第12-13回授業:SDGsに寄与する研究開発に関する課題発表と討論
2022年7月26日(火)14:15






2019年度に発足した本講座は、電気通信大学(以下、電通大)において今学期も昨年度同様、十分なコロナ対策を実施したうえで、本来の対面授業によって講義が実施されており、提携先の他大学に対してはオンラインによる遠隔授業の形態で配信されています。
今回の課題発表と討論の授業は7月15日(金)と7月22日(金)の2回に亘り行われました。授業は、学生が今学期の講義を通して学んだことを踏まえて、所属している研究室の研究テーマ、または学生自身が関心を持っている研究テーマにおいてSDGsに関する課題と解決方法を提案し、参加者で討論するという形で行われました。

第1回目発表会:電通大での課題発表の様子(7月15日撮影)

課題とそれを解決するためのアイデアを発表する学生(7月15日撮影)

第2回目発表会:課題発表の様子(7月22日撮影)

課題と解決案を発表する学生(7月22日撮影)
発表の評価ポイントは以下のテーマに対する問題意識の高さでした。
「あなたの国または出身地におけるSDGsの達成に必要な課題を、ICTを用いて解決する策、またはアイデアを提案する。」
発表及び質疑応答は以下の時間配分で行われました。
・発表時間:7分
・質疑応答:5分
計12分
2日間に分けての授業となり、合計で34名の学生が参加しました。
課題とICTを活用した解決方法を提案するにあたり、「SDGsへの寄与の度合いや提案内容の卓越性、及びその波及効果」についても触れて短時間で要領よく発表する必要がありました。
【発表の内容】
学生たちは、「都市計画」「農業」「気象」「医療」「教育」「福祉」等、様々な分野の研究開発テーマを独創的な視点から調べて紹介していました。その中で以下に紹介するような【高齢化社会が進む国でのICTを活用したSDGsの達成方法】の発表があり、学生たちの「高齢化社会」に対する問題意識の高さがうかがえました。
●調布・デジタル・長寿(以下、CDC)演習プロジェクト
・外出が困難な高齢者は、家庭内のみで他者とのつながりがない。
・高齢者層はスマートフォン等の電子機器の知識がないため、デジタルデバイドが進んでいる。
・調布市には、調布に住む高齢者を支援するために、CDCエクササイズというプロジェクトがある。CDCエクササイズは、「健康教室」、「スマホ教室」の2つのプログラムで構成されている。
・狙いは情報格差解消のためのコネクション強化、健康状態の改善、幸福度の向上・維持。
・この活動は、SDGsにおいて以下の目標にあたる。
4:教育サービスの低下(スマートフォン等の使用方法が分からない:デジタルデバイド)
10:インフラ格差( 情報・通信インフラ)
11:地域社会(ローカルコネクション)

●台湾における高齢化の現状と遠隔医療
・2020年、台湾では65歳以上の人口の割合が、全人口の16%を占めることとなり、高齢化が急速に進み、2060年にはこの割合が40%になると予測される。
・高齢化対策のアイデアとして、ICTを活用したスマートウォッチやウェアラブルデバイスの利用し、健康状態を自動で検出する技術や、病院のシステムと連携しデータを共有する方法等がある。
・ビデオ会議システムの使用で薬剤師によるオンライン服薬指導も可能。

●ICTを活用した民生委員活動
・日本国内で活動している民生委員は230,000人。 民生委員の人たちがICTを活用することにより社会福祉を増進させることが可能。
・生活相談、見守り、安否確認等や、福祉・サービスに関する情報提供は、ICTを活用すれば将来的に負担が軽くなり、一人暮らしや孤独死の問題を解決する。
・タブレット端末を使ったビデオ通話で顔を見て話すと、人々が地域との関わりを感じ、詐欺を減らすことも出来る。

発表後のQ&Aでは、様々な質問が出され、今後の研究の新たな課題が見つけられた受講生もいました。

発表内容に対して質問をする受講生

今後の研究への提案と質問をする榑松副理事長(BHN)

松浦教授の鋭い質問に思わず頭を抱える一コマも