【ミャンマー カレン州・モン州紛争被害者支援事業】第5期事業が始まりました

2021年2月18日(木)16:18

 

 

少数民族武装勢力(Ethnic Armed Organizations:以下、EAO)支配地域に住む住民へソーラー発電設備を提供する第4期の事業は、2020年11月に終了しました。

当初合わせて7,326軒の家々に設置する計画でしたが、競争入札で価格を抑えることができた結果、1,729増やして、合計で8,605軒の家々に設置することができました(対象人口は約40,500人になります)。

2020年当初から始まったコロナウイルス感染症はミャンマーでも猛威を振るい、事業の進捗にも影響したため、事業期間も3カ月延長せざるを得なくなりました。 まずは、機材発注先である中国で年初に感染が拡大した結果、機材調達が1カ月以上遅延しました。 次に、機材が到着した3月になると、今度は、ミャンマーでも感染が拡大し、工事のための人々の移動が制限され、どうにか工事を再開できるまでにまた1カ月以上が費やされました。

コロナでだいぶ遅れましたが、ともかく第4期の事業は完了しましたので、BHNでは外務省と折衝し第5期の計画(2020年12月から1年間,予算約2億8千4百万円))を引き続き実施できることとなりました。

第5期事業の概要は以下のようになっています:

1.カレン州、モン州のEAOエリアの村々に住んでいる人たちへの継続的なソーラー発電設備の設置=6,590軒分

2.カレン州でEAOが経営する高等教育学校へのコンピュータ教育設備の提供(ソーラー発電設備の工事を含めて9校分)

 

いずれの州においても入札手続きは進捗していましたが、そのさなかの2月1日にミャンマーでクーデターが発生しました。 その結果、コロナの蔓延だけでなく、クーデターに反対する運動による騒乱が重なって、事業実施のための安全な移動が困難となり、事業も殆ど進められない事態になりました。

しかし希望はBHNが実施してきたこのプロジェクトは、すべての利害関係者(これまでのミャンマー政府、国軍、EAO)との友好的な協力関係の中で実行されており、従い、いずれの関係者もこの事業の進捗を望ましいと考えていることです。

(注)アウン・サン・スーチーさんも国軍もEAOとの和平が国にとって最重要課題である、と言っています。EAOも少しでも早く「和平の果実」が欲しいと望んでいます。
 

以上を背景として、その後数か月経過すると、カレン州、モン州のEAO支配地域では事態が落ち着きを取り戻し、EAOからも州政府からも「安全になって来たから事業を再開してほしい」との要望が寄せられてきました。
勿論、BHNにとっても望ましいことですが、事業再開にあたっては、事前にリスク評価の会議を行い、BHN現地職員からも「確かに安全になっている」との意見であったことから*、十分な安全対策を取ったうえで、4月後半からの事業再開を決めました。
*BHNの現地職員の殆どは内戦により難民生活を経験した人たちのため、彼らの意見は大変重要です。
本稿執筆時点(5月下旬)では、上記計画1.の内、モン州エリアでの事業を先行開始し、2.のコンピュータ設備に関しても機材調達などを始めています。

ただ、カレン州では一部で国軍との紛争も起きていることから、広範囲に点在する村の家庭への電気設備の提供については、なお、詳細な安全状況の確認を必要としています。

 

村への入り口で体温検査

 

新型コロナ流行前の説明会の様子

 

モン州でのモニタリングの様子(1)

 

モン州でのモニタリングの様子(2)

 

新型コロナ流行前の技術者研修(1)

 

新型コロナ流行前の技術者研修(2)

 

プロジェクトマネージャー 相澤 紘史

     

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