではありませんでした。

また、軍用車でなかったものの、我々JPFの一行10数台の車列の最後尾にもBGF兵士が乗った車が護衛としてついていました。つまり未だ警戒は怠ることはできない状況です。このような地域に入るときには州政府の許可が絶対条件ですが、逆に言えば、許可を出した地域は、州政府が安全を保証しているということでもあるようです。

 

いつまで続くのかと思う程ひどい山岳道路でしたが、朝7時半に州政府庁舎を出発してからほぼ5時間、お昼をすぎた12時半にShanywathitの住民が待機している寺院に到着しました。ここの関係者の説明によれば、中心部の人口は300人、100世帯程度ですが、周辺の村を合わせた人口は約3万人ということです。この地域の寺院などは発電機が設置してあり、必要なときに動かしているそうですが、一般の民家には電力は供給されていません。

 

 シャンワッティの寺院 シャンワッティ住民

JPFのアポイントにより、21日朝に州政府の電力部門(MINISTRY OF ELECTRIC POWER)のU OHN KYAW氏と面会し、当会が支援できることや、CA(Community Addressing System)システムについて説明する機会を得ました。U OHN KYAW氏によれば、Shanywathitには、すでに電力供給計画があるので全面的な支援は必要ないとのことでした。

カレン州州電力省でCA説明 シャンワッティ中心部(豚、鶏も放飼い)
しかし、周辺の村全てにいきわたるわけではないので、10台程度のソーラー発電システム、2台程度のCAシステムの支援を要請されました。また、Shanywathitの電力開発計画にはKNUなど他非政府系組織も参加しており、現在安全に立ち入れる10村への発電システムの設置が終われば、非政府系組織が支配する地域にも活動を拡張することができるとのことでした。

 

これで現地での調査は終わりましたが、実際にどのように支援するかは帰国後にJPFとも打合せをしながら決めることになります。停戦協定が実現し、周辺の外国に避難していた住民も帰還しつつあります。未だ平和構築が進行中のカレン州ですが、民族の枠を超える本当の平和が訪れるよう支援をつづけたいと思っています。

ミャンマー事業担当:横野 孝司(参与)

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