国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業~広島事務所の新しい取り組み、防災・減災スマホ研修/LINE研修マニュアル基本編の配備~

2023年10月27日(金)14:33

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受けました。「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えつつ、併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2023年10月、島根県大田市北三瓶地区、広島県呉市天応大浜地区及び安浦地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。2023年10月の3拠点共通テーマは「防災・減災のためのスマホ研修」です。経験・ノウハウのデジタル資料化施策の一環として、今回「LINE研修マニュアル基本編」を配備しました。

なお、それぞれの会場では、引き続き、CO2センサーで密にならないように監視し、マスク着用、手指消毒等、基本的な感染対策を行いました。

 

「CO2センサーで密にならないように監視」
(2023年10月5日撮影)

 

2023年10月5日、島根県大田市北三瓶センター住民10人+まちづくりセンター職員2人、講師はBHN広島事務所の福田 卓夫氏が担当しました。この日の研修テーマは、「防災対応、情報共有、LINE研修マニュアル・基本編の作成と配備」でした。

 

● 防災対応

雨の注意報や警報が出ているようなときには、雨雲の状況と今後の動きを把握して早めに避難行動をとる必要があります。今回は、気象庁の危険度分布「キキクル」から「雨雲の動き」と「今後の雨」の情報を確認する実習を行いました。更に、同じ情報は防災アプリ「NHKニュース・防災」からも得られることを確認しました。

 

「テキストで手順を確認しながら、雨雲の状況と今後の動きを確認」
(2023年10月5日撮影)

 

● 情報共有

次に、LINEを活用して、グループで情報共有するための研修を行いました。まず、写真に文字を入れて送信することを実習しました。わりと簡単な操作で実現できるので、「これは便利だ」という感想が聞かれました。

続いて、まちづくりセンター職員から要望のあったLINEの「日程調整」機能を実習しました。「次の研修会の日程を参加者の都合を確認して決める」という設定で練習をしました。まちづくりセンター職員が、日程調整する「イベント」を作成・グループに送信すると、メンバーに回答依頼が届き、各人が都合を回答すると、すぐに集計結果が表示されました。

LINEにこのような機能があることを知って、皆さん驚いていました。地域の活動に有効に活用できそうです。今後とも、地域での情報共有に役立つ研修を続けていきます。

 

「情報共有のための研修、写真に文字を入れて送る実習」
(2023年10月5日撮影)

 

「LINEの日程調整機能を活用、集計結果の表示」
(2023年10月5日撮影)

 

● LINE研修マニュアル・基本編の作成と配備

新たな参加者があったこともあり、これまでの資料を再編集して、「LINEの基本的な使い方」というマニュアルを作成しました。今後、各地での研修に活用していきます。

 

「LINEの基本機能を掲載したマニュアルを作成し配布」
(2023年10月5日撮影)

 

この日に活用した「LINE研修マニュアル・基本編」は、ここから できます。

 

「LINE研修マニュアル・基本編」
 BHNテレコム支援協議会 広島事務所
(2023年10月25日掲載)

画像をクリックするとPDFが開きます

 

 

 

「この日のスマホ研修会の様子」
(2023年10月5日撮影)

 

 

 

2023年10月18日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、住民5人、講師はBHN広島事務所の沖野 啓子氏(主任講師)、福田 卓夫氏、寺岡 和子氏、岡崎 幸子氏、杉原 瑞枝氏、廣中 香氏が担当しました。この日のテーマは、「研修会開始前にプリンター修理、防災ハザードマップ研修、スマホアプリ活用研修、ICT活用個別相談」でした。

 

● 研修会開始前にプリンター修理

 前回、プリンターに「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に近づいている」という警告が出ていることに気づいたので、交換部品を用意して持って行き、研修会開始前に作業を行いました。

他のプリンターでも同様な表示が出ているものもあり、今後も同じ作業が必要となるので、マニュアルを作成し、全員で手順を確認しながら廃インク吸収ボックスを交換し警告をリセットする作業を行いました。

 

「研修会開始前にプリンター修理作業に挑戦」
(2023年10月18日撮影)

 

● 防災ハザードマップ研修  

スマホで「防災ハザードマップ」を開き、災害を選択して確認する手順を復習しました。今回は「地震に関するマップ」の中の「揺れやすさに関するマップ」を見ました。天応大浜住宅の名前が見つかりましたが危険な色は付いていなくて、ひとまず安心しました。

それぞれが少し大きな地震の体験談を話したのですが、いつ起きるか分からない怖さがあると思いました。ライフラインが止まる等して自宅待機になることもあるので、家庭での備蓄について話合いました。

 

「防災ハザードマップの見方、復習から開始」
(2023年10月18日撮影)

 

「地震に関するマップを開いて、揺れやすさに関する情報を確認」
(2023年10月18日撮影)

 

● スマホアプリ活用研修

「メモ」に書いたものをスマホに保存する機能として「Google Keep」の使い方を研修しました。ほとんどの方がアプリは入れていたのですが、写真を撮って利用する機能はまだあまり使っていなかったようで喜ばれました。また、メモに保存した情報をLINEグループに送信し、情報を共有する練習を行いました。

 

「手書きメモ、そして、スマホアプリを活用してメモ保存研修」
(2023年10月18日撮影)

 

● ICT活用個別相談  

ICT活用個別相談では、年賀状作成に備えて住所録を旧アプリからエクセルに変換すること、クレジットカード会員サイトへログインしてカード番号や利用状況を確認できるようにすること等をサポートしました。

 

 

 

2023年10月19日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民7人、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。この日の研修テーマは、「スマホを使った防災研修」でした。

 

● ハザードマップの確認

各自、スマホからハザードマップを起動しました。研修資料は昨日天応大浜地区で使った資料を活用しました。ハザードマップは災害の種類によって分かれています。まず初めに呉市安浦町は、海岸沿いなので津波に関するマップを見てみました。町の中心部のほとんどが危険だと判明しました。また、それぞれの災害種類毎にハザードマップを確認しました。住んでいる地域に危険を示す色が有るか無いかを、皆さん一喜一憂しながらチェックし、自分自身がどんな所に住んでいるのか、どんな危険があるのか確認できたようです。

 

ハザードマップの見方を再確認
(2023年10月19日撮影)

 

● 避難所を確認

先月の研修会で質問のあった「拠点避難所」、「準拠点避難所」、「福祉避難所」、「準福祉避難所」、「地域避難所」を市の資料を使って簡単に説明しました。『私の住んでいる地域は町づくりセンターには遠いから自治会館に避難している、警報がでると自治会長さんが鍵を開けてくれるから、近所の人達と声を掛け合って自治会館に行っている』等の意見もありました。自宅から安全に移動できる避難所は災害によって異なることもあるので、他の候補の避難場所も確認する必要があるね、とも話しました。

 

避難所の種類
(2023年10月19日撮影)

 

● 持ち出し品の確認

避難時の持ち出し品について皆さんの意見を聞きました。平成30年西日本豪雨災害時、ほとんどの方が着の身着のままで避難されたと聞きました。水位がいっきに増して大事な物さえ持って避難できなかったとの意見が多かったです。その経験から『お薬手帳と保険証はコピーしている』という頼もしい発言もありました。

 

● 「簡易スリッパ」の作成

避難所等であったら便利な物、先日の呉市防災リーダー養成講習会で習ったばかりの「簡易スリッパ」を全員で作ってみました。新聞紙3枚を重ねて自分の足のサイズに合わせて折りたたむだけの簡単な物です。履いてみると『暖かいから冬場にはいいね』、『体育館等の避難場所ではこのスリッパがあると便利よ』と好評でした。

 

避難所等であったら便利な物、簡易スリッパ
(2023年10月19日撮影)

 

 

BHN広島事務所が担当している3カ所の活動拠点では、それぞれ新しい工夫を取り入れながら活動を継続しています。2023年10月の3拠点共通テーマとして「防災・減災のためのスマホ研修」に取り組みました。なお、BHN広島事務所では、経験・ノウハウのデジタル資料化施策の一環として、今回「LINE研修マニュアル基本編」を配備しました。

 

 

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネジャー)
有馬 修二

 

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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