ラカイン州グワ郡の学校及び村落における防災支援及び保健衛生意識向上事業

2020年4月27日(月)18:00

 

 

第7年次事業始まる

令和元年度(2019年度) 外務省 日本NGO連携無償資金協力(以下N連)(注)の採択を受け、ミャンマー ラカイン州においてN連事業を2020年1月に開始しました(事業期間2020年1月1日~2020年12月31日)。
本事業は、ラカイン州グワ郡の中学校等に学習支援及び村落伝達支援システム(Learning and Communication Assist system for students and residents, LCAシステム)とハザードマップを設置し、それを利用して生徒や住民の防災能力の向上及び保健衛生意識向上のための活動を行います。

事業の活動内容は
①LCAシステムの導入(1年次:15校)
②ハザードマップの作成と設置(1年次:15校)
③教師向け防災研修
④保健衛生意識の向上 です。

ラカイン州は、ミャンマーのなかでサイクロンや洪水の災害が多く発生する地域です。これはラカイン州がサイクロンの発生するベンガル湾に面していることや、年間降水量が5,000mm以上に及ぶためです。グワ郡では過去10年の間でも巨大なサイクロンに2回襲われ、大きな損害が生じています。サイクロン等による被害を最小限にするため、LCAシステムの普及が必要となります。一方医療サービスの面については、農村部では、病院や医者の数が少ない等により医療サービスを受けにくい状況にあり、住民の保健衛生意識を高め罹病を予防することが必要です。

LCAシステムは放送設備と視聴覚設備を有しており、放送設備のスピーカは校内向けと校外に向けて放送され、校内向けスピーカでは学校関係者、及び生徒全員が同時に聞くことが可能となります。校外向けスピーカは学校周辺の住民に向けたパブリックアナウンスに使用され、サイクロン襲来時等の非常時には校内・校外向けに緊急情報等を一斉放送することが出来ます。これらに加えて、避難場所、避難ルート等が示されたハザードマップを校内、及び校外に設置し、地域防災力の向上を図ります。併せて学校での保健衛生に関する教育や校内・校外向けに健康的に生活するためのメッセージを放送することにも利用し、保健衛生意識の向上を図ります。

その他のLCAシステムの利用方法では、放送設備は、定期試験のガイダンス、学校での防災演習、及び行事案内等を校内外に放送することにも供され、これにより父兄や住民が学校での教育に関心を持つようになることが期待されます。視聴覚設備は、防災や保健衛生の教育で使用することにより生徒が理解しやすくなり、学習の意欲が高まることが期待されます。

本事業は、BHNとしてはラカイン州での初めての事業であり、事業開始に当たり州都のシトウエでラカイン州知事に当会の赤羽根理事長、土橋理事が表敬訪問し、事業概要を説明しました(1月17日)。事業地のグワではラカイン州の社会福祉大臣、保健省次官、及び地域関係者を招いてキックオフミーティングを実施しました(1月20日)。

 

ラカイン州庁舎で州知事との集合写真(1月17日)

 

事業地グワでキックオフミーティング(1月20日)

 

これに続き事業実施地におけるLCAシステムとハザードマップの現場調査、モデル村落の保健衛生に関するベースライン調査を実施しました(3月)
雨期に入る6月には学校も始まり、本格的にLCAシステムやハザードマップの設置工事を開始する予定です。しかし、今後の事業を進めるにあたり、現在世界各地で新型コロナウイルス感染が拡大しておりますので、ミャンマー国内の感染動向によっては、事業の遂行に影響が生じる可能性があります。

 

注:日本NGO連携無償資金協力は、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発事業に外務省より必要な資金が供与される制度。

 

Kwin Gyi学校でLCAシステム概要説明実施

 

Ya having pyar村落でのハザードマップ現場調査

 

Daung Chang 学校でPHFによるベースライン調査(保健衛生意識向上事業)説明会開催

 

Daung Chang 学校で生徒達から健康調査の聞き取り

 

家庭訪問で健康調査の聞き取り

 

グワは漁業が盛んです(イカ干し風景)

 

参与 渡辺 栄一

 

 

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