国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業~広島事務所の新しい取り組み、防災・減災スマホ研修/多言語音声翻訳研修等~

2023年10月12日(木)12:11

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受けました。「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えつつ、併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2023年9月、島根県大田市北三瓶地区、広島県呉市安浦地区及び天応大浜地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。2023年9月、3拠点共通テーマは「防災・減災のためのスマホ研修」です。なお、それぞれの会場では、引き続き、CO2センサーで密にならないように監視し、マスク着用、手指消毒等の基本的な感染対策を行いました。

 

「CO2センサーで密にならないように監視」
(2023年9月7日撮影)

 

2023年9月7日、島根県大田市北三瓶センター住民10人+まちづくりセンター職員2人、講師はBHN広島事務所の福田卓夫氏が担当しました。この日の研修テーマは、「防災対応、マイ・タイムラインの作成、多言語音声翻訳、AI活用、LINEの乗っ取りに注意」でした。

 

● 防災対応、マイ・タイムラインの作成

災害の危険が迫ったときに、どの段階でどのように行動するかをあらかじめ考えておく「マイ・タイムライン」の作成について、広島県の「ひろしまマイ・タイムライン」を使って、各家庭でマイ・タイムラインを作成してもらうように、改めて説明しました。

「マイ・タイムライン」を考えるうえで、まずは自宅周辺でどのような災害の危険があるのを確認しておく必要があるので、国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」で、改めて自宅周辺の状況を確認してもらいました。地区内にあるため池が決壊したときに発生する洪水の予測も載っていて、該当する地区の人はその状況を確認していました。

 

「防災対応、マイ・タイムライン」
(2023年9月7日撮影)

 

「各家庭でマイ・タイムラインを作りましょう」
(2023年9月7日撮影)

 

「ハザードマップで確認しましょう」
(2023年9月7日撮影)

 

「ハザードマップポータルサイトから、各自、自宅周辺の危険を確認」
(2023年9月7日撮影)

 

「自宅近くにあるため池が決壊したときの状況を確認」
(2023年9月7日撮影)

 

● 多言語音声翻訳

NICTさんの多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」(ボイストラ)をインストールして試してみました。このアプリは、日本語で話すと英語等、外国語に翻訳して読み上げてくれます。逆に、外国語で話すと日本語に翻訳して読み上げてくれます。

簡単な操作で、とても高度な機能を手軽に使えるので、皆さん驚いていました。これで、海外旅行に行ったときや、日本で外国人に話しかけられても大丈夫・・・ということになります。

 

「多言語音声翻訳アプリをインストール」
(2023年9月7日撮影)

 

「多言語音声翻訳アプリを実際に使ってみました。正しく変換されます。」
(2023年9月7日撮影)

 

● AI活用

シニアネットひろしまのオンラインICT講演会「シニアのためのAI入門」を活用して、AI利用例として、調べもの、お礼状、エクセルの関数、画像生成について、身近なことに役立つ利用ができることを認識してもらうことができました。

 

● LINEの乗っ取りに注意

「LINEの乗っ取りに注意」という警察からの注意文書を示して、まちづくりセンター職員から注意喚起がありました。LINEの友だちから電子マネーを買ってくれというメッセージが届いたという相談が県内でも増加しているそうです。その友だちのアカウントが乗っ取られ、電子マネーを詐取するメッセージを送信してきたということです。

 

「LINE乗っ取りを注意喚起する警察のチラシ」
(2023年9月7日撮影)

 

2023年9月17日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民9人、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。この日の研修テーマは、「防災の備え、防災に関する意見交換会」でした。

 

● ハザードマップポータルサイトを使って確認

国土地理院「ハザードマップポータルサイト」に住所を入力し、災害の種類を選択して、自宅周辺でどのような災害の危険があるか確認しました。呉市が提供している「WEB版防災・ハザードマップ」の使い方の資料を活用して研修しました。「災害の種類が大きな文字で色別されており高齢者にも見やすい」との意見がありました。

「災害の種類」を切り替えて、自宅周辺の危険度の違いを見て、「土砂災害の危険度は高いけれど高潮の危険は少ないね」等、自宅周辺の危険度を改めて確認しました。またマップには避難所と一時避難施設の表示もありました。「出かけている時に災害にあった場合にも自分の近くにある避難所の位置がわかるね」、「一時避難施設って何?」、「呉市における災害時の避難施設が多いのにも驚いた」等々、色々な話が出ました。調べた結果、呉市危機管理課によると避難場所、避難所は細かく役割によって区分がされていることが判りました。次回、お話できたらと思いました。

 

「呉市の防災・ハザードマップを確認」
(2023年9月17日撮影)

 

「災害種類毎に、自分が住んでいる地域の危険度を確認」
(2023年9月17日撮影)

 

● 呉市防災リーダー養成講習

この日、講師は、災害についてもう少し勉強するために『呉市防災リーダー養成講習』を受講することにしました。10月からカリキュラムに沿って学習します。

 

● 防災に関する意見交換会、お茶会

スマホを使ってハザードマップの確認を終えてからの意見交換会では、「最近は災害が多くて毎年どこかで災害が起きている、西日本豪雨災害では全国から様々な支援を受けることができたが災害が多くなるとボランティア活動も足りていないのではないか?」、「災害が起きるのは自然だから仕方がない、だからこそ災害への備えが大事」、「もし、また災害が起こったら家の修繕は諦める」と前向きな発言ばかりではありません。豪雨災害を風化させずに、災害に対する備えを常日頃から行っていくことが大切だと研修を通して実感しました。

スマホ操作に関する色々な質問に対し個別に対応しました。そして、「淡交会」様から頂戴した「お抹茶とお菓子」でお茶会を楽しみました。

 

2023年9月27日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、住民5人、講師はBHN広島事務所の寺岡 和子氏(主任講師)、沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、寺岡 和子氏、杉原 瑞枝氏、廣中 香氏が担当しました。この日のテーマは、「キキクル使い方復習、マイ・タイムラインの作成と非常持ち出しグッズ一覧、天応地区合同自主防災訓練模様」でした。

 

● 「キキクル」の使い方を復習

 先月研修した防災アプリの復習として、気象庁の危険度分布「キキクル」をインストールして操作の確認をしました。前回、BHN広島事務所の島根開発センターが作成した資料でインストールしたはずなのに見つかりません。もう一度インストールするところから始めました。使い慣れていないのでスイスイといきません。何度かやっていると前回の操作を思い出しました。何度も繰り返し操作をすることが重要です。

 

「配布資料の準備作業」
(2023年9月27日撮影)

 

● マイ・タイムライン作成と非常持ち出しグッズ一覧

前回「マイ・タイムライン」の説明を行いましたので、今回はプリントしたタイムラインシート3種類を配布して「非常持ち出しグッズ一覧」について皆さんと話し合いました。

話し合いの中では、皆さんの被災体験から次のようなヒントをいただきました。

・持病の薬はできたら多めに貰っておくといい。事情によっては出してくれる医療機関もある。 ・預金や保険は証書がなくても回復できる。但しタンス預金は証拠となるものがないのでだめ。 ・持ち出し用のバッグはできれば2個、一つは1階、もう一つは2階に置くといい。 次回には「マイ・タイムライン」を完成させるように、考えておいてもらうことにしました。

 

「非常持ち出しグッズ一覧について討論」
(2023年9月27日撮影)

 

「広島県民だより防災特集号表紙には、天応地区被災写真」
(2023年9月27日撮影)

 

● ICT活用相談

 バスに乗る停留所名を入力して検索するとバスがいつ来るかがわかる「バス接近情報サイト」等、日常の生活に役立つ便利なアプリを紹介しました。

 ● 天応地区合同自主防災訓練模様

 自治会長の沖田さんから、9月3日に開催された天応地区合同自主防災訓練内容の報告がありました。ドローン赤外線による負傷者捜索、消防団による簡易担架・心肺蘇生、AED訓練、炊き出し訓練等が行われました。

 

「自治会長沖田さん、天応地区合同自主防災訓練模様の報告」
(2023年9月27日撮影)

 

BHN広島事務所が担当している3カ所の活動拠点では、それぞれ新しい工夫を取り入れながら活動を継続しています。2023年9月の3拠点共通テーマとして「防災・減災のためのスマホ研修」に取り組みました。

 

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネジャー)
有馬 修二

 

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社(NTTグループカード)、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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