国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の新しい取り組み、複数活動拠点を繋げて①~

2023年5月23日(火)9:27

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年の事務所開設以来、2018年7月に発災した西日本豪雨被災地(広島県)、2021年7月・8月に発災した令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施してきました。

新型コロナウイルス感染症の蔓延時期と重なった2020~2022年度には、沢山の工夫を加えて被災者支援活動を継続しました。特に、従来のICT支援ツールであるパソコン・プリンター・ドコモおくダケWi-Fi回線に、新しいICT支援ツールとして、NET会議・クラウド・SNS・タブレット・スマホ・ポケットCO2センサー・ドコモhome5G/SH-52Wi-Fiルータ等を加えて支援活動を継続実施しました。

更に、島根県及び広島県の二つの県にまたがる被災者支援活動を一体的に実施し、「島根県大田市北三瓶センター及び広島県安芸郡府中町府中南センター」における各種活動の中に、技術開発センター機能及び業務開発センター機能の役割を持たせて、「ふれあい型被災者支援活動ツール&ネット活用型被災者支援活動ツール」の開発・活用に挑戦してきました。

島根県及び広島県の2県間を結んで新しい被災者支援活動法を開発・活用する手法は、発生が予知されている南海トラフ巨大地震・首都直下地震等複数県を跨る広域災害に備えるための「広域災害後方支援ICT機能整備の基本検討業務」に役立ちました。

なお、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区より支援活動の継続要請を受けています。BHN広島事務所では、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えつつ、併せて、広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、豪雨災害被災者支援事業で獲得した経験・ノウハウのデジタル資料化、南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」、等を進めていきます。

今回は、3カ所で活動をまとめて報告します。

1.島根県大田市北三瓶まちづくりセンター「スマホ基本機能の復習と情報共有の実習」

2023年4月6日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンターにおいて実施した「スマホ基本機能の復習と情報共有の実習」について報告します。講師は福田 卓夫氏です。研修会場の北三瓶まちづくりセンターには、住民8人+まちづくりセンター職員2人が参加しました。

(1) スマホ基本機能の復習

まず、LINEを使って音声入力の復習をしました。これまでにもやったことのある機能ですが、使っていないと操作手順を忘れてしまいます。また、機種によって違いがあるので、まちづくりセンター職員もサポートしてくれて、全員ができるまで丁寧に行いました。文字入力が難しいと感じる人が多いので、音声入力はとても役立つと好評でした。

続けて、相手に自分の音声でメッセージを届けるLINEのボイスメッセージ機能を研修しました。更に、LINEで写真を送るときに、あらかじめ撮った写真を送るのではなく、その場で撮ってすぐに送る機能を練習しました。これは緊急時にも役立つ機能です。目の前で起こっていることをすばやく通報したいようなときに使えます。

(2) 情報共有の実習

LINEのアルバム機能を使って写真を共有する実習を行いました。あらかじめ、今の時期に周りで咲いている花の写真を撮って、その中から他の人と共有するものを選んでおいてもらいました。LINEのグループに「春の花」というアルバムを作り、各人が撮った写真を追加することにより、春にこの地区で咲く花の図鑑のようなものができました。

(3) 個別の相談

最後に個別の相談にも応えました。その中で、画面のロックを解除するのに指紋認証機能があっても利用できていない人が数人いたので、指紋の登録を行い、指紋認証ができるようにしました。せっかくの便利な機能があっても、使えていないケースがかなりありそうなので、今後とも丁寧にきめ細かくサポートして行く必要があることを痛感しました。

 

「スマホ基本機能の復習、情報共有の実習」
(2023年4月6日撮影)

 

「LINEのアルバム機能を使った写真共有」
(2023年4月6日撮影)

 

2.広島県呉市天応大浜地区「BHN活動の学習とスマホ使い方の調査」

2023年4月19日、広島県呉市天応大浜地区において実施した「BHN活動の学習とスマホ使い方の調査」について報告します。BHN広島事務所の講師は廣中 香氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、沖野 啓子氏が担当しました。研修会場の呉市天応大浜アパートには、住民5人が参加しました。

(1) BHN活動の意義

本部から届いた「BHNの国内災害被災者支援活動を伝える新聞記事~誰一人取り残さない社会、シニアの力を持続性ある支援活動に~」を回し読みし、BHN活動の意義について話し合いました。「シニアの経験を活かした社会貢献活動であることを改めて認識し、今後の活動を考えていくこと」を互いに確認しました。

(2)スマホ活用状況の調査

今後のICT研修を計画するために、参加者のスマホ活用状況を聞きました。その結果、皆さん毎日スマホを使っていて、アプリも色々なアプリを活用していることがわかりました。電話、LINE、カメラ等は、全員がほぼ毎日使っています。その他よく使われているアプリは、防災情報、ニュース、天気予報、カープの野球速報、万歩計、グーグルレンズ(画像検索)でした。

このことから、スマホはコミュニケーションの重要な手段となっており、安全・安心な暮らしのための情報や地域の情報を得て、健康管理にも役立つことがわかりました。BHN広島事務所では、今回の調査結果を踏まえて、今後の研修計画を検討します。

 

「BHN国内災害被災者支援活動を伝える新聞記事を回し読み」
(2023年4月19日撮影)

 

「スマホ活用状況、個別聞き取り調査」
(2023年4月19日撮影)

 

3.広島県呉市安浦地区「まずは近況報告・健康体操、スマホ研修会とお茶会」

2023年4月20日、広島県呉市安浦地区において実施した「始めに健康体操、スマホ研修会、そしてお茶会」について報告します。BHN広島事務所の講師は廣中 香氏が担当しました。研修会場の安浦老人福祉会館には、住民5人が参加しました。

(1) 先ずは近況報告・健康体操

先ずは近況報告、圧迫骨折により40日間入院生活を余儀なくされた方が久しぶりの参加に会話が弾みました。転倒したわけでもなく圧迫骨折が判明し、今もなおコルセット装着でリハビリを継続されています。健康で丈夫な身体が一番だとみんなで話し、ラジオ体操の動画を見ながら全員で健康体操を行いました。

(2)スマホ研修会とお茶会

安浦地区ではまだスマホ初心者が多く、今回初めてLINEをインストールして『安浦支え合い』のグループラインにデビューされた方もありました。今後の茶話会等の連絡がスムーズにいきそうです。LINEのビデオ通話の使い方がわからないという質問があったので研修を行いました。その場で相手を決めてお互いにライン通話のかけ方、取り方を実習しました。

次に「Googleレンズ」の使い方を研修しました。皆さん、こんな機能があったことに驚かれていました。散歩の途中に咲いている花もこれで名前がわかるのね、と嬉しそうでした。

 

「先ずは近況報告」
(2023年4月20日撮影)

 

「Googleレンズ、散歩途中に咲いている花の名前を確認」
(2023年4月20日撮影)

 

皆さん、これまでに配布したテキストを毎回持ってこられて、大切にされていることがわかります。「なかなかスマホを使いこなせてなかったけれど、ここへ来たら一つでも新しいことが勉強できる」と、嬉しい言葉もいただきました。

 

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
プロジェクトマネジャー(理事)
有馬 修二

 

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUBのポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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