【バングラデシュ】地域ごとに防災計画策定と避難訓練を実施―ラジオで防災情報を聞いて、適切な避難行動を―

2016年12月9日(金)13:22

 
※JICA草の根技術協力支援事業(パートナー型)「コミュニティラジオによる早期災害情報提供を活用した地域住民災害対応能力強化プロジェクト(バングラデシュ・ハティア島)」の詳細はこちら

2015年11月に開局したラジオ局(ラジオ・シャゴールディップ)は1年が経ち、毎日朝夕3時間ずつ放送できるようになりました。この番組の制作から放送まで、島のボランティアを中心に実施しています。そこで私たちは現在、この事業の主目的である「住民の防災能力の向上」に重点をおいた活動を中心に行っています。それは、住民自らが、実際にラジオ放送を聞いて、適切な避難行動を起こせるようになるための、地域別の防災計画の策定と避難訓練です。

地域防災計画策定ワークショップ

ハティア島には、郡の防災委員会と本事業チームで相談して決めた災害脆弱地域があります。脆弱地域にあるコミュニティ(村落)はそれぞれが異なった地域事情や災害の危険性があり、ハティア郡全体を対象とした防災計画を作っても実情にそぐわないケースが多く、実際の住民の安全な避難行動にはつながりません。

そこで、現在日本でも行われ始めたコミュニティ単位の地域防災計画を住民自らが策定する活動を行っています。対象となる9つのユニオン(最少行政単位)で、まず地域のリーダー的存在の人たちを対象に、村落単位で防災計画をどのように作るかを理解してもらうワークショップを実施します。このワークショップを受けた人たちが、次に行うコミュニティレベルの防災計画づくりのトレーナー役となります。

地域別の防災計画をつくるためには、住民たちが村歩きをして村の人に直接話を聞くことで、村の状況を把握する必要があります。災害時には、地域のどの場所に危険があるのか、シェルターに避難する際にはどの道を通るのが安全なのか、シェルター以外に比較的安全で避難場所となりえる家はどこにあるか、避難時に手助けを必要とする人はどこにいるか、などの情報を集めます。その情報をもとに地域のリスク&リソースマップを作成し、大きな看板にして、村落の人々が見やすい場所に設置します。その他、シグナルのレベルによって誰が何をするかといった役割分担も決めています。

 
 

避難訓練の実施

コミュニティの防災計画が策定された後は、計画を住民に周知するためのワークショップを行い、避難訓練を実施して防災知識の定着を図ります。この避難訓練では、住民やボランティアが広場に模擬の家屋などを建ててサイクロン襲来時に何をすべきか、何が起こるのかを寸劇にして住民たちに見せ、理解を促します。その後、村人たちとクイズなどで内容を振り返り、実際に自分が避難するときを想定して、避難経路や途中どのような問題があるか、などを話し合います。

災害脆弱地域では、複数のNGOが防災活動をすることはよくあることですが、NGOごとに異なる防災アプローチを行うと住民が混乱します。そのため、この事業では、同様の防災活動を計画していたドイツ赤十字と協定書を取り交わし、一緒に地域防災活動を行っています。

プロジェクト・コーディネーター 内山 智子
     

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