BHN広島事務所の西日本豪雨被災者支援活動 ~呉市天応大浜地区及び安浦地区 ICT支援活動報告~

2023年3月28日(火)16:37

 

 

BHN広島事務所(所長 福田 卓夫氏)では、2018年西日本豪雨被災地において復興フェーズ(仮設住宅団地フェーズ、災害公営住宅団地フェーズ、市営住宅団地フェーズ)の進展に合わせ「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しています。

2022年度は、広島県呉市天応大浜地区及び安浦地区において被災者支援活動を継続してきました。「コロナ感染蔓延時期には、ネット活用型被災者支援活動」、そして「コロナ感染が落ち着いてきたら、現地に出向いた実践研修会」の二つの活動手法を柔軟に組み合わせて実施してきました。

 

1.呉市天応大浜地区に出向いたICT実践研修会

 

2023年3月15日、BHN広島事務所メンバー(寺岡 和子氏、廣中 香氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、沖野 啓子氏)が呉市天応大浜地区へ直接訪問しました。まず、いつものようにCO2センサーで換気状態の確認をしました。

 

CO2センサーで換気状態を確認
(2023年3月15日撮影)

 

この日は、BHN広島事務所で作成した「LINEの基本的な使い方マニュアル」を使ってグループでの情報共有の研修を行いました。呉市天応大浜地区の皆さまはLINEグループで毎日活発に情報交換をしています。しかし、普段使わない機能については操作方法を忘れていることもあり、繰り返し復習して活用する必要があります。今回は特に、自分が受け取った情報をほかの人にも転送し共有する手順を練習しました。また、LINEを使っていない人やガラケーの利用者とも繋がることができる「プラスメッセージ」も地域での連絡網に活用できることからこの基本的な機能の研修も行いました。

更に、4月のカレンダー作成やスマホでのポイントの使い方等、日常のスマホ利用法についての相談等にお答えしました。住民の皆さんがICTを有効に活用でき、地域内での情報交流・情報共有が広がるように今後とも支援していきます。

 

LINEトークのメッセージや写真をメールで転送
(2023年3月15日撮影)

 

スマホの使い方で各種情報交換
(2023年3月15日撮影)

 

自治会長さんは次年度用の各種資料作成に取り掛っていました。アドバイスをして、時間内に資料をすべて完成させました。今月中にできるか不安だったようで、必要な資料をうまく完成させることができたと、とても喜ばれました。

 

自治会長さんは次年度用の各種資料作成中
(2023年3月15日撮影)

 

自治会長さんから自治会の現状と防災対策の課題についてお聞きしました。自治会の年齢構成は70代以上がほとんどで、40~50代が1割程度です。自治会の連絡網は特には作っておらず、3つの棟にそれぞれ班長がいて会費を徴収したり、回覧板を回したりしているとのことです。今は一般の市営住宅となっているので、仮設住宅のときに比べると繋がりは薄くなったとおっしゃっていました。集会所では、月1回のサロンと体操教室があるとのことですが、限られた方たちの参加だということでした。

仮設住宅団地の頃から継続して自主防災団があり、その頃から今まで、避難訓練を4~5回開催しています。但し、高齢化が進んでいるため、参加者は減少傾向にあるようです。建物の場所が海に近いので、台風の高潮や津波の心配があります。ただ、その場合も建物の上の階に避難するしかないかな?という状態だそうです。自主防災団によって水や食品等を備蓄し、救急箱を集会所に置かれています。避難訓練時に使用するハンディメガホンも準備されていました。住民の皆さんが安心して暮らせるように、自治会の防災対策についても、BHN広島事務所メンバーから情報提供やアドバイスを行いたいと考えています。

年度末を記念して、呉市天応大浜地区の皆さんと揃って記念写真を撮りました。

 

呉市天応大浜地区の皆さんと揃って記念写真
(2023年3月15日撮影)

 

2.呉市安浦地区に出向いた安浦茶話会&スマホ研修会

 

2023年3月16日、BHN広島事務所メンバー(廣中 香氏)が呉市安浦地区へ直接訪問して、安浦茶話会&スマホ研修会を開催しました。この日は、元地域支え合いセンター職員(現在は訪問看護勤務)2人が応援に駆けつけてくださいました。

いつものように、体調確認、手指消毒、マスク着用し、CO2センサーで監視し時々換気をしながら進めました。

 

茶話会、先ずは手指消毒
(2023年3月16日撮影)

 

日当りの良い和室、CO2センサーで換気状態を確認
(2023年3月16日撮影)

 

この日は、持参したドコモ5GWi-Fiモバイルルーター(SH-52B)への接続設定を行ってからスマホ研修会を開始しました。

続いて、BHN広島事務所で作成した資料を使って、LINEのグループ機能の使い方と「プラスメッセージ」のインストール・使い方の研修を行いました。LINEの無料スタンプのダウンロードのやり方についての質問があり、操作手順を説明しました。

 

安浦茶話会&スマホ研修会の開始
(2023年3月16日撮影)

 

関心のあるスタンプをダウンロード
(2023年3月16日撮影)

 

皆さん、この場でスマホの操作等、わからないことを聞けるのは嬉しいと話され、今回用意した資料を大事に持って帰られました。プラスメッセージについては、元支え合いセンターの若い職員も知らないアプリで好評でした。BHN広島事務所では、今後とも住民のICT活用支援を行っていきます。

 

3.災害を振り返って

 

 西日本豪雨災害から5年間の月日が経ったこともあり、安浦茶話会&スマホ研修会に参加した皆さんに、災害を振り返って暮らしの状況や防災についての認識を聞いてみたところ、次のような話が出ました。

 

・災害を通して、同じ被災者として建設型仮設住宅団地で過ごした絆は今も続いている。お互いに声を掛け合う習慣は心強く感じている。

・いざという時のために、日頃からご近所付き合いは大切にしている。

・災害後、安浦の町はスーパーもドラッグストアも無くなり、生活はより不便になった。住みにくい町になって残念だ。

・自治会で行う避難訓練には積極的に参加するようになった。

・自治会によっては自主防災会がなく避難訓練も行っていない、避難経路はどこに避難したらよいのか、わからずにいる。市営住宅なので、お隣の方と相談することになると思う(独居)。

・とは言っても地震や土砂災害等自然には逆らえないからなるようにしかならない。日頃からの備えといっても何もしていないのが現実。

 

西日本豪雨災害から5年、各自治会によって防災に対しての関心度も様々ですが、呉市安浦町には防災リーダーが「安浦町防災ネットワーク」として防災に対する活動をしています。この会でも、出水期前には出前トークを依頼する等防災への備えを勉強していきたいと思います。

BHN広島事務所では、社会福祉協議会や地域包括支援センター等の関係機関と連携して住民の見守り・生活支援に繋げるようにできないかと考えています。

 

 

西日本豪雨被災者支援事業
プロジェクトマネジャー(理事)
有馬 修二

 

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*BHN自主事業「西日本豪雨地域ICT支援事業」、事業期間:「2018年7月9日~2023年3月31日予定」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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