多様な主体の「災害情報マネジメント力」を強化する 台東区ワークショップ実践報告
2024年12月26日(木)13:26




BHNは台東区の協働事業に採択され、2024年度より「災害情報マネジメント」をテーマにした一連のワークショップを実施してきました。
大規模災害時の適切な情報提供は、不安の軽減や迅速な復旧に不可欠です。そこで、行政職員・外国ルーツの住民・障害者支援団体・地域防災に携わる方々等、多様な対象を招き、実践的な訓練を重ねてきました。
■第一回ワークショップ(6月25日実施/対象:台東区職員)
NHK放送文化研究所(NHK 文研) 村上 圭子氏による「能登半島地震における災害情報伝達」の講演を聞いた後、参加者は首都直下型地震を想定した情報提供シミュレーションに取り組みました。膨大な情報の中から必要なものの優先順位付けをおこない、わかりやすい表現を工夫する実践です。行政職員の広報スキル向上に寄与するとともに、LINE等のデジタルツール活用の可能性が議論されました。

第一回 NHK文研 村上氏による講演

第一回 防災情報発信シミュレーション
■第二回ワークショップ(7月28日実施/対象:外国ルーツの区民)
外国人人口が1割近い今、災害情報伝達にも多文化共生の視点が不可欠であることから、阪神・淡路大震災下で設立された「FMわぃわぃ」の金 千秋氏を招き、コミュニティづくりの意義を学びました。また、台東区の防災アプリや広報紙等を確認し、母国語での情報入手方法とその課題を再認識しました。

第二回 FMわぃわぃ 金 千秋氏による講演
■第三回ワークショップ(10月4日実施/対象:障害を抱える区民・支援団体)
NPO法人ウィズアスの鞍本 長利氏を講師に招き、障害を抱えた方々が災害時に直面する課題と、「相手の行動全体を考えた支援」や「近所と遠方の両方に絆づくりをする」といったことの大切さを学びました。さらに、スマートフォンを活用した情報収集の訓練を実施。音声ガイドや拡大機能等を使うことで、より多くの人が緊急時情報にアクセスできる方法を伝えました。

第三回 ウィズアス 鞍本 長利氏による講演
■第四回ワークショップ(11月19日実施/対象:町会関係者・マンション理事会・NPO)
メイン講師はかながわ311ネットワークの奥田建蔵氏。熊本地震のマンション被害事例をもとに、災害後の地域連携や居住者同士の信頼構築が復興を左右することが紹介されました。その後、町会やマンション管理組合、防災団体からそれぞれの取り組みについて、LINEや防災計画書、地域の朝市とミニFM、オンライン防災地図、スターリンクの仕組み等、情報伝達の工夫を共有していきました。
2025年3月には、これまでの成果を振り返るとともに、具体的なアナウンスの練習をするワークショップを実施予定です。多様な立場の参加者同士が連携し、内容を検討し合うことで、「誰一人取り残さない」情報発信体制を強化することが狙いです。

第四回 地域防災関係者による勉強会

第四回 LINK T&B 岩城聡明氏によるスターリンク紹介
プロジェクトオフィサー 瀬戸 義章