台東区内 災害被災者への情報提供実践訓練事業
災害時、「情報」はとても重要です。危険な場所が分からなければ、命を落としてしまうかもしれません。物資の配布や入浴支援を知らなければ、健康を損ねてしまう危険性があります。さまざまな支援制度を理解しなければ、暮らしを立て直すことも難しくなります。
台東区内には老若男女、さまざまな人がいます。本事業では、災害時になるべく多くの人に情報を届けるためのツールの一つとして、災害ラジオ(臨時災害放送局)の放送訓練をおこない、災害時の情報収集・情報発信を体験するワークショップを実施します。台東区職員だけでなく区民も一緒に学ぶことで、いざという時の情報伝達をより柔軟に、より力強くすることを目的としています。
(こちらのURLから台東区のページへアクセスできます)
https://www.city.taito.lg.jp/kurashi/kyodo/kyodo/20211208115501677.html
事業名 | 災害時、台東区内の被災者へ適切な情報を提供するための実践訓練事業 |
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対象者 | 台東区職員、台東区民 |
対象地域 | 東京都台東区 |
実施期間 | 2024年4月~ |
協力機関・団体協力機関 団体 | NHK放送文化研究所、秋葉原BCLクラブ |
- 【背景】
- 防災グッズ売り場に行くと、必ず「ラジオ」が置いてあります。防水対応やLEDライト付きなど多機能化しており、最近では「スマホが充電できるラジオ」等も登場しました。
でも、なぜ災害時に、ラジオがあるといいのでしょうか?
ぐらっと地震が来たとき、真っ先にテレビをつける家庭は多いでしょう。しかし、停電してしまっては何も映りません。スマホもバッテリーが1日もたず電池切れになってしまいます。大きな災害では停電が長期化し、2019年の台風では千葉県で2週間、2024年の能登半島地震では石川県で2ヶ月に亘って停電が続いた地域がありました。
その点、ラジオは、乾電池や手回し充電で聞くことができます。放送側も、スタジオにディーゼル発電機やソーラーパネルさえ確保できれば、(たとえ被災地の携帯電話基地局や防災無線用スピーカーにトラブルが起きていたとしても)被災地に情報を届けることができるのです。
こうした災害ラジオ局をすばやく立ち上げるための制度「臨時災害放送局」は、阪神・淡路大震災をきっかけに、広く知られるようになりました。通常、放送局を設立するには多くの手続きが必要になりますが、臨時災害放送局は、自治体が総務省に要請すれば、電話一本ですぐに免許が取得できます。
BHNはこれまでに、東日本大震災やネパール地震などで災害ラジオ局の復旧・修復を支援してきました。しかし、発災時に素早く放送するためには、平時から準備しておくことが必要です。
そこでBHNは、(東京オフィスの地元である)台東区と共に、臨時災害放送局の試験放送や、情報発信・収集のコミュニケーションの訓練をおこない、防災・減災力の強化に努めていこうと考えました。
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台東区内での電波受信実証検査実施(2024年4月25日)
- 【活動内容】
- 本事業の活動は大きく二つあります。一つは「臨時災害放送局の試験放送」、もう一つは、「被災者に適切な城報を伝えるための情報収集・情報発信シミュレーション」です。
(1)臨時災害放送局の試験放送:
通常、臨時災害放送局は災害時のみ開局できるものですが、平時においても「電波がどこまで届くのか」といった調査や、災害を想定した訓練のために、試験的な放送をすることが可能です。本事業においては「実験試験局」として関東総合通信局から機材を借り受け、試験放送と電波状況の調査をおこないます。さらに、今後の研修をふまえて、放送アナウンスの訓練もおこなう予定です。
(2)被災者に適切な情報を伝えるための情報収集・情報発信シミュレーション:
たとえ放送機材が充分であっても、何をどう伝えるかが曖昧なままでは、情報をきちんと届けることはできません。そこで実際に台東区が大地震による被害を受けたと想定して、「発災から1週間後に情報を収集・発信するシミュレーション」を研修方式でおこないます。災害対策本部に集まってくる情報のうち、何を伝えるべきか、どんな情報を取りに行くべきか、そして、どんな点に気をつけながら、情報をラジオ放送の読み上げ原稿に落とし込むのか。外部の有識者や、多様な団体・組織とともに、学んでいきます。
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臨時災害放送局用の機材
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台東区内にて小型ラジオで受信確認
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アンテナで電波をキャッチし、項目にそってチェック
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いくつかのエリアに分かれての検査作業
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- 【成果】
- 現在は検証段階ですが、BHNと台東区が協働で行うこの事業により、以下の成果が期待されます。
①臨時災害放送局という情報チャネルが加われば、多層化により災害時の情報伝達が強靱なものとなります。台東区内のより多くの被災者に情報が届くようになれば、それだけ適切な行動を取る人が増え、安全確保や早期の復旧復興につながります。
②災害情報マネジメントに関する知識と意識が、行政職員と地域住民ともに高まります。これにより、一人一人が災害リスクを正しく理解し、適切な備えと行動ができる文化が根付くことを目指します。
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台東区のどのエリアでも放送を受信できるかを検査
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アンテナと検査機器をつなぎ数値を確認
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最高気温25度以上の夏日での作業お疲れ様でした
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- 活動レポート一覧へ
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