国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業~広島事務所の新しい取り組み、3つの活動拠点で防災・減災スマホ研修~

2023年9月26日(火)11:32

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受けました。「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えつつ、併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2023年8月、島根県大田市北三瓶地区、広島県呉市安浦地区及び天応大浜地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。2023年8月、3拠点共通テーマは「防災・減災のためのスマホ研修」です。2018年西日本豪雨から5年間の月日が経ち、西日本豪雨被災地にとって特別な月でした。なお、ICT研修会の実施に際しては、引き続き、CO2センサーで密にならないように監視し、マスク着用、手指消毒等の基本的な感染対策を行いました。

2023年8月3日、島根県大田市北三瓶センター住民11人+まちづくりセンター職員2人、講師はBHN広島事務所の福田 卓夫氏が担当しました。この日の研修テーマは、「防災情報の活用、情報共有、NHK+、地域からの情報発信相談」でした。

 

● 防災情報の活用

先月に引き続き、防災情報の活用研修から開始しました。防災情報の活用として、これまでにも研修し利用してきた気象庁「キキクル」(危険度分布)から、気象に関する様々な情報を見ることができることを実習しました。沖縄付近にいる台風6号が今後本州に近づくとニュースで言っているので、まずは「台風情報」で台風の進路予測を確認しました。続いて、「雨雲の動き」と「今後の雨(雨量予測)」も確認しました。使い方に慣れてきたキキクルからこれだけの情報を簡単に見ることができ、大変役立つ情報があるので、皆さん感激されていました。

 

「防災情報の活用研修から開始」
(2023年8月3日撮影)

 

「台風6号の動きが気になり、今後の進路予測を確認」
(2023年8月3日撮影)

 

「キキクルから雨雲の動きや今後の雨量予測も確認」
(2023年8月3日撮影)

 

● 情報共有

昨年研修したスマホの情報共有機能を復習しました。スクリーンショットの撮り方、今見ている情報を他の人に転送する操作を、「見ている写真をLINEで誰かに送る」、「LINEで受信した文章や写真を他の人にメールで送る」という実際の場面を想定して練習しました。

 

● NHK+

放送番組のネット配信サービス「NHK+」の概要と始め方を説明し、NHK+のサイトから利用登録したうえでアプリをインストールし、見逃し番組を受信できるようにしました。

最近、島根県大田市北三瓶地区の地域情報が全国放送で取り上げられたが、事前に知らなかったために見逃したという人が多かったので、NHK+が利用できるようになったと喜ばれました。

 

「NHK+のサイトから利用登録」
(2023年8月3日撮影)

 

● 地域からの情報発信相談

この日の研修会終了後、まちづくりセンター職員から「SNSで地域の情報を発信したいので相談に乗ってほしい」という要望がありました。地元の魅力的な写真情報を発信したいというグループがあるようなので、実現できるよう協力することを約束しました。地域からの情報発信相談に応えていきます。

2023年8月17日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民3人、特別講師(安浦地区防災リーダー・真鍋二三夫氏)、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。この日の研修テーマは、「スマホを使って防災情報取得(台風情報・雨雲の動き等)」でした。

● 防災情報取得

いつものように、CO2センサーで換気状態を確認してから研修会をスタートしました。台風6号・台風7号が日本列島に上陸し、各地の被害も大きく報道された後とあって防災情報に対する関心は高くなっています。「ニュースの中でキキクルと何度も解説者が言っていた。先月もこの場でNHK防災アプリとともに気象庁キキクルを検索したことを思い出した」という声もあり、この防災研修が役立っていることが確認出来て嬉しく思いました。

グーグルで「キキクル」を検索し、情報メニューから「台風情報」、「雨雲の動き」、「今後の雨」の情報を確認しました。台風7号は温帯低気圧に変わっても全国的にはまだ雨雲が多くかかっていることがわかりました。雨雲の動きや今後の雨をタップすることで線状降水帯の有無も確認できました。

 

「いつものようにCO2センサーで換気状態を確認」
(2023年8月17日撮影)

 

「台風情報・雨雲の動きは、本当に役立つ情報」
(2023年8月17日撮影)

 

● 特別講師(安浦地区防災リーダー・真鍋 二三夫氏)による「防災特別講話」

7月8日、呉市安浦町まちづくりセンターにおいて、「災害を忘れない」をテーマとした「安浦町防災の集い」が、安浦地区自治会連合会主催で開催されました。安浦町防災の集いでは、5年前の2018年西日本豪雨の災害体験が語られました。

8月17日、安浦地区防災リーダー・真鍋 二三夫氏から、「安浦町防災の集いの模様をお聴きする防災特別講話」をお願いしました。被害の大きかった市原地区、下垣内地区の自治会長と安浦地区自主防災会長との座談会では、それぞれの体験を話している間に言葉が詰まった下垣内自治会長に、隣に座っていた市原自治会長が肩にそっと手を添える場面もあったとの内容に、胸が熱くなりました。

辛い体験を語った皆さんが、声を揃えて話したことは「早めの避難」の重要性でした。各地区の防災リーダーは災害を風化させない取り組みとして、自治会から要請があれば防災訓練にも協力しているそうです。

2023年8月23日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、住民5人、講師はBHN広島事務所の岡崎 幸子氏(主任講師)、沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、杉原 瑞枝氏、廣中 香氏が担当しました。この日のテーマは、「みんなで体操、防災・減災情報の活用」でした。

●みんなで体操

天応大浜アパート自治会長・沖田さんから、呉市介護支援課より「みんなで体操のビデオ」が届いたので皆でやってみようという提案があり、ビデオを見ながら体操をしました。みんなで揃って体操をすると、身も心もほぐれてきます。

 

「ビデオを見ながら、みんなで体操」
(2023年8月23日撮影)

 

● 防災・減災情報の活用

今回も防災・減災の為の情報を復習しながら学習しました。まず気象庁の「キキクル」について、続けて5段階の危険度の色分けの意味を確認しました。皆さん、「色分けで危険度が確認できるので解りやすくていい」と言われました。

自治会長さんは、台風が発生した時に、すぐにスマホで雨量予測、雨雲の動き等を確認されていました。5年前に大きな災害を受けられた皆さんなので、「キキクル」や「NHKニュース・防災」等の防災情報には非常に関心を持たれて熱心に学習されていました。「また何度でもこのような防災・減災情報の活用研修をしてほしい」という要望がありました。

 

「何度でも、防災・減災情報の活用研修をしてほしい」
(2023年8月23日撮影)

 

次に、広島県が減災のための県民運動として推進している「ひろしまマイ・タイムライン」の取り組みについて研修しました。これは、災害に備えて日頃から行うべきことや、災害が発生する危険が迫った際、いつのタイミングで何をすべきか、そして、いつ避難するのか等の「マイ・タイムライン」(自らの防災行動計画)を作成するものです。

 

「ひろしまマイ・タイムライン研修」
(2023年8月23日撮影)

 

県の「ひろしまマイ・タイムライン」のサイトを開き、マイ・タイムラインとは何かを確認しました。マイ・タイムラインの様式を配布し、「避難先」等を記入しながら考えていこうと話をしました。水害や土砂崩れ等の災害の種類によって変わることも考えてもらいました。

 

「各自スマホで、ひろしまマイ・タイムラインサイトへ」
(2023年8月23日撮影)

 

広島県呉市天応地区では、高潮が気になるとのお話がありました。自治会長さんからは、集会所に備蓄の水を準備している等、自治会の防災対応についての説明もありました。マイ・タイムラインはまだ完成していないので、今後も継続して取り組みます。防災に関しては皆さん非常に高い関心を持っておられることを今回も感じました。

 

「マイ・タイムラインの作成に向けて」
(2023年8月23日撮影)

 

● 「呉ポートピアパーク」を散策

研修終了後、隣接する呉ポートピアバークの園内をみんなで一緒に散策しました。

 

「隣接する呉ポートピアバークの園内散策」
(2023年8月23日撮影)

 

BHN広島事務所が担当している3カ所の活動拠点では、2023年8月の3拠点共通テーマとして「防災・減災のためのスマホ研修」に取り組みました。2018年西日本豪雨から5年間の月日が経ち、西日本豪雨被災地にとって特別な月でした。

 

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネジャー)
有馬 修二

 

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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