「国際科学技術コミュニケーション論」第4回講義を実施

2020年11月2日(月)17:10

 

「BHN桑原基金寄附講座」 2020年度後学期講座開講

 

昨・2019年度に発足した本講座の第2期目となる2020年度後学期の講座がスタートしています。電気通信大学においては、十分なコロナ対策を実施したうえで、今学期は本来の対面授業によって講義を実施されており、提携先の他大学に対してはオンラインによる遠隔授業の形態で配信されています。

今学期第4回目の講義科目は「無線通信分野の国際標準化活動」として、10月30日に全て英語による講義が実施されました。

 

★「無線通信分野の国際標準化活動」の内訳 [講師:新 博行 工学博士]

 

講師:㈱NTTドコモ  新 博行 工学博士

 

講義の内訳は、次の4項目の構成になっています:
1.General aspects of standardization      (標準化の一般的な事項)
2.Overview of standardization in 3GPP    (*3GPPにおける標準化の概要)
3.Overview of standardization in ITU-R (**ITU-Rにおける標準化の概要)
4.Participation to standardization meeting (標準化会議への参加)

*3GPP=3rd Generation Partnership Project: ITU内で第3世代移動体通信の標準仕様を策定するため1998年に設立 ⇒ 第3世代は2000年に使用開始

**ITU-R=International Telecommunication Union(国際通信連合):情報通信技術に関わる国連の専門機関。
ITU-Rはその中の無線通信担当部門。

加盟国:193か国、メンバー:約900の企業、大学、国際/地域機関 

☆「1. 標準化の一般的な事項」について、次のように解説されました。:
・ユーザーの視点からは、サービスや機器の提供会社が異なっても、全ての装置の機能、接続条件、操作条件が統一されていることが望ましい。
・製造者の観点からは、多くの部品・装置が共通基盤から製造できれば、経済的・効率的な製造が可能となる。
・標準化は、基礎研究から販売活動までの全ビジネスプロセスにおける不可欠な一段階であること。

 

☆「2. 3GPPにおける標準化の概要」について、次のように解説されました。:
・3GPPは、欧州、米国、日本、韓国、中国、インドの標準化団体により構成されている。
・1998年の発足以来、携帯電話の主要な下記の規格は3GPPで作成され、現実に展開されたこと。
3G/UMTS (2000年~)、4G/LTE(2010年~)、5G NR(2020年~)
・3GPPの運営方法
(1)議決は多数決方式によらず、コンセンサス方式となっていること。
(2)新しい規格のリリースが、15~24か月程度で発行されること。
(3)電気通信産業に関わる世界の主要企業(事業者、ネットワーク、機器・部品製造会社)が参加していること。

 

☆「3. ITU-Rにおける標準化の概要」について、次のように解説されました:
・ITUには、次の3つのSectorsがある。
(1)ITU-T=Telecommunication Standardization Sector
(2)ITU-R=Radiocommunication Sector
(3)ITU-D=Telecommunication Development Sector<途上国開発支援担当>
・ITU-Rの役割 :世界中で無線システムが干渉なく利用できるように、周波数の利用や衛星軌道のグローバルな管理を行っている。

 

☆「4. 標準化会議への参加」について、次のように解説されました:
〇 国際会議参加者には、次のような(英語による高度な)スキルが必要となること:
・Hearing : 他参加者のプレゼンテーションや議論を理解する。
・Speaking : 議論中に自身の提案や主張を説明する。
・Reading  : 入力文書の内容や、出力文書のためのテキスト案を理解する。
・Writing   : 入力文書の作成や、出力文書のためのテキストを作成する。
〇 国際会議での用語には独特のものが有り、断定的な強意の表現は避けるようにする。
〇 国際会議へ継続的に参加して、文書や会合中の議論の分析を数多くこなすことが肝要であることを強調されました。

 

参与 紀伊 寛伍

     

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