N連事業(第2年次)の開始・進捗報告

2022年2月15日(火)14:23

 

第2年次事業始まる。

 

本事業は、令和2年度(2020年度)外務省 日本NGO連携無償資金協力(N連)(注)の採択を受け、2021年3月に開始しました。(事業期間2021年3月10日~2022年3月9日)。本事業は、第1年次(事業期間2020年1月1日~2020年12月31日)の事業に続くものです。

本事業は、ラカイン州グア郡の中学校等に学習支援及び村落伝達支援システム(Learning and Communication Assist system for students and residents, LCAシステム)とハザードマップを設置し、それを利用して生徒や住民の防災能力の向上及び保健衛生意識向上のための活動を行なう事業です。

事業の主な活動内容は、①LCAシステムの設置(1年次の未設置分(新型コロナ感染拡大によりできなかったもの):11校、2年次:15校)、②ハザードマップの作成・設置(2年次:15校)、③教師向け防災研修、及び保健衛生意識の向上です。

 

LCAシステム及びハザードマップ設置学校の位置は図1に示します。

図1:設置した学校の位置
(クリックまたはタップで拡大画像が表示されます)

 

本事業の開始は2021年3月でしたが、2021年2月1日の軍部によるクーデターの影響により、プロジェクト実施に関係する中央政府、およびラカイン州政府の行政システムが変わりました。業務に精通していた担当大臣と殆どのカウンターパートが変わり、プロジェクト概要説明、及び承認プロセスも変わりました。そのため着工までに多くの稼働を要し、予定より約3か月遅れて6月末に設置工事を開始しました。

ヤンゴンの現地スタッフの最初の事業地への出張は6月27日~7月10日まででした。この出張で1年次に設置できていなかった11校にLCAシステムを設置しました。1年次から2年次にかけて15校に視聴覚教育用のテレビを設置したことで、学校関係者、タウンシップの教育部門から喜ばれ、感謝状を頂きました。また、本事業における現地提携団体であるPHF(People‘s Health Foundation, 国民健康協会)により、保健衛生意識向上活動に資するため、これらの学校のある村の住民の意識調査が行われました。出張時の活動の様子を写真1~3に示します。

 

写真1:学校でポールを設置後、ソーラーパネルを屋根に設置する模様(クインジー村)

 

写真2:視聴覚教育用のテレビを利用して防災研修用の災害ビデオを視聴している模様(クインジー村)

 

写真3:スクールワーキンググループ(村民と先生で構成)に対し、保健衛生に関するビデオ教材を説明している模様(ラナイピヤー村)

 

この6月末から7月初めの出張のあとの7月末には、脆弱な医療設備と軍政府に対する不服従運動で医療現場から医師等が離れたことにより感染が拡大し、第3波のコロナ感染が生じました。軍政府は7月17日から9月10日まで公休日として、人の流れを止め、コロナ禍を収束しようと努めました。また、ラカイン州政府は7月12日から感染対策の徹底を図るためNGO活動を停止させました。しかし11月に入り、感染者数が減少し、規制が緩和され、ようやく学校も12月1日に再開されました。学校の再開に当たっては生徒がコロナ予防接種を終えることを条件としていました。

学校も再開され、12月9日からグア郡への入域を許可されるようになりましたので、ラカイン州政府の入域許可証、及びコロナ予防接種証明書を持参してBHNチーム及びPHFチームは12月12日にヤンゴンから事業地グアへ向けて出発しました。今回の出張目的は第2年次にLCAシステムの設置を予定している15校のLCAシステム設置のための現場調査、及び15校の保健衛生意識向上に関するベースラインサーベイでした。活動の様子を写真4~6に示します。事業の遅れを取り戻すため、現地スタッフの献身的で精力的な作業により予定していた作業を完了し12月末に無事にヤンゴンに戻りました。

 

写真4:ハザードマップの現地調査(イェイチョー村)

 

写真5:学校でLCAシステムの設置調査説明会(イェイチョー村)

 

写真6:学校で保健衛生意識向上のデータ収集の説明会(ドータンジー村)

 

本プロジェクトの進捗状況はクーデターと新型コロナウイルスの影響を受け当初予定から半年遅れとなりましたが、事業期間は本年の3月となっています。今後もオミクロン株のミャンマー感染拡大が懸念されますが、当初の事業期間では予定していた活動が出来ない状況となり、外務省と相談しておりましたが、この程、期間延長を約半年延伸し、事業期間を2022年8月31日とすることになりました。このような厳しい状況ではありますが、BHNは関係各方面の理解を得ながら、事業地の住民の生活環境改善に向けて支援事業を進めたいと思っております。

注:日本NGO連携無償資金協力は、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発事業に外務省より必要な資金が供与される制度。

 

参与 渡辺 栄一

     

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