熊本城の被災状況と現在の再建状況

2022年2月17日(木)9:44

 

 

BHN 熊本事務所 宮本 金生さんからの現地レポートをお届けします。

平成28年(2016年)4月14日21時26分、私が風呂上がりでくつろいでいた所、震度6強の大地震(震源地は隣町の益城町で震度7;自宅から10km余)に見舞われ、突然の轟音とともに自宅マンションが横倒しにでもなるかような不安に襲われました。更に、その30分後~2時間半の間に震度6弱の地震が2度、震度5の地震が4回ありました。28時間後の4月16日1時25分には、更に大きな震度7の大地震、その後も地震は続発し、4月末迄の間に震度5以上が16回、震度1以上では1000回を超える地震に見舞われました。

このような大地震によって、私が愛する、いえ、誰もが愛する熊本城も甚大な被害を受け、大小の天守閣(てんしゅかく)や櫓(やぐら)等の建造物被害だけではなく、「武者返し(むしゃがえし)」と呼ばれる反りの高石垣をはじめ多くの石垣が崩落し、石垣全体の三割(2万4千㎡)が被災し、積みなおしが必要な石は10万個ともいわれています。

約400年前、加藤清正によって築城された熊本城は明治10年の西南戦争直前に焼失し、昭和35年に再建された城ですが、地震からの復興のシンボルとして早期再建を望む声が強く、地震から10カ月後の平成29年(2017年)2月には天守閣の復旧整備工事に着手し、地震から5年後の令和3年(2021年)3月に天守閣の復旧工事が完了し、「黒い城」の代表格として名高い熊本城の雄姿が5年ぶりに甦りました。

 

再建された熊本城天守閣
(2022年2月8日撮影)

 

しかし、天守閣工事は完了しましたが、復旧工事全体の進捗は2割程度であり、石垣が崩落して1列の隅石が櫓を支え「奇跡の一本石垣」で有名になった「飯田丸5階櫓(いいだまるごかいやぐら)」は、石垣の積みなおしは完了したものの櫓は解体されたままです。

復旧工事全体の完了は15年後の2037年と随分先になります。

熊本城天守閣再建工事の完成により、昨年(2021年)4月から天守閣内部の一般公開が再開されました。しかし、入場門から天守閣までの通路は工事中のため、現在天守閣までは地上6mの仮設見学通路が設置されています。

 

工事中の熊本城、見学者用仮設通路
(2022年2月8日撮影)

 

見学者は工事期間中、この高い場所に設置された仮設通路から見学します。石垣や天守閣の雄姿がより間近に眺めることができますので、この機会にお出かけ下さい。また、熊本城再建にあたっては、全国の多くの皆さまに復興城主になっていただきましたが、小天守閣には芳名板を掲示、大天守閣4階にはデジタル芳名版が設置されていますので、リピーターの方はご確認されてはいかがでしょうか。

 

BHN熊本事務所 宮本金生

 

 

▶︎ これまでの現地レポートはこちら

     

寄付をする