世界的に珍しい埋没林と春を告げる可憐な花

2022年2月28日(月)10:32

 

 

BHN 広島事務所 福田 卓夫さんからの現地レポートをお届けします。

私たちが活動を行っている島根県大田市北三瓶地区に、「古代・縄文時代の杉」がその当時のままの状態で見ることのできる場所があります。

古代には、このあたりは巨大な縄文杉が林立していました。約4000年前に近くの三瓶山(さんべさん)が噴火したときの土石流により、縄文杉(樹齢約450年)が当時立っていたままの状態で埋まりました。

それらが、1983年の圃場整備(ほじょうせいび)の際に発見され、根元まで掘り返し、「さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園:さんべあずきはらまいぼつりんこうえん)」という県の施設として保存されています。

 

埋没林、林立する巨大な縄文杉(北三瓶会様提供)

 

施設の地下に降りていくと、そこには圧倒的な迫力で古代・縄文時代の森が再現されています。土石流に流されて横たわる幹もあれば、当時のまま根を生やして立っているものもあります。縄文時代の木のすぐ近くまで行くことができ、木の断面に顔を近づけると、かすかに木の香りがします。

このように直立状態で残存する縄文杉の幹は世界的にも極めて貴重だということで、国の天然記念物に指定されています。

 

埋没林、生きた木のように見える縄文杉の根元(北三瓶会様提供)

 

この埋没林の近くに、可憐な薄紫色の花を咲かせる「ユキワリイチゲ」の自生地があります。「雪割一華」と書き、この地区では、雪が解け春の訪れを告げるかのように、毎年2月下旬から3月中旬ごろにかけて咲きます。

 

春を告げる可憐な花、雪割一華(ユキワリイチゲ)(2021年3月11日撮影)

 

ユキワリイチゲは島根県内でも限られた場所でしか見ることができず、準絶滅危惧種となっています。この地区でも、地元の人が大切に保護活動を続けています。

 

BHN広島事務所 福田 卓夫

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