バングラデシュ・ハティア島での防災能力向上事業が完了しました

2017年9月27日(水)15:40

 
※JICA草の根技術協力支援事業(パートナー型)「コ ミュニティラジオによる早期災害情報提供を活用した地域住民災害対応能力強化プロジェクト(バングラデシュ・ハティア島)」の詳細はこちら

本事業は、バングラデシュのベンガル湾沿岸部の災害脆弱地域であるハティア島においてコミュニティFMのラジオ局を建設し、これを活用して地域住民の防災能力の向上を図るものです。外務省の支援を受けた事前調査から数えると6年近くになる事業でしたが、2017年8月31日をもってJICAとの業務委託契約が終了し、事業が完了しました。

本事業の目標は、「コミュニティラジオを活用した地域住民の災害対応能力が強化される」と設定しています。この事業でどのような成果があったか、簡単に報告します。

1.コミュニティラジオが地域に必要な情報ツールとして住民の間で定着

コミュニティラジオ局(CR局)の運営・管理体制が整備され、ボランティアが中心となって毎日8時間の放送が行われています。また、災害時には24時間体制で緊急放送が行われています。
島内に150カ所のリスナーズクラブ、11カ所のサテライトステーションが設置され、住民が定期的にラジオを聞ける状態ができました。災害脆弱地域では91%の住民が、コミュニティラジオは災害時に必要な情報入手手段であると答え、地域の情報ツールとして定着しつつあります。


2.災害発生時、助け合いによる安全な避難行動ができる

島内の災害脆弱地域27カ所で、住民主体による地域防災計画を策定し、避難訓練を実施しました。その結果、災害脆弱地域に住む住民の98%が、避難に関するタイミング、手順等を理解していると回答しています。また、サイクロン発生時にはラジオを聞いて、早期避難をするための住民同士による助け合いが生まれてきています。


数字を見る限りでは、事業は目標を達成したと言えますが、本事業ではハティア島の中でも特に災害の危険性の高い地域で集中的に防災強化活動を展開したこともあって、島の中央部の比較的災害リスクの低い地域(とはいえ、バングラデシュの他の地域に比べれば災害リスクの高い地域であることに変わりはありません)に対するコミュニティラジオ普及の取り組みが手薄になっていることもわかりました。

8月末、プロジェクトマネージャーが最後の事業地入りをして、事業の成果をプロジェクト関係者と共有し、今後の課題を検討するためのクロージングワークショップを開催しました。ワークショップには事業開始時から関わったボランティアも含め35名が集まり、改めてこの事業はボランティアの関わりが重要なことを認識しました。今後は現地パートナーNGOであるDUSがボランティアとともに地域の安全のために継続した活動を続けていけるよう応援していきます。

プロジェクトコーディネーター 内山 智子
     

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