バングラデシュで事業成果共有ワークショップを実施しました

2017年9月27日(水)15:04

 
※JICA草の根技術協力支援事業(パートナー型)「コ ミュニティラジオによる早期災害情報提供を活用した地域住民災害対応能力強化プロジェクト(バングラデシュ・ハティア島)」の詳細はこちら

2013年3月から開始した、バングラデシュ・ハティア島でのコミュニティラジオを通じた防災対応能力向上プロジェクトは、2017年8月末にすべての活動を完了しました。

完了に先立ち、この4年半にわたる事業の経験を共有するワークショップを、2017年7月27日バングラデシュ政府防災局で開催しました。参加者は、BHNが開設したコミュニティラジオ(以下、CR)であるラジオ・シャゴール・ディップと、その他バングラデシュ災害脆弱で活動する7つのCR局をはじめ、防災局、気象庁、そしてハティア島からは郡の議長やリスナーズクラブの代表、郡の教育委員長、ラジオ局スタッフ、ボランティアなど、総勢45名となりました。


ワークショップでは、BHNから事業概要と成果を報告し、ハティア島から来た参加者からも、事業に参画した感想を話してもらいました。主な発言は以下のとおりです。

・防災教育をより広げていく必要性があり、ラジオは一つの方法として有効である(ハティア郡教育長)
・CRは防災情報だけではなく、生活を改善するための様々な情報を伝えてくれるので、生活に欠かせないものになっている(リスナーズクラブ代表)
・毎日50人ほどの漁師や地域住民がラジオを聴きにきて、潮の満ち引きなどの情報を得るのが日課になっている(サテライトステーション管理人)
・CRでの研修を通じて知識が増えたことで、自分の可能性が広がっただけではなく、この島での役割を感じられている(CRボランティア)
・多くの住民に避難の必要性や避難方法について伝えることができたが、一方でその受け入れ先となるシェルターの数や収容数が限られていることが問題である(地域防災計画ワークショップトレーナー・教師)


ベンガル湾岸で活動するCR局からの参加者からは、以下の発言がありました。
・この事業はとても参考になった。私たちも気象庁からの情報がわかりにくいことに悩んでいるので、より簡単でわかりやすい言葉で伝えてくれるよう改善を求める。
・CR局は防災の観点からセーフティネットとして重要な役割を担っているが、多くのCR局が資金的な困難を抱えている。民間会社で出している気象情報の利用や商業広告などが禁止されているが、政府の柔軟な改善を望む。

参加者の活発な意見を聞き、議長を務めた防災局局長から、日本の支援・協力に対する感謝が述べられ、防災に対するコミュニティラジオの有効性が理解できたこと、さらなる減災のためには、気象庁から発信される情報を住民にわかりやすい具体的な表現に改善すべき、とのコメントがされました。
最後にJICA東京の市民参加協力第二課小貫課長からご挨拶をいただき、閉会しました。

この事業を通して、コミュニティラジオ局と地域防災計画を組み合わせたコミュニティレベルの防災活動は、バングラデシュの災害脆弱地域で有効であるという結果を得ることができました。

プロジェクトコーディネーター 内山 智子
     

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