【ミャンマー】カレン州少数民族帰還民支援事業:支援事業の終了と今後

2016年4月8日(金)13:57

 

ミャンマー全土での電力普及率は未だに30%(対人口比)を超えた程度と言われており、4月1日に発足する新政府でのポストが注目されていたアウン・サン・スー・チー氏が「電力・エネルギー相」を兼務することとなったほどにミャンマーの電力事情改善は喫緊の課題となっています。

BHNではこれまでの3年間、ジャパンプラットフォーム(以下、JPF)の資金支援を受けカレン州の過疎地にある病院3カ所、学校8カ所、集会所1カ所、無医村7カ所に、ソーラー発電システムを設置し、電灯、テレビ、電話等を提供してきました。一部で、電球に虫がたくさん入って使えなくなったなどのトラブルは起きましたが、すべてのシステムは順調に稼働して住民や生徒たちの役に立っています。

 

また、カレン州政府は、電気のない家庭を対象に抽選などを行い、当選した家庭に簡易なソーラー発電設備を設置しています。その仕組みでソーラー設備を獲得した家庭は数多くありますが、それらの設備が次々と故障するので何とか指導してほしい、と州知事からBHNに対して直々に要望があり、州内各地域の担当職員を集めて電気およびソーラーシステムの基礎知識研修を行いました。研修後は、習得レベルのテストも行い、州政府職員19名に「ソーラーアドバイザー」の資格を付与し、終了式典には州政府のトップ以下100人以上が出席し、多くの感謝の言葉をいただきました。

当初この2015年度のプロジェクトは3月末で終了予定でしたが、終了間際になって、高台にある寺の敷地に、以前他国のNGOが掘った深さ約45mの井戸にソーラー発電で電気を供給してほしい、との要望が村の住民から出ていると州政府から連絡がありました。 このような深い井戸であれば、乾季でも水が確保できますが、非常に貧しい村なので発電機のガソリン代を払うことができず、今は村の住民は川の水を汲んでくるしか方法がありません。井戸から村までは500メートル以上もの長さの給水パイプが延びており、これまで放置されていたため破損している箇所がありますが、もし電気が供給できることになれば、給水パイプは村人たちが修理するという申し出もありました。

BHNと工事会社のエンジニアが3月末に現場を調査し、現在、設計、コスト計算などを行っており、実行可能と判断すれば、機材の調達期間、完成後の運用指導も考慮し、JPFと6月までの事業期間の延長を打ち合わせることを考えています。

プロジェクトマネージャー(副理事長)相澤 紘史
     

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