清正公(せいしょこ)さんの「鼻ぐり井手(はなぐりいで)」

2022年2月21日(月)16:20

 

 

BHN 熊本事務所 尾形 邦彦さんからの現地レポートをお届けします。

現代にも生き続ける歴史的農業土木施設「鼻ぐり井手(はなぐりいで)」は、私が住んでいる熊本県菊池郡菊陽町にあります。菊陽町 馬場楠(きくようちょう ばばぐすい)から熊本市中央区 渡鹿(くまもとしちゅうおうく とろく)までの約13Kmの灌漑用水路(かんがいようすいろ)の一部です。

現在でも181haの水田等を潤しています。「鼻ぐり井手」は慶長13年(1608年)加藤清正公により築造されました。熊本県では加藤 清正公に対し親しみを込めて「せいしょこさん」と呼ぶ人が多くいらっしゃいます。

 

「鼻ぐり井手」の外観(2022年2月16日撮影)

 

阿蘇山に源を発する白川(しらかわ)は火山灰土壌のため、土砂の堆積が酷く白川から水を引いている灌漑用水路の管理が大変でした。その課題を解決したものが、水流を利用して土砂を次々下流へ排出する「鼻ぐり」です。

「鼻ぐり」は、堅い岩盤と水流を有効利用した仕組みで、非常に珍しく他の場所で見ることはできません。約2~5m間隔に、幅1m、高さ4mの岩を隔壁にして屏風(びょうぶ)のように残し、その下辺にカマボコ型の直径2mの水流穴(鼻くぐり穴)をくり抜いたものです。

農林水産省農業工学研究所の調査・実験結果で「鼻ぐり井手」の築造により、掃流力が通常の開削した水路の約10倍程度となり、「鼻ぐり井手」の構造は平均粒径0.02cm以下の火山灰土砂の送出に十分な水流であることが分かりました。

「鼻ぐり井手」の実験に使用された模型の一部が菊陽町南部町民センターに保管されています。

 

 

「鼻ぐり井出」の構造模型(実物大)
 (2022年2月16日撮影)

 

熊本県における最近の治水問題は、令和2年7月豪雨被災地の球磨川(くまがわ)の上流、川辺川(かわべがわ)に流水型ダムの建設です。「現代の鼻ぐり井手」となるように自然資源を巧みに活用して、早く住民が安心して住めるようになることを願っています。

 

BHN熊本事務所 尾形 邦彦

 

 

▶︎ これまでの現地レポートはこちら

寄附をする