国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の被災者支援活動、新しい段階の広域災害後方支援活動への取り組み(17)~
2025年6月9日(月)16:08




BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業
BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受け、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えています。併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材等を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
2024年1月1日16時10分に発生した令和6年能登半島地震、更に、2024年9月20日から発生した令和6年奥能登豪雨災害に対し、BHN現地事務所(宮城、熊本、広島)ではBHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を実施し、令和6年能登半島地震被災者支援事業は順調に軌道に乗ってきました。
BHN広島事務所では、「BHN北陸事務所が担当している令和6年能登半島地震被災地とBHN広島事務所が担当してきた2018年西日本豪雨被災地等との被災地間ネット交流会」を実施しながら、「今後国内各地で発生する新しい国内災害、とりわけ、南海トラフ巨大地震等に備える、既得及び新規通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備活動」を進めています。
2025年5月8日島根県大田市北三瓶地区、5月15日広島県呉市安浦地区、5月21日呉市天応地区の活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。加えて、5月24日午前・午後、令和6年能登半島地震被災地との被災地間ネット交流会への対応状況(第5回目ネット交流会、第6回目ネット交流会)を報告します。3拠点共通テーマは、「情報セキュリティ、オンライン研修、被災地間ネット交流会への対応」です。
■研修場所、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター
2025年5月8日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、住民12名+北三瓶まちづくりセンター職員1名(山田みどり氏)+BHN広島事務所メンバー オンライン参加6名(沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、岩本 一子氏、廣中 香氏)、この日の研修テーマは、「情報セキュリティ、オンライン研修、Lineの新しいAI活用研修」でした。講師はBHN広島事務所(所長、島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)の福田 卓夫氏が担当しました。
●能登との被災地間ネット交流会(第2回目ネット交流会)の報告
4月27日、能登との被災地間ネット交流会(第2回目ネット交流会)が実現し、BHN広島事務所メンバーのほか、呉市天応地区の沖田 英一自治会長にご参加頂き、能登の皆さんと有意義な交流を行うことができたことを報告しました。このネット交流会には、北三瓶まちづくりセンターの皆さんが協力して現地に送ったICT機器が役立っていることを知って喜ばれました。今後とも、全国への災害支援に対応できるよう準備していきます。

島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、スマホ・パソコン研修会
(2025年5月8日撮影)
●情報セキュリティ
ネット広告の中には、詐欺の広告も入り込んでいて、突然表示されることがあります。「サポート詐欺」と言われるものは、ネット閲覧中に突然警告音がなって、マイクロソフトを名乗って、「パソコンにセキュリティの問題が発生したので表示しているサポートセンターに連絡するように」と指示され、連絡した結果「サポート料」として騙し取られるというものです。このようなサポート詐欺の事例について、パソコン画面を動画に撮ることができたので、これを見てもらい注意喚起しました。
島根県内では、今年4月までの特殊詐欺の被害額が、2億5000万円余り、既に去年1年間の被害額を大幅に上回るという深刻な事態になっています。数日前にも島根県内で、SNSで知り合った相手に1,450万円だまし取られたという、投資詐欺被害が発生しているので、警察庁の「特殊詐欺対策ページ」に掲載されている特殊詐欺の事例を紹介し対応を説明しました。

情報セキュリティの重要性を再確認
(2025年5月8日撮影)
●新しいAIの活用
2025年4月からLINEで利用できるようになった2つのAIサービスを試しました。生成AIは既にいくつかサービスされていますが、日常使っているLINEで手軽に利用できるのが特長です。すぐに使えるような画像を生成し、トークのやり取りを分析して返信を提案してくれます。皆さん「これは便利だ」、「十分使える」と喜んで、いろいろ試していました。
「これなら、AIに全部やってもらえばいいね」、「いやいや、AIができることは任せて、人間にしかできないことに注力するのがいいよ」というような会話も、これからも、AIの有効な活用を考えて提案していきたいと思います。以前作成したテキストに基づいて、グループを作り、地域でコミュニケーションを深めるために必要な基本機能を復習しました。皆さん、LINEは日常よく使っているのですが、機能をひと通りやってみると、使う頻度の少ないものは忘れていました。基本機能の復習研修によって、LINEを更に便利に活用できるようになったと喜ばれました。

皆さん、AIに興味津々、いろいろと試しました
(2025年5月8日撮影)
■研修場所、広島県呉市安浦老人福祉会館
2025年5月15日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民7名、この日の研修テーマは「日頃から備える防災、LINEのAIを活用」、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。
●先ずは、季節の花を生けます
この日も、先ずは、季節の花を生けます。今日の花、つる桔梗、ガーベラ、あやめ、南天ソケイ、千代萩、箱根空木(ハコネウツギ)等、初めて聞く名前もありました。それぞれ持ち寄った花瓶に手際よく生けたら、近況報告とお喋りに花が咲きます。

季節の花を生けます、花の名前を調べてみました
つる桔梗、ガーベラ、菖蒲、千代萩、南天ソケイ、箱根空木等
(2025年5月15日撮影)
●日頃から備える防災
呉市の市政だよりに【災害、日頃から備える】との特集があり、出水期前の準備の記事を読み上げました。グループLINEであらかじめ市報を持参するようお願いしました。災害発生時にとるべき行動について大雨、地震、津波とそれぞれ交代で読み上げ、日頃の備えの大切さを改めて感じました。
市報の内容には、避難の手引き等QRコードが表示されています。スマホが手元にありますが、QRコードの読み取り方法を忘れている方もおられました。お隣りの方に聞いて「そうだったね」と思い出してサイトを開くことができました。ここでも繰り返し自分でやってみることの大切さを感じました。

この日の研修用教材、呉市の市政だより等
(2025年5月15日撮影)
●LINEのAIを活用
北三瓶と同じ資料を使いました。「最近よくAIって耳にしますね」、「テレビのニュースでもAIさんが読み上げているよね」と、皆さん色々な場面でAIはご存じのようでしたが、実際に自分が使ってみるのは初めてで、資料に沿って操作します。AIキャンパスでは「資料に載っているような可愛い猫にならない」との意見が上がれば、「AIさんも漠然とした内容より具体的な単語を使わないとわからないよ」とAIの気持ちまでわかったような意見もあり、大変盛り上がりました。

新しい機能に興味津々
(2025年5月15日撮影)

操作に慣れたら、色々なことをAIに質問してみました
(2025年5月15日撮影)
■研修場所、広島県呉市天応地区
2025年5月21日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、呉市天応地区住民4名、坂町住民1名,この日の研修テーマは「防災研修とAI活用」、講師はBHN広島事務所の杉原 瑞枝氏(主任講師)、沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、岩本 一子氏、岡崎 幸子氏、廣中 香氏の6名が担当しました。
●天応西条公園完成
2018年7月の西日本豪雨災害で大きな被害を受けた呉市天応地区に、天応西条公園(てんのうさいじょうこうえん)が完成し、2025年5月24日完成式が行われました。整備された天応西条公園は、住民の憩いの場とし、また災害の記憶を継承し、祈念するとともに災害の一時避難場所の役割を果す公園となるように整備されました。
●2025年4月17日開催の被災地間ネット交流会(第2回目交流会)について
研修に先立ち、2025年4月17日開催の被災地間ネット交流会(第2回目交流会)に参加してくださった沖田 英一氏にお礼の言葉をお伝えしました。心のこもったコメントに、私達もとても感動したことを話しました。また、BHN本部から届いた、令和6年能登半島地震被災者支援事業が特集されているBHN会報誌「テレコムクロスロード」(2025 May No.84)を皆さんで回覧しました。
「令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~珠洲市・穴水町・輪島市の集会所を活動拠点にした、ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動への取り組み(19)~」
●防災研修
スマホの防災アプリ(キキクル、呉市Web防災)の復習をしました。これらのアプリは、皆さんスマホのホーム画面に追加してすぐに開けるようにしているので、開いてそれらの機能を確認しました。キキクルは、その場所の危険度が色分けして表示されます。それぞれの色の意味を認識し、段階に応じてどういう行動をとったらいいのかを考えておく必要があります。
普段から、繰り返し使って、情報の意味を認識しておくことが防災に役立つと思います。体験した豪雨時の災害状況の話も出ました。ここ数年では砂防ダムや堤防の整備、多量降雨時の貯水等、各種の防災対策がされて、災害が少なくなったように感じるとのことでした。

防災研修からスタート
(2025年5月21日撮影)

「大雨の情報があるようだ」と心配しながら見ました
(2025年5月21日撮影)
●AIの活用
次に、島根県大田市北三瓶地区で配布された研修テキストを使って、LINEの新しいAIを設定し使ってみました。生成AIに質問してみようということで「各自の生まれた日のお天気」を聞くことにしました。誕生日、出生地を入力して、続いて「お天気は?」と入力して質問すると、AIがしっかりと答えてくれて驚きました。
次に画像作成に切り替えて、各自が描いてほしい画像を頼み、出来上がった画像をLINEグループでシェアしました。言葉の選び方が的確でないと、思うような画像にならないことも分かり、作成が面白くなって、大変盛り上がりました。

「早速AIに質問」してみました
(2025年5月21日撮影)
■BHN広島事務所による「新しい段階を迎えた広域災害後方支援活動」
●令和6年能登半島地震被災者支援事業への広域災害後方支援活動
2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。更に、2024年9月20日から令和6年奥能登豪雨災害が発生しました。BHNの既設事務所(宮城、熊本、広島)では、BHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に新設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続してきました。2024年末までの広域災害後方支援活動で、令和6年奥能登豪雨災害被災地の仮設住宅団地集会所12カ所で開設する「BHNパソコンコーナーに配備する新・旧全ての機器整備・発送業務」を完了しました。
●新しい段階を迎えた広域災害後方支援活動、被災地間ネット交流会への対応
BHN広島事務所は、BHN北陸事務所からの要請に応えて4月に続き、5月11日午前、5月11日午後、5月24日午前、令和6年能登半島地震被災地との被災地間ネット交流会に参加しました。なお、5月24日午前、この日の輪島市門前町道下第1団地でも、特別なイベントが無く、5月11日に直接お会いした3人の自治会役員(世話人)、大倉 好子氏、上岡 元子氏、神崎 智子氏はそれぞれの活動を終えてから、順々に、この日の被災地間ネット交流会にご参加いただきました。この日は、落ち着いた雰囲気の中で、大変に意義深い被災地間ネット交流会になりました。BHN広島事務所からは福田 卓夫所長、沖野 啓子氏、岩本 一子氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、廣中 香氏が担当しました。

能登半島地震被災地と広島地区を結んだ被災地間ネット交流会に参加
輪島市門前町道下第1団地集会所
3人の自治会役員(世話人)神崎 智子氏、大倉 好子氏、上岡 元子氏
BHN北陸事務所4名、広島事務所5名、BHN 有馬 修二
(2025年5月11日午前撮影)

能登半島地震被災地と広島地区を結んだ被災地間ネット交流会に参加
輪島市稲屋町稲屋第1団地集会所
2人の自治会役員 水谷 正明氏、千葉 昇一氏
BHN北陸事務所4名、広島事務所5名、BHN 有馬 修二
(2025年5月11日午後撮影)
これまでの詳細な被災地間ネット交流会の模様は、以下のサイトをご覧ください。
・ 令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~珠洲市・穴水町・輪島市の集会所を活動拠点にした、ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動への取り組み(19)~
・ 令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~珠洲市・穴水町・輪島市の集会所を活動拠点にした、ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動への取り組み(20)~
・ 令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~珠洲市・穴水町・輪島市の集会所を活動拠点にした、ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動への取り組み(21)~
●新たな国内巨大災害の発生に備える広域災害後方支援機能整備への取り組み
BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)では、新たにリユースタブレット100台を受領し、性能確認試験工程に入りました。
新たに受領したリユースタブレット100台とVR(Video Research社)シール100枚は、国立大学法人 電気通信大学 Ph.D. 石垣 陽様からBHN広島事務所(所長 福田 卓夫氏、島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)へ直接発送していただきました。
BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)の広域災害後方支援活動チームの皆さまにご協力いただきながら、慎重に性能確認試験をしながら活用準備を進めています。スマホと同じアプリは動作可能で、更に大きな画面を生かしてパソコンと同様な利用が可能と考えられます。
今後の国内大規模災害の発生に備えて、新旧大規模被災地間ネット交流会及び大規模被災地内ネット交流会等に効果的に活用できないかを検討しています。更に、新たな国内巨大災害に対処する、新しい在宅避難者向けコミュニティセンター、新しい大規模仮設住宅団地集会所等へ、新たな機能を備えて開設する「BHNパソコンコーナー、BHNICTコーナー等に配備する機器」の一つとしての性能確認試験を実施しています。
2025年4月3日、BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)において、通常のICT研修会に入る前に、新たにご寄付いただいたタブレットの性能確認のため、島根と広島間で地域間オンライン交流テストを実施しました。
2025年5月18日、BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)は、快適な地域間オンライン交流の確認ができたので、令和6年能登半島地震被災地において被災地間及び被災地内ネット交流会での活用を目指して、各種機能整備を完了した新しいタブレット13台をBHN北陸事務所へ追加発送しました。
これまでの活動状況は以下のページをごらんください。
理事(プロジェクトマネージャー)
有馬 修二