「BHN人材育成プログラム」 第26回後期研修を実施

2025年11月13日(木)12:26

 

1998年に開始しましたBHN人材育成プログラムは今回26回目の実施となりました。 

実施方法は実施環境の変化に対応して少しずつ変えてきていますが、コロナ禍以降の23回(2022年)からは、春に前期研修をマレーシアのマルチメディデア大学の講師陣による3週間のオンラインの講義、秋に東京にて対面で2週間の後期研修という形で実施しています。 

本報告では、10/3(金)~10/17(金)の日程で行われました第26回の後期研修の様子を日ごとに振り返りながら、どのような研修が行われたかを紹介します。 

研修の構成は、基本的には平日は午前に2つの講義、午後に通信関係の施設、研究所の見学、休みの日には日本文化に親しむための小旅行、茶道体験などとなっています。講義は、ICT分野に加え、幹部に必要な幅広い見識を養う観点からリベラルアーツの要素を含み、エネルギー問題などの社会的テーマを含む幅広い分野をカバーした内容となっております。講義は英語で行われます。 

今回の研修員は、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ウズベキスタン各1名、スリランカ2名、男性5名、女性4名、計9名で、ベトナムは先方の事情で不参加でした。 

 

10月2日(木) (研修開始前日)】 

研修員9名の内8名がそれぞれのフライトで成田空港または羽田空港に午前から午後にかけて到着。残り1名のラオスからの研修員は飛行機の遅れでベトナムでの乗り継ぎ飛行機に間に合わず翌3日に成田に到着。各研修員は空港到着後、宿泊施設も有するAOTS(一般財団法人 海外産業人材育成協会)東京研修センター(北千住)にチェックイン。 

10月3日(金) (第1日目)】 

開講式とカントリレポート発表会を実施。本プログラムを長年支援していただいているNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーション)から11名の社員が出席され、各レポートについての質疑や発表会終了後の研修員との交流に活発に参加していただき、研修員と社員の方々にとって有意義な時間となった様子でした。 

 

開講式の模様

 

【10月4日(土) (2日目)】 

自由行動日でしたので、研修員は新宿、渋谷などに行って東京見物をしたようです。 

10月5日(日) (3日目) 

今日は箱根、小田原への小旅行でした。海外からの旅行者が多く、乗り物待ちで時間がかかり途中で休憩も取れず、登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船、バスで箱根を通り抜けるだけとなりましたが、研修員は箱根で日本の景色を楽しんでくれたようです。小田原では小田原城を見学する時間があり、天守閣からの展望で目の前に広がる太平洋を海のない国のラオスとウズベキスタンの研修員が目を凝らして眺めていた。また、研修員は小田原城をバックにしきりに写真を撮っていました。明日の月曜から本格的な研修が始まります。 

10月6日() (4日目)】  

この日から本格的に研修が始まりました。講義は、日本の技術援助による国際協力と、携帯電話利用の動向に関するものでした。午後は、携帯電話のオペレーションセンターの見学でした。みんな元気で積極的に取り組んでいます。 

107日(火) (5日目)】 

講義は、SDGsと、AIに関する講義でした。午後の研究所ではIOWNに関する講義と見学を行いました。講義や見学では多くの質問がでました。 

108日(水) (6日目)】 

講義は遠隔医療に関するもの(講義は講師の都合で急遽オンライン講義)と、サイバーセキュリティーに関するものでした。午後の見学では光ファイバーの接続作業体験をしましたが、現場作業を行う機会の少ない研修員にとって貴重な体験だったようです。 

109日(木) (7日目)】 

講義は、通信分野における米国の最先端の研究動向(カリフォルニアからのオンライン講義)と、データビジネスの新潮流に関するものでした。午後は光ファイバーの製造工場を見学しました。 

1010日(金) (8日目)】 

講義は、情報セキュリティーの講義と、世界のエネルギー事情に関する講義でした。午後は、5Gを利用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の講義を受けたあと、5Gと6G技術の展示室を見学しました。

1011日(土) (9日目)】 

今日は帝国ホテルの茶室 東光庵で本格的な茶道体験をしました。研修員にとって新鮮な日本文化の体験となり非常に喜んでいました。  

 

茶道体験の様子

 

【10月12日(日) (10日目)】 

終日自由行動の日でした。研修員は上野、浅草の観光をしたそうです。 

【10月13日(月) (11日目)】 

この日は祝日でしたが、午後に有明のそなエリア東京で防災体験をしました。地震の起きる時期というものがあるのかと聞いた研修員がいました。地震と縁のないところでは地震のことをあまり知らないようです。 

【10月14日(火) (12日目)】 

講義は、IT産業のトレンドの講義と、IT企業の経営についての講義でした。午後の見学では、衛星画像を利用した3D地図サービスとユーザーフレンドリーな設計をするためのワークショップ体験でした。

 

IT産業のトレンドについて講義する海野 忍講師 (BHN 副理事長)

 

【10月15日(水) (13日目)】 

講義は、衛星による地球観測とそのデータの利用に関する講義と、NGOの役割についての講義でした。衛星から大気中の水分、二酸化炭素、メタンなのどの濃度が測定されていることと衛星からの取得情報を国際的な連携で共有する事に研修員は関心を持ったようでした。午後にもICTを利用したスマート農業の講義を受け、その後の遠隔営農実証ハウスなどの見学を行いました。 

【10月16日(木) (14日目)】 

講義は、日本の労働組合の取り組みを紹介する講義と、GAFAMのグローバルプラットフォームを補完するローカルプラットフォームに関する講義でした。午後はデジタル時代における経済発展について大野 健一 政策研究大学院大学(GRIPS) 名誉教授から講義を受けたあと、大野GRIPS名誉教授をファシリテータとして研修員でICTによる経済発展について活発に意見交換する討論会を行いました。 

【10月17日(金) (15日目)】 

研修員の研修報告、修了式、懇親会を行い研修の全日程が終わりました。研修員には修了書と記念の写真立てが稲生BHN理事長より渡されました。その後の送別懇親会は各国大使館からの出席者、AOTSの方々、 講師やBHNのスタッフと研修員とが名残惜しげに交流し、研修員たちは期待以上のことを学ぶ経験できたと満足な表情でした。 

 

修了書を手に記念撮影

 

【10月18日(土) (研修終了翌日)】 

研修員の離日の日です。研修員はそれぞれのフライトに応じてAOTS東京研修センターをチェックアウトし、帰国の途に就きました。 

 

研修が無事終了し、主催者として何よりも嬉しいことは研修員に楽しく充実した研修であったと言ってもらえたことでした。 

研修員には、研修で得た知見を活かし、それぞれの職場で自国の発展に貢献するとともに、日本との交流の橋渡し役となってくれることを期待します。また、2週間の研修の間に研修員9名が昔からの知り合いのように打ち解け合っていましたので、アジア諸国間の交流と連携を推進する人材となってくれると強く感じました。 

 

 

     

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