【ハイチ】 ハイチ地震被災者支援事業CAシステムの防犯対策の強化
2012年12月6日(木)19:00



2012年8月末に開始した、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金によるハイチ地震被災者支援の第3次事業では、レオガン市内に設置した地域防災情報システム(CAシステム)41基を対象に、防犯対策工事や修理・移設工事、住民を対象とした防犯・防災啓発活動を進めています。その中の防犯対策強化活動の進捗状況を、志村会員が11月に現地へ入り確認してきました。今回実施している工事の具体的内容について、以下ご紹介します。
1. ソーラーパネル
梯子車も梯子さえもない中、9mのポールをよじ上り、上部に設置してある重たいパネルをフレームから外し、下まで降ろして持ち去るのは、通常至難の業。しかしソーラーパネルは機材の中でも再販価値が最も高く、実際に素手・素足で上って盗むという事例が、これまでに報告されています。そこで、パネルを物理的にフレームから外せないよう、フレーム自体に溶接加工を施しました(写真1のA)。
またこれまで報告はないもの、フレームごとポールから外して盗んでいく危険性も否めないので、フレームをポールに固定しているボルトの頭部分をすべて切断し、その切断面にシリコンを塗って、ボルトも外せないようにしました(写真1のB)。
2. バッテリー
バッテリーは機材を入れたボックスの中に設置してあるので、一つずつ鉄製バンドで固定し、取り外しができないようにしました(写真2)。バッテリーのみ別のボックスに搭載したものについては、ボックスを開けられないよう、ボックスごと鉄製バンドで巻きました。
メンテナンスのための取り外しや交換は以前に比べて手間がかかりますが、特殊な工具や建柱車があれば可能なので問題はありません。
3. 防犯のための囲い小屋
マイクやアンプ、ラジオなどは、手の届くポールの下部に取り付けた、ボックスの中に保管してあります。このボックスは、毎日システムを使うたびに何度も開け閉めをする為盗難対策がしづらく、このボックスをポールごと囲う小屋を建て、その小屋のドアにも頑丈なカギを取り付けることで二重のセキュリティを確保しました。
壁はトタンでできており、泥棒が小屋を壊そうとすれば大きな音が出る為、住民が気付いて盗難を阻止する可能性も高くなります。この囲い小屋は、現地の大工さんとコミュニティの住民たちの共同作業で順次建設をしています(写真3)。
4. その他
上記の対策の他、可能な場合は個人の家の塀の中にシステムを移動したり、有刺鉄線をポールに巻いて登れないようにしたり、住民の人たちと話し合いながら防犯対策を強化しています。また、システムのオーナーであるコミュニティの住民に、「自分たちのシステムは自分たちで守る」という意識を高めてもらうためにワークショップを開催し、情報・意見交換を通した防犯に関する啓発活動を行っています。
今やレオガンの住民の貴重な情報源となっているCAシステム。レオガンの住民とともに知恵をしぼって、これからもしっかり守っていきたいと思います。
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ハイチ地震被災者支援事業担当:秋場(プロジェクト・オフィサー)