ICTオープンカレッジ第6期修了式模様ならびに石巻市等被災地の復興状況報告

2015年12月7日(月)14:18

 

当会は3.11東日本大震災の被災地宮城県石巻市及び周辺地域において、発災直後からこれまで、ICT技術を活用した支援活動として「宮城県石巻市等被災者IT研修・就労支援活動」及び「宮城県石巻市及び周辺市町被災者のコミュニティ支援活動」等を実施してきました。
現在は、上記二つの支援活動のうち継続事業を「宮城地域ICT支援プロジェクト」に集約して実施しています。これまで4年間に渡ってICTオープンカレッジ事業を継続してきました。

●石巻専修大学ICTオープンカレッジ第6期修了式

2012年~2013年の二年間、石巻専修大学、復興大学、石巻信用金庫本店等被災地の地元組織の協力を得て当会が主催したICTオープンカレッジ事業は被災者の就労支援に役立つとして大変好評で、被災地から多くの継続要望が寄せられました。そこで、2014年からは、地元「復興大学」が主催し、当会は研修用PCを貸し出す協力事業として支援活動を継続してきました。

2015年9月~11月に、石巻専修大学ICTオープンカレッジ第6期(15回コース)を実施しました。主任講師は、復興大学コーディネーター阿部真司氏、石垣雅輝氏が担当し、受講生からカリスマ講師と呼ばれて慕われました。

この4年間で延べ200名近くの被災者が就労等を目指して受講しました。しかし、復興大学は2015年度末をもって終了します。11月中旬、「復興大学が主催する最後のICTオープンカレッジ第6期修了式」には、当会会長(佐藤征紀)が出席し、「今日の修了式で終わりにせず、機会を捉えパソコン活用を継続していただきたい。今回のICTオープンカレッジ受講が、パソコンという便利で楽しい、生活を豊かにするツールを好きになるきっかけになれば、関係者の一人としてこんなに嬉しいことはありません」と受講生を激励しました。

修了式に併せ、震災から4年8カ月が経過した宮城県石巻市、東松島市、南三陸町及び女川町の関連個所を訪ねた際の様子を、以下にご報告いたします。

●石巻信用金庫本店地域貢献部 訪問
第1期以来、今回の第6期まで繰り返し研修会場をご提供いただいた石巻信用金庫本店地域貢献部(部長星澤敬子氏)を訪ね、これまでのお礼を述べるとともに、「被災地におけるこれからの地域貢献の在り方」について話し合いました。

●石巻仮設住宅自治連合推進会 訪問
当会と石巻仮設住宅自治連合推進会は、「宮城県石巻市及び周辺市町被災者のコミュニティ支援活動」の最初の段階から常に相談しながら進めてきました。今年に入ってから、石巻仮設住宅自治連合推進会は新事務局体制(山崎信哉名誉会長、増田敬会長、内海徹事務局長)に変更し、事務局オフィスを宮城県石巻市不動町から同市蛇田字新立野「新蛇田地区」の市営新立野第1復興住宅集会所内へ移転しています。

この「新蛇田地区」には、復興公営住宅(535世帯)、自己資金で戸建て住宅を建てる世帯(730世帯)、合せて「1265世帯」の入居が計画されています。宅地供給や復興公営住宅の入居が本格化してきたことから、この11月3日に「まちびらき」が行われたとのことです。

前回7月(写真撮影時)、そして今回11月の二度にわたって新しい石巻仮設住宅自治連合推進会事務局オフィスを訪ねました。被災地では、「住民が減り続ける既存仮設住宅団地でのコミュニティ維持」と「宅地造成工事を終え、建築工事が進められている復興公営住宅・戸建て住宅等の新しい街区に移って生活再建を始めた人々の新コミュニティ構築」の両方に目配りする難しさについて話を伺いました。このような状況が複雑で性急な対応が難しい時には、「ゆるやかなリーダーシップが最も重要だ」と繰り返し話されたことが印象に残りました。

●被災地の復興状況
南三陸町では、被災したまま保存されている防災庁舎跡地の周辺でも次々に嵩上工事が行われていました。

女川町では、山肌を削り下ろして街全体の嵩上工事が進んでいました。嵩上工事を終えた場所にはJR石巻線女川駅の新駅舎が完成し、線路は開通しています。新駅舎の展望台から海岸方面を見ると、広いレンガ道路が延びその両側では新しい商店街の建築工事が急ピッチに進んでいました。

被災後、長期間不通となっていたJR仙石線は、一部線路区間の高架工事を含む高台移転を終え、この5月30日に全線開通しました。JR仙石線(新)野蒜駅から(新)東名駅の線路山側は大きく削られ野蒜北部丘陵団地建設のための土地整備が進んでいました。

石巻市内を流れる旧北上川右岸では「高さ6メートル、幅6メートルの堤防」を築いて地盤の低い石巻市街地を防護する護岸工事の準備が進められていました。

2015年10月末の時点で、既存仮設住宅団地には未だなお50%~60%の被災者が暮らしています。大多数の被災者は2015年~2016年末にかけて土地区画整備を終えた街区の復興公営住宅入居や自己資金による戸建て住宅建築等の本格的な移行段階へ入っていきます。新しい街区に移って生活再建を始めた人々の新コミュニティ構築はこれからの重要な課題です。
当会は「宮城地域ICT支援プロジェクト」を通じて被災者に寄り添っていきます。この支援活動を円滑に実施するために、宮城事務所業務(所長石垣正一)を2016年以降も引き続き継続することにしています。

宮城地域ICT支援プロジェクト担当 有馬修二(理事)

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