台東区協働事業の成果報告会

2025年6月18日(水)10:19

 

災害時における「情報の助け合い」を目指して

 

2025年5月27日(火)、台東区社会福祉協議会にて、台東区協働事業提案制度 令和6年度実施事業 「災害時、台東区内の被災者へ適切な情報を提供するための実践訓練事業」の成果報告会が開催されました。BHNは提案団体として、1年間の協働事業をともにおこなった台東区危機・災害対策課と、審査委員会へ事業成果を報告しました。

 

台東区社会福祉協議会2階大会議室で開催

 

■「情報の助け合い」ができる地域社会を目指して

本事業は、災害時における台東区民の情報収集力と発信力を高め、「情報の助け合い」ができる地域づくりを目指したものです。大規模災害時には、行政が災害情報を周知することに加えて、情報を入手した区民が、自らのコミュニティに正しく伝えることが不可欠です。

この目的を達成するため、BHNは1年間にわたり、臨時災害放送局を想定した電波伝播実験と、多様な区民を対象とした計5回のワークショップをおこないました。ワークショップでは、まず区職員を対象に災害情報の周知について学んだ後、外国ルーツの区民、障がい当事者、町会・マンション関係者といった多様な参加者とともに、多言語での情報提供やスマートフォン活用、地域連携の重要性について学びました。

最終回では、これまでの学びの集大成として、立場の異なる参加者が協働し、ミニFMの機材で災害情報をアナウンスする放送訓練を実施しました。この一連の活動を通じ、参加者は「伝える」ことの難しさと、平時からの訓練の重要性を共有しました。

 

BHNプロジェクトオフィサー: 瀬戸 義章氏による本事業の成果と課題の発表

 

電波伝播実験についての説明をするBHN参与:志村 直茂氏

 

 

■協働が生んだ成果とコミュニティの力

同会では、協働パートナーである台東区危機・災害対策課からも事業の成果報告があり、次のように協働の意義が語られました。

 

事業について台東区危機・災害対策課の方々からのご報告の様子

 

・ 「行政職員は情報を発信する側であることが多いが、本事業を通じて、情報を受け取る側の視点に立つ貴重な経験ができた」

・ 「普段の業務では接点の少ないNPOや専門家と直接交流し、具体的なノウハウや知見を得られたことは大きな財産だ」

また、質疑応答では、審査委員会から「コミュニティづくりと情報ツールとの関連性」などについて質問がありました。

 

成果報告会での質疑応答

 

これに対しBHNは、「ラジオのように地域性が高く、顔の見える関係性の中で発信されるメディアを平時からうまく活用することによって、コミュニティの力を強化し、危機的な状況に陥ったときに素早く立ち直る力、すなわち『レジリエンス』を高めることができる」と回答しました。情報ツールは、単なる技術ではなく、地域の繋がりを育むための重要な要素であるとの考えを強調したのです。

 

審査委員会委員長による講評

 

 

■事業の成果と今後の展望

本事業を通じて、区職員・区民ともに「伝わる情報発信」の視点が養われました。そして何より、区役所、社会福祉協議会、町会、NPO、企業といった多くの団体と、協力関係という大きな財産を築くことができました。一方で、臨時災害放送局の実際の設置運用については、さらなる検討が必要という課題も残されています。

BHNは、この1年間の活動で生まれた繋がりを未来へ拡げていきます。既に本事業をきっかけとして、浅草橋の朝市でミニFM放送を実施するなど、他団体との新たな連携が生まれています。BHNはこれからも、災害に強い地域づくりに貢献していきます。

 

 

プロジェクトオフィサー 瀬戸 義章

 

     

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