国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の被災者支援活動、新しい段階の広域災害後方支援活動への取り組み(13)~

2025年2月5日(水)16:46

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受け、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えています。併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材等を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2025年1月9日島根県大田市北三瓶地区、1月15日広島県呉市天応地区、1月16日広島県呉市安浦地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。3拠点共通テーマは「オンライン研修会、緊急連絡情報登録」です。

2024年1月1日16時10分に発生した令和6年能登半島地震、更に、2024年9月20日から発生した令和6年奥能登豪雨災害に対し、BHN現地事務所(宮城、熊本、広島)ではBHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を実施してきました。令和6年能登半島地震被災者支援事業は順調に軌道に乗ってきました。

BHN広島事務所では、2025年1月より、新しい段階の広域災害後方支援活動に取り組んでいきます。「BHN北陸事務所が担当している令和6年能登半島地震被災地とBHN広島事務所が担当してきた2018年西日本豪雨被災地等との被災地間交流」の実現を待ちながら、「今後国内各地で発生する新しい国内災害、とりわけ、南海トラフ巨大地震等に備える、既得及び新規通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備活動」を進めていきます。

 

 

■研修場所、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター

 

2025年1月9日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、住民8名+北三瓶まちづくりセンター職員1名(山田 みどり氏)+BHN広島事務所メンバー オンライン参加6名(沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、岩本 一子氏、廣中 香氏)、この日の研修テーマは、「緊急連絡情報登録、地図アプリ活用、特殊詐欺被害防止、広島と結んだオンライン研修会」でした。講師はBHN広島事務所(所長、島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)の福田 卓夫氏が担当しました。

 

●緊急連絡情報登録

スマホには、緊急連絡先や血液型等の医療情報を登録しておき、スマホをロック中でも登録した情報を参照できる機能があります。これを利用できるようにすると、例えば事故に遭って救急搬送されるときに救急隊員が参照して救命に役立ちます。

Androidスマホは「緊急情報サービス」、iPhoneは「ヘルスケア」アプリからこの機能を利用できるので、各人スマホに自分の情報を登録しました。

マニュアルは用意しましたが、機種によって画面が違うところがあり、個別指導が必要でした。また、せっかくの機能ですが、わかりにくいところもあり、またあまり知られていないのでもったいないと思いました。

 

●地図アプリの活用

先月に続き、地図アプリ「Google Map」の使い方を実習しました。基本的な機能をひととおり知って活用できるようにすることを目標として行っています。

今回は、地図上にあるお店の詳しい情報を知ることができたり、駅の時刻表を見ることができたり、大型ショッピングセンターの売り場の位置を確認できることを実習しました。更に、ストリートビューの見方を実習し、自宅周辺がどのように撮られているか確認してもらいました。ストリートビューについては、直近に撮られた画像だけでなく、数年前に撮られた画像も見ることができることを確認して、驚いていました。

普段、場所を調べることに使っている地図アプリにこのような機能があることがわかって、とても喜ばれました。

地図アプリの活用実習
(2025年1月9日撮影)

 

●特殊詐欺被害防止

最近、県内で頻発している特殊詐欺について、具体的な事例を紹介し被害にあわないように注意喚起しました。市役所からの還付金受け取り、投資や副業の勧誘等を口実に働きかけてくる詐欺の事例を知ることによって、電話やメール等を受けても「おかしい」と気づくことが重要です。今後とも引き続き、特殊詐欺に関する情報を提供して被害を防止します。

 

●広島と北三瓶地区を結んだオンライン研修会

広島から6名がオンラインで参加し、一緒に研修を進めました。この日は、北三瓶まちづくりセンター職員・山田 みどり氏が、積雪の状況等北三瓶の情報を広島のメンバーに提供しました。「今、雪が降っている」という情報に驚いていました。

 

広島と北三瓶地区を結んだオンライン研修会
(2025年1月9日撮影)

 

 

■研修場所、広島県呉市天応地区

 

2025年1月15日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、呉市天応地区住民6名+坂町住民2名、この日の研修テーマは「緊急連絡情報登録、備蓄品を確認しよう、Google Mapでストリートビューを使おう、LINEで写真に文字やスタンプを入れて寒中見舞いを送ろう」、講師はBHN広島事務所の杉原 瑞枝氏(主任講師)、寺岡 和子氏、廣中 香氏、沖野 啓子氏の4名が担当しました。

いつものように、CO2センサーで室内環境を確認しながら、ICT研修会を開始しました。

 

CO2センサーで室内環境確認
(2025年1月15日撮影)

 

この日、準備したICT研修会資料
(2025年1月15日撮影)

 

「防災の基本動作」を繰り返し確認
(2025年1月15日撮影)

 

●緊急連絡情報登録機能の紹介

スマホには、緊急連絡先や血液型等の医療情報を登録しておき、スマホをロック中でも登録した情報を参照できる機能があります。これを利用できるようにすると、例えば事故に遭って救急搬送されるときに救急隊員が参照して救命に役立ちます。質問・回答等は次回以降に実施することにしました。

 

●「ひろしまラボ 防災グッズ」サイトで備蓄品を確認しよう

少し前に大きな地震があったことで、備蓄品を再確認しようと話し合いました。備蓄している食料品の期限の確認や、持ち出し品は必要最低限にしよう等の意見が出されました。

「ひろしまラボ 防災グッズ」のサイトをホーム画面に追加する方法を再確認し追加しました。

 

●Google Mapでストリートビューを使おう

「広島駅」を検索し、広島駅周辺をストリートビューで見ました。過去の写真も見られることは知らない人が多く、「地図機能しか見たことが無かった」と言う方もいらっしゃって、驚かれていました。

 

●LINEで写真に文字やスタンプを入れて「寒中見舞い」を送ろう

LINEグループで送る写真に文字を入れる方法として、写真を撮ったその場で文字入れして送る方法、すでにある写真に文字を入れて送る方法を練習しました。既にこの機能を使っていた方でも、細かい修正のやり方等に新たな気付きもあり喜ばれました。参加した方から「帰宅後に早速復習した」と文字入りの写真が届いて、講師は感激しました。

 

 

研修場所、広島県呉市安浦老人福祉会館

 

2025年1月16日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民7名、この日の研修テーマは「ひろしまラボ防災グッズサイト検索」と「緊急連絡情報のスマホ登録」、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。

今年も持ち寄った花を生けることから始めました。そして、互いの近況報告から始めました。それぞれが工夫して取り組んでいる体調管理の方法について話し合いました。更に、最近頻発するようになった地震への備えについて意見交換しました。

 

今年も持ち寄った花を生けることから始めました
(2025年1月16日撮影)

 

ロウバイ、寒椿、ミモザを前にそれぞれの近況報告
(2025年1月16日撮影)

 

●「ひろしまラボ防災グッズサイト検索」と「緊急連絡情報のスマホ登録」

サイトを検索して、防災士が厳選した防災グッズ10選を確認してみました。これらの防災グッズの保管場所についても、それぞれの家族数、環境によって違いはあるものの、各家庭で持ち出し易い場所にあるのか改めて確認してみようと話し合いました。

次に、緊急連絡情報のスマホ登録作業を実施しました。配布資料は北三瓶まちづくりセンター研修用に作成されたものを使用しました。AndroidとiPhoneに分かれて、資料通りにスマホを操作していきました。Android 端末の方お一人が設定画面に『緊急情報』が見当たりませんでした。他の方は資料を見ながら次々と必要事項を入力していきます。途中、「入力を間違えた、どうしよう?」とお隣の方と相談される場面もありましたが、何とか訂正することができました。その後、きちんと入力されているか、ロック画面から操作し確認してみました。スマホ機能が無限大にあることに講師も含めて皆さん驚きました。

 

緊急連絡情報の登録作業
(2025年1月16日撮影)

 

 

■新しい段階の広域災害後方支援活動への取り組み(13)

 

BHN広島事務所では、2025年1月より、新しい段階の広域災害後方支援活動に取り組んでいきます。BHN北陸事務所が担当している令和6年能登半島地震被災地と、BHN広島事務所が担当してきた2018年西日本豪雨被災地等との被災地間交流の実現を待ちながら、今後国内各地で発生する新しい国内災害、とりわけ、南海トラフ巨大地震等に備える、「既得及び新規通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備活動」を進めていきます。

 

●令和6年能登半島地震被災者支援事業へ新しい視点から広域災害後方支援活動

2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。更に、2024年9月20日から令和6年奥能登豪雨災害が発生しました。BHNの既設事務所(宮城、熊本、広島)では、BHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に新設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続してきました。

昨年末までの広域災害後方支援活動で、令和6年奥能登豪雨災害被災地の仮設住宅団地集会所12カ所で開設する「BHNパソコンコーナーに配備する新・旧全ての機器整備・発送業務」を完了しました。

これからは、新しい視点からの取り組みとして、「2024年令和6年能登半島地震災害(含む、奥能登豪雨災害)被災地の皆さまと、2018年西日本豪雨被災地の皆さまをネットで結んだ新旧被災地間ネット交流会」の実現に向けて、広島側の準備を進めていきます。

 

●新たな国内巨大災害の発生に備える広域災害後方支援活動への取り組み

BHN広島事務所では、新しい国内巨大災害の発生に備えるための広域災害後方支援活動を継続しています。BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)では、これまでBHN宮城事務所において2011年東日本大震災被災者支援活動から長期間活用してきた旧型パソコンの整備作業を実施し、2025年1月15日、BHN宮城事務所へ10台の整備済機器の発送・配備業務を完了しました。

BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)では、今回、新たにリユースタブレット100台を受領し、性能確認試験工程に入りました。今後、新たな国内巨大災害に対処する、新しい避難所、新しい在宅避難者向けコミュニティセンター、新しい大規模仮設住宅団地集会所等へ、新たな機能を備えて開設する「BHNパソコンコーナー、BHNICTコーナーに配備する機器」として性能確認試験を実施していきます。

なお、今回、新たに受領したリユースタブレット100台とVR(Video Research社)シール100枚は、国立大学法人 電気通信大学 Ph.D. 石垣 陽様からBHN広島事務所(所長 福田 卓夫氏、島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)へ直接発送していただきました。慎重に性能確認試験をしながら、大切に活用していく計画です。

 

新たに受領したリユースタブレット100台分
(2025年1月25日撮影)

 

新たに受領したリユースタブレット100台
とVR(Video Research社)シール100枚
(2025年1月25日撮影)

 

 

これまでの活動状況は以下のページをごらんください。

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業(その2)

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネージャー)
有馬 修二

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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