【ラオス】医療無線網の構築事業(1998~2007)の概要

2012年6月1日(金)10:00

当会のラオス保健省への通信設備の支援は約14年前の1998年に始まりました。

当時保健省はラオスの幼児死亡率を改善する為、予防接種拡大計画(Expanded Program on Immunization: EPI)を立ち上げ、各県庁所在地にある県病院、その配下の地区病院、そして各村にあるヘルスセンター(HC)を通して、ワクチンの配送、保管を行っていました。この頃現在の様な携帯電話システムは無く、これらの連絡に必要な電話は本省から各県病院までで、県病院以下の連絡はバイク、川舟、徒歩によって数時間から数日かかる状況でした。

この連絡を容易にする為、1998年から2007年にかけ当会は保健省と覚書を締結し、1次で89台、2次で67台、3次で27台の無線機を設置しラオス全県に連絡網を構築してきました。

無線機を設置後、看護師たちに使い方をトレーニングした  ヘルスセンターに設置したVHF用アンテナ

この通信網はワクチン関連の業務だけでなく、マラリア等の感染症発生状況の把握、人口推移報告等にも使われました。 北部の山岳地帯は途中に山があっても通信出来る短波(HF)を、南部の平地は小さなアンテナですむ超短波(VHF)を使用しました。当初殆どのHCは商用電気がなく、バッテリーによる無線機の運用であったが次第に電気が来る様になりました。

機材の内、無線機等は日本から、アンテナの部品やバッテリー等は出来るだけラオスで調達し、設置作業はEPIのスタッフをOJTでトレーニングし一緒に設置を行い、その結果3次の27台はラオス人だけで設置することが出来ました。

無線機を設置後、アンテナの性能を確認  ベトナム戦争の残骸の前で関係者たちと撮影(下段右、富保)

私もこの間、北はビルマとの国境に近いHCへ途中まで車で行き、車両が走行出来ない道を1日歩いて同行、南はカンボジアとの国境に近いHCへ泥濘の道を、4輪駆動車のウインチを数箇所で使って到着、アンテナや無線機を設置し地区病院との連絡網を構築し現地担当者や村人に喜ばれたことは、今も忘れられません。

又、無線機器の故障に就いては、当会が修理や保守に必要な技術移転を行い、EPIスタッフが修理や予備機との交換を行い、難しい修理や対策に就いてはその状況をメールで受け、日本からアドバイスしてきました。

河になった道路を車両のウインチで走行  ヘルスセンターの近くに住む子供たちと撮影

ラオスも携帯電話の普及が拡大し、2010年には400万台(ラオスの人口は658万人/2011年の統計)を突破し、地区病院はもとよりヘルスセンターでも携帯電話が使用され、当会が設置した無線設備の使用が少なくなってきています。

使用されなくなった無線設備は、携帯電話での通話が出ないエリアへ移設し、保守用として保管しています。当会がラオスでの医療無線プロジェクトを始めて15年、今後は医療無線プロジェクトに代わる新たな貢献を保健省や他の部門と調整し、実施したいと考えています。

ラオス医療無線網構築事業担当:富保(参与)

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