ミャンマー活動報告会を開催しました

2017年3月29日(水)15:05   イベント、その他

3月16日(木)、第2回BHN活動報告会を開催し、現在ミャンマーで行っている活動についてそれぞれの事業担当者が報告しましたので、その内容をレポートします。
 

1.カレン州避難民帰還支援・紛争被害者支援プロジェクト

 ミャンマーは135の民族からなる多民族国家ですが、イギリスが植民地の統治方法として「分割統治」を採用したことが、今に至るまでの民族間対立の背景にあります。各民族に自治権を与えて「民族自治」の実現を図ったアウンサン将軍をはじめとするリーダー達が独立直前に暗殺され、民族自治の約束はうやむやになり、カレン族は65年もの間戦い続けることとなりました。
 2012年に停戦が実現、ようやく近隣国に避難していた人々の帰還に向けた生活環境整備のため、NGOも活動できるようになりました。 カレン州での現地調査の結果、あらゆるインフラの欠如が明らかになり、BHNは学校8カ所、病院3カ所、集会所1カ所、井戸ポンプ1カ所へのソーラーシステムによる電化を実施しました。また、無医村で無線電話を7カ所に設置しました。活動の中で大切にしているのは 、設置したシステムの使い方、工事方法 、メンテナンス等を教えることで、住民が自律的に継続して使えるようになることです。
 並行して、紛争被害者を対象とした住居電化プロジェクトも実施しています。KNU(カレン民族同盟)支配地域の村の1370戸に簡易なソーラーシステムを設置し、現在、追加200戸分を建設すべく準備中です。さらに追加1万戸以上の要望が出ており、次期プロジェクトとして、関係方面と打ち合わせを行っています。
 

2.デルタ地帯における情報伝達システムを活用した住民の生活環境改善及び防災支援プロジェクト

 このプロジェクトは、2008年のサイクロン・ナルギスによる壊滅的被害を契機としたものです。調査の結果、被災地の多くは電気等インフラの未整備な地域であり、緊急時の情報伝達のためには、スピーカーで呼びかける方法が有効と判断し222村落にCA(Community Addressing)システムの導入を進めました。設置後には「ワークショップ」を開催し、CAシステムの非常時・平常時の活用方法、システムの保守・運用方法、良い事例の紹介等を行って、住民のシステム活用方法の体得を図っています。また、ハザードマップ掲示板を作成し、災害発生時の避難ルート・避難場所を明確にするとともに、防災教育も実施し、安全に避難する意識の醸成に努めています。
 

3.質疑応答

 今回の報告会には約50名の方が参加され、盛会裡に終了しました。質疑応答も活発に行われました。
Q: CAシステムの平時の具体的利用例は何ですか?
A: イベント案内、天気予報等に利用されています。
Q: ケータイの普及率が急増して2年前の10%から最近100%近くになったと聞いています。これに伴って世の中が変わった点があればコメントをお聞きしたいです。
A: 都市部の普及は著しいですが、地方はやや取り残されて格差拡大傾向です。格差の例としては、KNUの支配している村では、村のリーダーでさえも、地球が丸いことも、太陽でなく地球が太陽の周りを回っていることも知らないほどです。しかし、4社による競争の進展により価格が下がり、SIMカードは150円で買えます。また、ケータイの7割がスマホです。この結果、町のどこでも、ATMが無い地方都市でも安く簡単に遠隔地への送金が可能になるなど、一気に生活が便利になるという変化も起きています。
 
 また、終了後に行ったアンケートでは、大多数の方から「話が具体的でBHNのミャンマーでの活動状況がよく理解できた」等の高評価を頂きました。この場をお借りしてアンケートご協力に御礼申し上げます。
 

参与 中尾 善昭

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