令和8年5月8日 『BHN桑原基金寄付講座』:SDGsを支える情報通信論 第5回
2026年5月12日(火)13:39
「防災・減災におけるICT―SDGs達成に向けたICT活用事例-」
2019年度に開講され、今年で8年目を迎えるBHN桑原寄付講座「SDGsを支える情報通信論」の本年度前学期第5回授業が、5月8日に国立大学法人 電気通信大学(以下、電通大)で行われました。今回の授業は海野 忍講師(BHN副理事長)により「防災・減災におけるICT」と題し、ICTがどのように防災・減災に利用されているかが紹介されました。
本講座の授業は英語で行われ、対面での受講に加え、オンライン配信およびオンデマンドのビデオ配信による受講も可能です。今回は教室では18名の学生が受講しました。出席した学生はほとんどが海外からの留学生でした。

授業の様子
由良 憲二名誉教授(電通大)の講師紹介のあと、海野講師より以下の内容の講義がありました。
1.日本の災害状況
大地震は、日本近海でプレートの動きによって生じたひずみが解放されることで起こるという説明のあと、東日本大震災や能登半島地震の発災時の様子が動画とともに紹介されました。津波は到達までに時間があるため、その間に高い場所へ避難することが大切であると説明されました。留学生にとっては津波による被害を見るのは初めてのようで、その破壊力に驚いていました。
また、災害発生後にNTTグループなどが行なった被災後の通信確保のための活動も紹介されました。

講義を行う海野講師(BHN副理事長)
2.日本の防災・減災対策
日本で過去の災害から得られた防災3助(自助・共助・公助)の考え方の説明の後、国レベルからコミュニティレベルで防災計画が立てられることが紹介されました。通信関係の対策としては、基地局の電力がバッテリにより確保され、さらにある通信事業者で通信障害が生じた場合でも他社のネット―ワークが利用できる対策が取られているそうです。
また、災害時にはSNS等での偽・誤情報に注意する必要があるとの話もありました。
3.防災・減災用ICTの事例
中央防災無線網やJ-Alertなど防災・減災情報伝達システムが紹介されました。東日本大震災時に取られた基幹回線の迂回による通信確保を例にNTTによる情報通信の強靭化と防災対策の説明がありました。
4.ICT活用における今後の課題
防災・減災対策におけるデジタル化の考え方が示されました。たとえば、「デジタルファースト」として、従来の人海戦術型では多様化する防災は対応困難となるため、全国で統一されたデジタル基礎を構築してデジタルを活用し、アナログの力を最も大事なところで活用するなどです。
最近のICT活用事例としてクラウド型被災者支援システムなどが紹介されました。
また、最近急速に進歩しているAIの利用例も紹介されました。
最後に、防災・減災においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)を行う必要があり、その活用として、下記のことが挙げられました。
・災害監視・予測の高度化
・被災者支援・避難対応のデジタル化
・組織・広域連携の強化
・教育・訓練への活用
今回の授業に参加した留学生の多くは、地震による被害を実際に体験したことがなく、日本ではどのような防災・減災対策が講じられているのかに強い関心を示していました。本授業を通じて、ICTが防災・減災の分野において極めて重要な役割を果たしていることを理解してもらえたと思います。

講義を聞く海外からの留学生
