BHN広島事務所のネット活用型被災者支援活動への取り組み ~テレワーク手法を取り入れたコロナ禍における新しい被災者支援活動への挑戦~

2021年11月26日(金)14:11

 

 

BHN広島事務所(所長 福田卓夫氏)では、2018年西日本豪雨被災地(広島県坂町・呉市等)の仮設住宅団地及び災害公営住宅団地等に住む豪雨災害被災者向けに、復興フェーズ(仮設住宅団地フェーズ、災害公営住宅団地フェーズ)に合わせて各種の工夫を取り入れた「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化活動」を実施してきました。

その一つとして、研修用パソコン・研修用プリンター・ドコモおくダケWi-Fi回線等を活用した「ふれあい型パソコン研修会」を開催しました。被災者の皆さまから大変好評で、次々に寄せられる要望に応えて、新しい研修メニューを組み入れながら長期間にわたって実施してきました。

一方、2020年初めに始まった新型コロナウィルス感染症は日本国内で繰り返し猛威を振るい、日本国内の多くの国内災害被災地では十分な被災者支援活動ができない状態に陥りました。そこで、BHN広島事務所では、コロナ禍においても効果的な被災者支援活動が継続できるように「テレワーク手法を取り入れたコロナ禍における新しい被災者支援活動への挑戦」を開始しました。

1.ふれあい型研修メニュー教材の「デジタル化」から着手

最初に、これまでの「ふれあい型パソコン研修会」で繰り返し研修要望が寄せられ好評だった研修メニュー教材の「デジタル化」に取り組みました。

例えば

1)「被災者一人一人がいつも携帯できる 緊急連絡カードの作成法」

2)「被災者一人一人のスケジュール表付き Myカレンダーの作成法」

3)「Word図形を活用したお絵描き 図形を組み合わせカープ応援赤い鯉のぼりの作成法」

4)「Word図形・文字を活用した 祝い箸袋の作成法」

等々でした。

次に、デジタル化したコンテンツ(研修メニュー教材)をタブレットに取り込んで、自由に閲覧できるように取り組みました。その際、これまでのパソコンに加えてタブレットも自由に取り扱えるように研修メニューを追加しました。

例えば

1)「Gmailの使い方(基礎編、活用編)」

2)「タブレット研修マニュアル(タブレットを使ってみよう)」

3)「Google Driveでファイル共有」

4)「Google Meetのインストールと使い方」

5)「タブレットでスクリーンショットを撮る」

等々でした。

これにより、ふれあい型パソコン研修会で学んだ研修内容をタブレットに格納し、メール及びタブレットを自由に使いこなしながら、「デジタル化版研修メニュー」を自身のペースで学習することができるようになりました。実際に利用した被災者に大変好評で支援活動グループの励みとなりました。

遠く離れた場所にいる被災者に対し、オンラインによるリモートサポートができないかと検討範囲を広げています。先ず、支援活動グループ内で利用しテストをしています。多くの場合、パソコン操作に不慣れな被災者側のパソコンに、支援者側から遠隔操作しながらネット活用型被災者支援活動を実施することも必要となります。支援活動グループ内でオンラインミーティング(LINE及びMeet会議)を重ねて改善策を検討してきました。

BHN広島事務所メンバーによるLINE会議模様(2021年2月20日撮影)
 上部(事務所長 福田卓夫氏、杉原瑞枝氏、寺岡和子氏)
 下部(岩本一子氏、沖野啓子氏、岡崎幸子氏)

 

BHN広島事務所では、支援活動グループ内相互で支援者側と被支援者側の立場を変えながら実践的なテストを繰り返します。そして、一定の段階に達すると被災者に実際に活用していただき、更に改善を加えながら、「ネット活用型被災者支援活動への挑戦」を続けています。

2.テレワーク手法を取り入れたコロナ禍における新しい被災者支援活動へ本格的な挑戦

BHN広島事務所(所長 福田卓夫氏)では、2021年4月「2021年度被災者支援計画」を打ちたてて、テレワーク手法を取り入れたコロナ禍における新しい被災者支援活動へ、本格的な取り組みを開始しました。

(1)テレワーク型被災者支援活動

テレワーク型被災者支援活動の充実を図るため、パソコン・タブレット用の教材を作成し自習できる環境を充実させる。

オンライン会議システムで接続し、講師がリモートで講習するような形のパソコン研修を試行する。(究極的には、集合型研修と同じことをオンラインで実現することを目指す。)

現地に設置したパソコンを遠隔操作するシステムを導入し、リモートでの研修サポートを充実する。

LINEグループによる日常の情報交換・交流を行うと共に、月1回程度オンラインミーティングを行い、ICT活用をサポートする。

状況を見て可能なら現地に行って機器の点検とオンラインでは対応の困難なサポートを行う。(各地区から訪問支援の要望あり)

【地区別の支援活動計画】

呉市天応

(災害公営住宅)

・パソコン及びタブレットの研修教材を提供し自習してもらう。
・タブレットによるオンライン会議によるリモート講習を試行する。
・自治会でのパソコン活用を支援するため、困ったときに遠隔操作によりサポートすることを試行する。
・既に活発な情報交換が行われているLINEグループを使って月一回程度オンラインミーティングを行う。
・機器点検も兼ねて現地に行って支援する。
呉市安登

(川尻安浦地域包括支援センター)

・パソコン及びタブレットの研修教材を提供し自習してもらう。
・可能ならタブレットによるオンライン会議によるリモート講習を試行する。
・可能ならLINEグループを使って情報交換・オンラインミーティングを行う。
・機器点検も兼ねて現地に行って支援する。
坂町

(各自宅及び公民館等)

・パソコン及びタブレットの研修教材を提供し自習してもらう。
・LINEグループを使って引き続き情報交換を行うとともに、可能なら定期的にオンラインミーティングを行う。
・機器点検も兼ねて現地(公民館等に集合)に行って支援する。

 

(2)デジタルキット作成

これまでの支援活動で得たノウハウをデジタルキット化し、全国で使えるように整理する。データはタブレットに収録し、使いやすい形に整理する。シニアネットひろしまで作成し蓄積しているパソコン研修資料も活用できるように整理し収録できるようにする。

タブレット設定作業 沖野啓子氏
(2021年6月28日撮影)

 

オフラインでもタブレットで共有フォルダーの資料を見られるように設定
 タブレット画面(2021年7月1日撮影)

(3)研修・研究

支援活動メンバーで定期的にオンライン会議を行い、支援活動に関する情報交換を行う。タブレット及びパソコンを支援活動に有効に活用できるよう支援活動メンバーの研修を行うとともに、新たな活用の研究を行う。

BHN広島事務所メンバーによるMeet会議模様(2021年7月3日撮影)
 上部(岩本一子氏、事務所長 福田卓夫氏、沖野啓子氏、寺岡和子氏)
 下部(岡崎幸子氏、呉市社会福祉協議会 廣中 香氏、杉原瑞枝氏)

3現地に出向いた実践研修会

2021年10月後半に入り、新型コロナウィルス感染状況が落ち着いてきたので、現地に出向いた実践研修会を計画しました。2021年10月27日午後、呉市市営天応大浜アパート(集会室)において、参加者:自治会世話役さんを含め住民6人(男性5、女性1)+地元社会福祉協議会職員2人、そして当方支援活動チーム3人が参加した現地実践研修会を実施しました。

先ず、BHNパソコンコーナー機器の点検と更新作業を行いました。併せて、新しく準備したhome5GWi-Fiルーターを設置して機能確認試験を実施しました。続いて、これまでに準備を重ねてきたタブレットを使った研修を行いました。タブレットに保存したマニュアルを見ながらスマホの使い方を学習、スマホとタブレットの間で写真を転送する手順等を実習しました。現地に出向いた実践研修会は大変好評でした。

自治会世話役さんは、これまでの研修成果を生かして、いつものように自力で来月の自治会行事予定のチラシを作成されました。来月は年賀状作成を支援してほしいという要望があり、現地に出向いた実践研修会の次回日程を確認しました。

 

BHNパソコンコーナー機器の点検と更新作業
(2021年10月27日撮影)

 

home5GWi-Fiルーターを設置し機能確認試験
(2021年10月27日撮影)

 

タブレットに保存したマニュアルを見ながらスマホの使い方学習
(2021年10月27日撮影)

 

スマホとタブレットの間で写真転送手順等実習
(2021年10月27日撮影)

 

自治会世話役さん自治会行事予定のチラシを作成
(2021年10月27日撮影)

 

西日本豪雨被災者支援事業
プロジェクトマネジャー(理事)
有馬 修二

 

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*BHN 自主事業「西日本豪雨地域ICT支援事業」、事業期間:「2018年7月9日~2023年3月31日予定」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。

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