令和2年6月、電気通信大学における「BHN桑原基金寄附講座」実施内容(4)

2020年6月30日(火)11:49

 

 

2020年度前期「SDGs実現に向けた情報通信政策」

2020年度前期講座が先月・5月にスタートし、去る6月19日(金)に今期・第6回目、6月26日(金)に第7回目の講義が実施されました。当面のコロナ禍対応として、今回もe-ラーニングによるオンライン講義により実施されています。

 

[第6回講義]:「地方創生におけるICT」 講師:小林 忠男 氏 (802.11ah推進協議会 会長)

 

☆ 講義内容の要点

当初、17の目標から成るSustainable Development Goals(SDGs)の要点について解説し、SDGsの特に地域創生に関する分野に於いてICT の必要性を説明されました。
特に、世界共通仕様でパソコン、タブレット、スマートフォン等が接続可能なインターネットの有用性を強調され、今後更に車やドローン等の移動体用の通信媒体として、ますますその有用性が高まっていくことを説明されました。
講義は終始・英語にて実施され、特に強調されたのは以下の内容でした。

1.近年の通信手段の推移は携帯電話の普及によってはじまり、パソコン・スマートフォン・タブレットの普及促進によって通信量が爆発的に増加しており、今後更に、ウェアラブル端末・車両・ドローン等の移動体への通信の利用が一層促進することが予測されること。

2.従来、NTTの有線通信網が主体であった通信媒体は、今後、無線方式主体となっていくことが予測されること。また、移動体通信の基地局やWiFi-spot等の謂ゆる拠点間の通信には光ファイバーが使用され、それら拠点局と各使用端末間の通信に無線方式が利用される形態となっていくこと。

3.これまで、腕時計・カメラ・ビデオ・ボイスレコーダー・翻訳機・パソコン等々を抱えて移動していた状態が、今後はスマートフォン単一に集約されていくと予想されること。更に、スマートフォンという名称が変わっていくことも予想されること。

4.世界共通仕様で、ライセンス不要で、かつ無料ないし極めて安価な通信手段であるWi-Fiは、今後一層世界中に普及していき、又機能も一層進化していくものと予想されること。

 

[第7回講義]:「医療におけるICT」 講師:榑松 八平 氏 (BHN副理事長)

[講師:榑松八平氏 BHNテレコム支援協議会 副理事長]

☆ 講義内容の要点

最近の日本全国における医療最前線の豊富な事例を動画もまじえながら紹介し、特に、地方における医療スタッフの不足に対処する有効な方法として、遠隔医療の導入・普及を推進する必要があることを強調されました。また、当面のコロナ禍から妊産婦を防護する方法としても、遠隔医療システムが大変役立っている状況を紹介されました。

講義は終始・英語にて実施されましたが、テーマが替わるポイントでは、英語と日本語でKey-wordを紹介されたので、理解の手助けになりました。

☆ 講義の内容は以下のような構成になっています。

1. 日本における社会的課題

・自然災害から学んだ地域医療ネットワーク

・遠隔医療・オンライン医療の現状

・遠隔医療とは?

2. 具体的な事例紹介

・遠野市の取り組み

・香川県の取り組み

・APT Project の事例

☆ 強調されたのは以下の内容です。

1.妊産婦及び胎児に関する世界的な死亡率の状況を解説し、先進諸国の中でも特に日本が低くなっていることを紹介され、更にこの分野における香川県の取り組みを詳しく紹介し、日本の中でも香川県が極めて低いレベルであることを強調されました。

2.香川県で開発された妊婦及び胎児のケアをするための検診システム(CTG)が、日本のみならずタイにおいても大規模に導入され、その結果、東南アジアにおいてはタイにおいて妊産婦及び胎児の死亡率が大変低い状況に改善されている事例を紹介されました。

3.CTGの海外への展開については、タイのみでなく、Asia Pacific Telecommunity (APT)を介して更に多くのアジア大洋州 諸国へも普及を働きかけていること。その結果、ブータンにおいてもその効用が認識され、近く大規模に導入・普及する見通しになっていることを紹介されました。

参与 紀伊 寛伍

     

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