2015年度APT-J4人材育成研修「デジタルデバイドを解消するためのICT サービス及びE-applicationの利活用」

2016年5月11日(水)14:50

 

APTに加盟しているアジア諸国では、光通信や移動通信によるブロードバンド環境が年々整ってきていますが、医療サービス・教育面での地域格差、情報セキュリティに関する問題意識の低さ等が大きな問題となっています。日本が推進する地域ICT利活用事業の具体的事例は、アジア諸国でもデジタルデバイド解消に参考になると考えられます。

APT加盟国の情報通信省・通信事業者で、特に遠隔医療やICTによる防災・教育・産業支援・情報セキュリティなどに興味があるICT技術の担当者を対象とした研修を2016年3月1日~18日に実施いたしました。今回の研修には15カ国から17名の研修生が来日、途中モンゴルからの研修生が体調不良となり帰国したことは残念でしたが、14か国16名の研修生は寒暖の差が厳しい時節に大きく体調を崩すこともなく、研修を終えることができました。具体的なICTを活用したモデルシステムとして、以下のテーマを中心にカリキュラムを組みました。
①セキュリティ技術
②防災・減災を考慮したM2M(Machine to Machine)、センサーネットワーク技術
③電子カルテ・遠隔医療・健康見守りシステム
④ICTを活用した創造的復興支援による街づくり
⑤環境保護、環境モニタリング

今回の研修で特に焦点を当てたのは、セキュリティ技術、医療ICT、フリーWiFiの3点であり、2020年に向けて開発される第5世代移動通信サービスが開花するためのカギとなる要素技術として取り上げました。

セキュリティ技術では、総務省から日本における取組の講義、情報セキュリティ大学の訪問では大学関係者からのアカデミックな講義と実務の討議、セコム社訪問で実社会での実用化事例を視察できたこと、などにより研修内容を充実させることが出来ました。

医療ICT分野では、日本における遠隔医療の紹介、生体センサーによる健康見守り、遠隔病理ネットワーク、周産期医療システム、などの具体的なシステム紹介により、医療と通信の連携の効果並びに有効性について理解を深めてもらいました。また、香川県各地を訪問したことが地方メディアでも放送され、香川県のHPにも掲載されました。

3点目のフリーWiFi技術は、ブロードバンドネットワークと携帯電話システムの更なる有効利用を実現する無線アクセス技術です。この取り組みは、地域活性化の目玉である観光事業や地域情報発信に役立つとともに、日本で開発された多言語翻訳ツールを組み合わせると各国の観光スポットでもすぐに導入できることから、研修生の注目を集めていました。

 

研修生が日本のICT利活用事例を勉強し、この技術を基に各国のニーズに合ったシステムを実用化に向けたプロジェクト(APT-J2/J3)に発展させることにより、各国の都市と地方の間でのデジタルデバイド解消に役立つことが期待できます。特に遠隔医療と遠隔教育は地域の活性化を実現するカギとなる技術です。また、この研修を通じてできた人脈ネットワークは、日本のICT利活用技術の具体的事例の発信による経済活性化及びコンテンツ制作などの整備を支援する足掛かりになるでしょう。

プロジェクトマネージャー(副理事長) 榑松 八平

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