【熊本】熊本地震地域ICT支援活動 ―被災者の自立を支え、仮設住宅団地を起点とする地域コミュニティ形成・活性化を目指して―

2016年11月25日(金)15:41

 
※ジャパン・プラットフォーム(JPF)九州地方広域災害被災者支援「熊本県益城町等7市町村の避難所・仮設住宅団地運営業務の円滑化・活性化に資するパソコン環境整備・運用支援プロジェクト」の詳細はこちら

2016年4月14日に始まった熊本地震は、熊本県各地に大きな震災をもたらしました。熊本県民の誇りである熊本城は大きく被災し、阿蘇大橋は崩落しました。このような中で、被災地における復興への取り組みは、発災から6カ月を過ぎた10月末には避難所の閉鎖とともに仮設住宅へとステージを移しました。

               

当会がこれまでに取り組んできた、災害時等の緊急・人道支援を行うジャパン・プラットフォーム(JPF)の事業資金を活用した「熊本県益城町等7市町村の避難所・仮設住宅団地運営業務の円滑化・活性化に資するパソコン環境整備・運用支援事業」は、2016年10月15日に終了しました。

2016年10月16日より、上記支援事業の継続事業を「熊本地震地域ICT支援事業」と名付けて開始しました。支援活動に継続性を持たせるために、これまでと同様に、九州電電同友会熊本支部(支部長 宮本金生氏)と熊本シニアネット(代表 色見高司氏)の協力を得て現地支援体制を再構築しました。

熊本シニアネット本部事務所(熊本市東区花立)に、BHN熊本事務所(所長 宮本金生)とBHNテレコムパソコン支援センター(センター長 色見高司)を継続して設置し、これまでの6人の協力者(加藤公彦、徳留和憲、橋本求名生、尾形邦彦、廣井均、吉田和子の各氏)に、新たな4人の協力者(松舟陽一、藤本哲哉、稲益親義、中鶴辰雄の各氏)を加えて、充実した現地支援体制を編成しました。新たに加わっていただいた方々には、益城町、甲佐町、南阿蘇村及び西原村等での支援活動に、これまでも度々ご協力いただいています。

 当会は、5年前に発生した東日本大震災の際、宮城県石巻市と周辺地域の仮設住宅団地に結成された各自治会からの強い要望に応えて、仮設住宅団地38カ所を対象に、住民が集う集会所にICT環境を整備し、ICT活用面から被災者の自立と仮設住宅団地を中心とした地域コミュニティ形成・活性化に貢献してきました。

仮設住宅へ入居する被災者は被災地のいろいろな地域から移ってきます。多くの場合、住民同士が知り合いではない中で、復興への第一歩であるコミュニティづくりをするのは決して容易ではありません。仮設住宅団地では、住民で構成する自治会を結成し、自治会活動の「場」として集会所を活用しながらコミュニティづくりを図ることが、その後に取り組むあらゆる復興活動の出発点になります。

熊本地震被災地に建設された仮設住宅団地には、“みんなの家”と呼ばれる集会所または談話室が併設されています。当会は、東日本大震災での経験を生かし、ICTの活用を通して被災者の自立と仮設住宅団地を起点とする地域コミュニティ形成・活性化を支えるため、集会所または談話室にパソコン・プリンター・ドコモおくダケWiFiアクセスポイントの設置を進めてきました。

  

パソコンとプリンターは、熊本市、益城町、嘉島町、御船町、甲佐町、西原村、南阿蘇村等7市町村46カ所の仮設住宅団地集会所または談話室に設置しました。加えて、23カ所の仮設住宅団地集会所または談話室にドコモおくダケWiFiアクセスポイントを追加設置しました。

また、設置した機器の集中保守センターと巡回出前パソコン研修の拠点としての役割を果たすBHNテレコムパソコン支援センターには、オンライン保守試験機、保守用予備機、巡回出前研修用機器として共通予備機を配備しました。

2016年10月15日現在、熊本地震被災地の仮設住宅団地自治会結成率は50%程度に留まり、地域コミュニティの形成は出遅れているように見えます。しかし、このような状況下でも、当会が設置したICT機器がコミュニティ形成に活用された事例があります。益城町には大規模仮設住宅団地として、益城町テクノ仮設団地があり、その中のD工区では、仮設住宅団地住民代表が、いち早く自主的に地域コミュニティづくりを開始しました。ここでは、当会が集会所に設置したパソコン・プリンター・WiFi環境を活用して、住民自身が自主的に企画した各種イベントの案内チラシが作成・配布され、実施に移されました。今後、他の仮設住宅団地でも、それぞれの個性・特徴を生かした事例が次々に湧き上がることが望ましいと考えています。

 

この熊本地震被災者支援活動の目的は、ICT活用面から、被災者の自立と仮設住宅団地を起点とする地域コミュニティ形成・活性化を、被災者に寄り添いながら地道に支えていくことです。そのために、「仮設住宅団地集会所に設置したICT環境の巡回設備点検・巡回活用相談」を定期的に実施していきます。その過程で、要望が寄せられた仮設住宅団地から順次「仮設住宅団地自治会役員等向けの巡回出前ICT研修」を実施します。併せて、NTT西日本熊本支店主催の被災者向け健康支援事業への協力と、WiFi環境が活発に利活用されるよう幅広い視点から調査を行います。

熊本地震被災者支援事業担当(理事) 有馬修二
     

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