ミャンマー少数民族帰還民支援プロジェクト第1期完了

2014年6月6日(金)10:00

 

安定した電力の大切さ

2013年5月の現地ニーズ調査からスタートしたミャンマー少数民族帰還民支援プロジェクト(第1期)が、JPF(特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム)の助成によって2013年10月1日~2014年3月31日にかけて実施され完了しました。

本プロジェクトは、1948年のミャンマー独立以降続いていた少数民族武装組織との対立紛争の停戦が実現し、これに伴い難民として近隣国に避難していたミャンマー少数民族が、本国への帰還を果たせるよう、帰還受け入れ地の社会基盤整備を進めることを目的にしています。

具体的には、2013年5月にBHN専門家が行った現地調査の結果、カレン州のシャンユワティ村において、より生活に必要性の高いソーラー発電システムを設置することになりました。

 

設置場所は、村民が公平に利益を得られ、また将来に向けた子供たちの教育環境の整備の観点から、寺院内にあるコミュニティセンターと夜間授業を行っている高校の施設に設置することにしました。

ミャンマーでは9月から5月の間が乾期になり、この期間でないと現地へのアクセスもできないため、工事は1月に行いました。現地までは、調査時と同様、橋の無い14カ所の川を渡り、泥沼の悪路でのアクセスとなりました。

施工は、ミャンマー国内でソーラー発電システムの施工実績の多くある施工会社に依頼して、工事期間中は、私たちも現地に泊まり込み、施工の方法や問題点をすぐに解決したため、大きなトラブルも無く、1月中旬には無事に工事が完了しました。

ソーラー発電システムを設置したコミュニティセンターには、多くの人が集まるホールにLEDランプを複数設置し、情報伝達や娯楽のために大型のテレビも設置しました。また近隣への連絡手段としてCDMAの電話機を設置し、公衆電話として利用できるようにしました。
雨期の期間、少ない日照時間で発電量が低下することを考慮し、容量の大きなものを設置し、雨期での日照が少ない場合でも使用ができるように配慮しました。

もう一方の設置場所である高校には、4カ所の教室、職員室、教師の寮(何人かの教師は、赴任期間中、この寮で生活しています。)、トイレにLEDランプを設置しました。

当会としては、ただ設備を供給するだけでなくそれを末永く使ってもらえるようにするためにどうしたら良いかということを最重要視しています。その為に本事業でも2つの委員会を作り、その運営の研修と指導を行いました。

 

一つは設備管理委員会で、今後の設備修理費用の見積もりや電話代の徴収、会計の管理を行ってもらうことが主な業務です。
もう一つはメンテナンス委員会です。こちらは、日々の設備の点検や、使用状況の把握、村民に対し安全に電気を利用してもらう技術的なサポートを行い、設備故障時はメーカーとの調整を行うものです。

各委員会のメンバーとも、研修中はとても積極的でいろいろな質問もあり、設備を大切にしてもらえそうでホッとしました。

全てが完了し、引き渡し式を挙行して彼らによる運用が始まった後、今回設置したソーラー発電システムの話を聞いて、州政府をはじめ、各方面から多くの追加設置要請がありました。
これら要請が、少数民族の帰還のための支援になるか見極めながら、4月からも引き続き第2期としてプロジェクトを進めることになりました。

1日も早く、混乱で荒廃した村が再生し、多くの避難者が自分の故郷に戻り、ひいてはミャンマーの発展の一助になればと思います。

>>当事業に関する前の記事はこちら

ミャンマー少数民族帰還民支援プロジェクト技術担当

志村 直茂

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