BHNテレコム支援協議会設立15周年を迎えて ~理事長挨拶と記念パネル討論会開催模様報告~

2007年10月20日(土)12:50   イベント

― 設立15周年を迎え、ご挨拶申し上げます -

平成19年10月吉日
理事長 桑原 守二

 

当協議会は去る9月11日を持ちまして設立15周年を迎えました。これもひとえに、日本電信電話(株)、情報通信産業関係各社・団体、個人会員の皆様、並びに総務省、外務省、(独)国際協力機構など多くの方々のご支援ご協力の賜物と感謝いたしております。これを機に、これまでの活動の成果と反省を踏まえ、より一層の発展と皆様方のご厚情にお応えすべく役員・職員および関係者一同決意を新たに努めていく所存でございます。何とぞ倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

顧みますと当協議会は、1992年にNTTなど情報通信産業の関係者により、「情報通信分野で培われた経験と技術を生かし、発展途上国のBHN(ベーシックヒューマンニーズ)達成に向けての自助努力を支援する」目的で設立されました。

爾来、「テレコムを活用した国際協力」をミッションとして、発展途上国の地域開発強力と医療施設への支援、大規模災害の被災者や紛争難民への緊急人道支援、発展途上国電気通信関係者の人材育成の3主要活動分野について活動を続け、1999年には特定非営利活動法人(NPO法人)として認証され、昨2006年10月、これまでの国際協力貢献活動に対し総務大臣賞を受賞いたしました。

一方、国際協力活動の活発化、拡大とともに、資金的基盤上の問題、人材の確保・育成上の問題など解決すべき課題もクローズアップされてきております。

ODA政府開発援助白書(2006年版)によれば、「NGOは開発援助、緊急人道支援のみならず、環境、人権、貿易、軍縮等の分野において様々な活動を行っており、国際社会においてますます大きな役割を果たすようになっている。・・・日本は、このようなNGOの活動と役割の重要性を踏まえ、NGOとの連携を提唱。日本としては、NGOの活動強化を図るため、NGOの海外での活動に政府資金を提供し、また日本のNGOの基盤強化に向けた各種の協力やNGOとの対話、連携を推進する」としている。

このような国際社会におけるNGOの活動に対する期待、要望に応えるため、当協議会は、抱える課題の解決を図りながら、今後も引き続き国際協力活動を続ける所存です。

どうか、当協議会の設立趣旨、活動、課題等について一層のご理解をいただき、経済的支援、汗を流してくださる支援、会員の輪を広げる支援など、様々な形でのご支援をお願いいたします。

なお、この15年という節目の年に、これまでの活動の成果と反省を踏まえ、諸課題の解決をはかりつつ今後の国際協力活動の活発化、拡大を期して、3つの設立15周年の記念事業、「パネル討論会」、「チャリティコンサート」、「記念誌編纂」を企画いたしました。皆様にとって何らかのお役に立てれば幸いです。

「パネル討論会」の開催模様は下記のとおり報告させていただきます。
「チャリティコンサート」、「記念誌」については現在企画推進中の段階ですが、その概要等は前記項目名をクリックしてご覧いただけます。ご覧のうえ、ご意見なりご要望なり頂戴できれば幸いです。

(注)NPOとNGO:NPO(Non-Profit Organization)が国内で活動する団体に使われるのに対し、NGO(Non-Governmental Organization)は国際連合憲章の中で使用されている呼称で、海外で活動する民間非営利団体に対して使われる傾向にある。

 

― 「設立15周年記念パネル討論会報告」-

「パネル討論会」は、去る9月28日、JICA地球ひろば(渋谷区広尾)にて開催し、盛況のうちに終えることができました。以下にその模様を報告いたします。

先ず最初に、当協議会理事長桑原守二から設立15年を迎えての挨拶、ならびに過去15年に亘る活動状況、現在の取り組みを紹介するとともに、解決すべき課題について現状を訴え、一層の理解と協力を求めました。

引き続き、「今後の国際協力活動とNGOの役割」をテーマに、パネル討論会に入りました。本パネル討論会は、国際協力活動について高度な識見と豊富な国際経験を持つパネリストの方々に、今後の国際協力のあり方、その中でのNGOの役割等につき討論いただき、その成果を今後の国際協力活動に反映させるとともに、参加いただいた皆様に当協議会の設立趣旨・活動・課題等について一層のご理解とご支援を頂くことを期待しております。

パネリストの皆様は、以下のとおり。
内海善雄氏(うつみよしお)(前国際電気通信連合(ITU)事務総局長)(注1)
白石 隆氏(しらいしたかし)(政策研究大学院大学副学長、教授)
粗 信仁氏(ほぼのぶひと)(前国際協力機構(JICA)総務部長)(注2)
信澤健夫 (のぶさわたけお)(BHNテレコム支援協議会会長)
(司会)佐藤征紀(さとうまさのり)(BHNテレコム支援協議会理事)

(注1) 現在、株式会社トヨタIT開発センター最高顧問

(注2) 現在、シドニー総領事

 

桑原守二理事長による挨拶と活動状況、現在の取り組みの紹介

 

パネリスト(右から内海氏、白石氏、粗氏、
BHN信澤会長)と司会のBHN佐藤理事(左端)

 

はじめに司会者(佐藤)から、パネル討論会のテーマ、その趣旨、パネリストの皆様のご紹介のあと、パネリストの皆様から、それぞれご専門の立場、ご経験から「国際協力活動の現状と今後のあり方、その中でのNGOの役割等について、これまでの評価、問題点・課題等」を含めご発言いただきました。

粗氏は、ODA実施の立場から、「JICA改革プラン」の現場主義、人間の安全保障、効果・効率性、迅速性の3つの視点に基づき改革を進めていること、国際協力活動においてはこれまで以上にNGOの役割は大きく期待しており、「プロの集団」であることの重要性を強調されました。

白石先生は、学識経験者、アジアゲートウェイ戦略会議メンバー等の立場から、ODAにおける日本の存在感、「背中を押してあげる」、英語でLeading from the backというタイプのリーダーシップの発揮を強調されました。また、東アジア共同体構想について、鳥インフルエンザを例に地域協力の重要性について述べられました。

内海氏は、この1月までITU事務総局長を2期8年務め、その間2回の世界情報社会サミット(WSIS)を主催され、その経験等を踏まえ話されました。情報通信はBHN(Basic Human Needs)であり、その普及こそが人類から貧困と紛争をなくする最も有効な手段であると確信していること、NGOの連携、組織的活動の重要性を強調されました。

信澤会長は、NGOとして活動して感じる問題として、組織として脆いものだということ、意思決定のトップも現場での活動主体も無償のボランティアであり、熱意とお互いの信頼関係だけが活動の源泉であること、その他人材上の課題、財政基盤上の問題について話されました。

このあと、パネリスト相互の意見交換、フロアからの質疑応答が予定の時間を越えて熱心に交わされました。具体的には、欧米に比べ日本のNGOの財政基盤が弱いこと、そのためキャリアーとしてのプログラムオフィサーが育たないこと、現場では成果を上げているにも関わらずNGOがバラバラに活動していて力が繋がらないことから評価が低いこと等が指摘されました。NGOの熱意に対して社会が思うように反応しないこと、ICTは社会を変え世界の貧困撲滅に重要であるにも拘らず、重要さの評価が低いことに対しては、今後の活動の中でBHN自らが回答を見つけ出さなければならないことでもある等討論されました。

最後に信澤会長から、今後の活動に向けて、マザーテレサの言葉(「成熟した社会は異なる文化や異なる価値観に対して寛容である社会、自分の時間と資金とを他人のために提供することができる社会である」)を引用しながら、「BHNのために、自分の時間と資金を提供して下さっている関係の皆さんの流す汗を大切にしながら頑張ってまいります。これからもよろしくお願いいたします」との決意が述べられました。

 

会場からの質問風景(その1)

 

会場からの質問風景(その2)

 

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