【令和元年度日本NGO連携無償資金協力によるラカイン州グワ郡の学校および村落に於ける防災支援および保健衛生意識向上事業】

2021年5月20日(木)14:03

 

第1年次 完了報告

 

本事業は、令和元年度(2019年度) 外務省 日本NGO連携無償資金協力(以下N連)(注)の採択を受け、ミャンマー西南部の ラカイン州に於いて2020年1月から支援活動を行い、12月に作業が完了しました。

本事業の狙いはラカイン州の最南端に位置し、サイクロンによる災害の多いグワ郡の中学校等に、学習支援および村落伝達支援システム(Learning and Communication Assist system for students and residents, LCAシステム)とハザードマップを設置し、それを利用して生徒および住民の防災能力の向上および保健衛生意識向上を図ることです。

 

活動内容は

1.LCAシステムの導入(1年次:15校)
2.ハザードマップの作成と設置(1年次:15校)
3.教師向け防災研修
4.保健衛生意識の向上  です。

 

本事業は、当会としてはラカイン州での初めての事業であり、事業開始に当たり州都のシトウエでラカイン州知事に事業概要を説明(写真1)。

 

写真1:ラカイン州庁舎で州知事との集合写真

 

事業地のグワではラカイン州の社会福祉大臣、保健省次官、および地域関係者を招いてキックオフミーティングを実施しました(写真2)。

 

写真2:事業地グワでキックオフミーティング

 

これに続き事業実施地に於けるLCAシステムとハザードマップの現場調査、モデル村落の保健衛生に関するベースライン調査を実施しました。その後、世界的に問題となったCOVID-19(新型コロナウイルス感染症:以下コロナ)の感染拡大の防止のため、ミャンマー政府による全ての外国人に対する入国制限措置の強化、およびラカイン州への移動時に発生する検疫措置、学校の休校、外出制限等により事業活動が制約されましたが、オンラインで現地スタッフと密接に連携し現地事情の把握に努めました。また現地責任者に適切な指示を残し、下記に示すとおりLCAシステム、およびハザードマップの設置を行うとともに、研修資料の準備等を精力的に行いました。

このような中で現地スタッフがこれまで以上に主体的に活動するという予想外の嬉しい成果がありました。

 

1年を通して作業の進捗状況を振り返りますと、第1四半期はLCAシステム設置に向けての現地踏査等の準備作業、保健衛生意識向上のためのベースライン調査を行いました。第2四半期はコロナ第1波発生による移動制限、在宅勤務による設計作業、発注作業等を精力的に行い、LCAシステムの設置準備や、ベースライン調査結果の取りまとめを行いました。第3四半期はハザードマップ設置、およびLCAシステムの設置作業を行っていた最中に、コロナ第2波が発生し、コロナが急拡大し、高等学校等が再び閉鎖となり、ラカイン州ではロックダウンが発動され、更に検疫も強化され、現地での3週間の検疫義務、およびヤンゴンへ帰ってからの検疫等、事実上現地活動が不可能な状況となり、止む無く現地作業を中断しました。第4四半期ではコロナ禍が収束しない中で11月に総選挙が行われ、活動が大幅に制約されました。

 

LCAシステムの設置(写真3-5)に関しては、感染防止のためのミャンマー政府の移動規制により当初計画の15校のうち11校は設置できませんでした。

 

写真3:LCAシステム設置の模様

 

写真4:設置が完了したLCAシステム

 

写真5:LCAシステム使用方法説明の模様

 

LCAシステムは放送設備と視聴覚教育設備で構成されております。放送設備のスピーカは校内向けと校外に向けて放送され、校内向けスピーカでは学校関係者、および生徒全員が同時に聞くことが可能となります。校外向けスピーカは学校周辺の住民に向けたパブリックアナウンスに使用され、サイクロン襲来時等の非常時には校内・校外向けに緊急情報等を一斉放送することが出来ます。ハザードマップは予定通り15校に設置することができました。これらの学校、村落ではサイクロン襲来時に防災情報を伝えることができる等、住民の防災能力を向上させることができました。設置した学校の位置を別紙 図1に示します。

 

設置した学校の位置:図1(クリックで拡大画像へリンク)

 

設置の模様、およびハザードマップの説明会に参加した生徒達の写真(写真6~写真7)に示します。

 

写真6:ダウチャウン村の学校にハザードマップ設置

 

写真7:ハザードマップの説明会に参加した生徒達

 

保健衛生意識の向上に於いては、健康状況のベースライン調査および健康状況報告書の作成を行い、LCAシステムが設置される地域の生徒および住民の健康状況把握のためのベースライン調査(写真8・写真9)を実施しました。

 

写真8:保健衛生ベースライン調査の説明会開催ダウチャウン(小中一貫校)

 

写真9:保健衛生ベースライン調査での身体測定 (ラウチョウ校)

 

調査の結果、グア郡の生徒のBMI(ボディマス指数:(体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数)で18.5(低体重)以下の生徒の割合が78.8%とミャンマー平均の18%より4倍以上の高いことがわかり、生徒や父兄への栄養教育が必要であることがわかりました。調査結果は健康状況報告書としてまとめられました。健康状況のベースライン調査および健康状況報告書をもとに事業地の保健衛生状況を反映したメッセージ集を作成しました。

2019年度事業は新型コロナ禍の影響で当初予定した活動の全てを行うことが出来ませんでしたが、第1年次で出来なかった活動(11校のLCAシステム設置)は第2年次の初期に行う予定です。

 

注:日本NGO連携無償資金協力は、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発事業に外務省より必要な資金が供与される制度。

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