国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の被災者支援活動、能登半島地震被災地向け広域災害後方支援活動を継続 (11) ~
2024年12月11日(水)11:42




BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業
BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受け、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えています。併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
2024年11月7日島根県大田市北三瓶地区、11月21日広島県呉市安浦地区、11月27日広島県呉市天応地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。3拠点共通テーマは「オンライン研修会、生成AIの活用とSNS(インスタグラム)活用の研修」です。
なお、2024年1月1日16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。更に、2024年9月20日から令和6年奥能登豪雨災害が発生しました。BHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。
■研修場所、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター
2024年11月7日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、住民12人+まちづくりセンター職員1人(山田 みどり氏)+BHN広島事務所メンバー オンライン参加5名(沖野 啓子氏、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、岩本 一子氏、廣中 香氏)、この日の研修テーマは、「生成AIの活用とSNS(インスタグラム)活用」でした。講師はBHN広島事務所(所長、島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)の福田 卓夫氏が担当しました。
● 広島と結びオンライン研修会
先月に引き続き、広島事務所のメンバー5人が北三瓶研修会にリモート参加する形でのオンライン研修会を試行しました。北三瓶まちづくりセンターの会場内には講師用パソコン1台とリモート参加者の状態確認用パソコン1台を配置し、広島事務所のメンバー5人はそれぞれ自宅からパソコンで接続しました。時々、広島側の様子を確認し、質問等に答えながら進めました。

BHN広島事務所メンバー5人が北三瓶研修会にリモート参加
伝統行事「花車(はなぐるま)」の概要を広島の参加者に説明
(2024年11月7日撮影)
● 生成AI活用研修
生成AIが様々なことに使えることを確認するため、「Google Gemini」をインストールして実習しました。
まず、方言にも対応するようになっているという情報があったので、島根県の北三瓶地区の一部でも話されている「出雲弁」(大田市に隣接する出雲市等島根県東部で使われている方言)について対応しているかを試してみました。
「おべた」(「驚く」という意味)等出雲弁の言葉の意味を聞いてみました。更に、地元の名所を出雲弁で説明してほしいとAIに聞いてみました。言葉の意味は、わりと正確に答えていましたが、説明する言葉遣いはかなり違っていました。一方、広島弁の言葉の意味を聞いた場合は、わりと正しく言っていたように思えました。
続いて、手紙の文面や料理の献立等をAIに考えてもらうことも試して、日常生活でかなり使えることを確認しました。
● SNS(インスタグラム)活用研修
インスタグラムで発信されている地元の情報をキャッチしようということで、アプリをインストールしてユーザー登録するところから始めました。
地元の人や団体が発信している情報をいくつか紹介して、気に入ったものを「フォロー」してもらいました。更に、参加者同士で情報交換して関心のある情報を受信する方法を実習しました。

文化祭の作品展示がある教室で
SNS(インスタグラム)活用研修
(2024年11月7日撮影)
● 地域の文化祭・伝統行事
この日の研修会場には、2024年11月10日開催される文化祭に向けて住民の皆さまの様々な作品が展示されていました。この日の研修会参加者の作品もありました。2024年11月3日に5年ぶりに行われた北三瓶地区の伝統行事「花車」(はなぐるま)の概要を、広島の参加者に説明しました。

地域文化祭の展示作品
(2024年11月7日撮影)
● 使用したテキスト「Instagramの利用方法」
この日のスマホ研修会で使用したテキスト、2024年11月版テキスト「Instagramの利用方法(BHN広島事務所・所長 福田 卓夫)」を掲載します。
◆クリックするとPDFが開きます◆
■研修場所、広島県呉市安浦老人福祉会館
2024年11月21日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民8人、この日の研修テーマは「防災訓練実習、西日本豪雨災害を振り返って、Googleマップの使い方」、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。
● 防災訓練実習「段ボール箱を使った簡易トイレの使い方」
先ずは恒例の持ち寄ったお花を生けます。続いて、この日は、参加住民のお一人に地域防災訓練時に教わった『段ボール箱簡易トイレの作り方、使い方の説明』をお願いしました。
段ボール箱2つあれば簡単に作れます。土台となる段ボールは液体等が入っていた丈夫な段ボールを使用します。上に乗せる段ボール箱はU字にくり抜きます。大きなビニール袋を下の段ボール箱に敷いたら出来上がり。約100kgの体重に耐えられるそうです。後始末も凝固剤と消臭袋があれば捨てるのも抵抗はないようで、いざという時のために知っておくと役に立ちそうです。

先ず、生け花からスタートしました
(2024年11月21日撮影)

地域防災訓練時に教わった
『段ボール箱簡易トイレの作り方、使い方の説明』
(2024年11月21日撮影)
● 西日本豪雨災害を振り返って
この日の参加住民の方がヘリコプターで救助された時の体験を話されました。土砂崩れにより道路が寸断され途方に暮れていた時に、ヘリコプターから救助隊員が降りて来て助けてくれた。ひとり一人順番に救助隊員と共に吊り上げられ、自分の番になった時に手荷物は諦めるように言われた。この手提げバッグの中には家族の内服薬や保険証があることを告げると、わざわざ他の隊員がその荷物を運ぶために降りてきてくれた。
安全のために両手でロープを持つことが必須であることから、リュックサックの必要性を感じた。吊り上げられてヘリコプターに乗り込むまでに、恐る恐る自分が住んでいる場所を見下ろすと、あまりにも変わり果てた様子だったのでぞっとしたのを今でも忘れないと話されました。少しずつでも災害時を振り返り、防災・減災の意識付けをすることの必要性を感じました。

災害時を思い出して体験談に耳を傾けます
(2024年11月21日撮影)
● スマホ研修会、Googleマップの使い方
各自、自分のスマホからGoogleマップのアイコンを探す作業から行いました。実際には使ったことがない方がほとんどで、マップのできることを読み上げた時点で感心されていました。自宅の住所を入力してこの会場までの距離を確認してみました。自宅の住所のままストリートビューをタップすると「あら、私の家の前よ」矢印をタップすると前後に進むことも学習できました。スマホを使いこなせれば道に迷うこともないけれど、そのためにはこのテキストを見て何度もやってみないとね、と丁寧にテキストをファイリングしてくださる姿を嬉しく思いました。

『Googleマップの使い方』をテキストに沿って研修
(2024年11月21日撮影)
■研修場所、広島県呉市天応地区
2024年11月27日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、呉市天応地区住民4名+坂町住民1名、この日の研修テーマは「防災情報の活用、Googleマップの活用、LINEの活用、」、講師はBHN広島事務所の沖野 啓子氏(主任講師)、寺岡 和子氏、廣中 香氏、岡崎 幸子氏、杉原 瑞枝氏が担当しました。
● 防災情報の活用
この日は、フェリーに乗船し対岸の江田島市に渡り、災害時も想定した実践的なスマホ研修を予定していましたが、天候不順のために中止。気候の良い季節を待つことにしました。
平常時にも災害時にも役立つ「NHKニュース防災」アプリを開いて、天気予報を確認、雨雲レーダーで30分後に雨が降ることを確認して、予定をキャンセルし、部屋内での研修を始めました。しばらくすると雨が降り出し、かなり強い雨脚になって・・・、「やっぱり中止で良かったねぇ」と納得でした。天気予報の正確さが確認されたのでした。暮らしの中でも、天気予報の確認は大切なことだねと再確認しました。

ベランダから見えるこの日の瀬戸内海
(2024年11月27日撮影)
● Googleマップの活用
スマホでGoogleマップの活用を学びました。皆さんすでに使ったことがあるとおっしゃっていましたが、MAPを開き、できることを挙げてみると・・・。
知らなかったこともたくさんある様子でしたので、一つ一つ丁寧に確認することにしました。 ①先ず、「現在地の共有」が簡単にできることを確認 ②LINEグループに情報を送り、共有できることを確認 ③次に、皆さんで「呉市立美術館」への経路を確認 ④目的地の入力には『音声入力』を練習 ⑤車では何分!徒歩では何時間!とワイワイ、交通機関の料金も分かる!と驚き ⑥「行ってみたい場所を調べてみよう」とはじめは近い所の店舗等を検索
更に「東京ドーム」と言う提案があり、「名古屋ドームにしよう」等と対案が出て、各自それぞれが目指す場所を検索したところ飛行機や新幹線の利用結果等もしっかり確認できて、知らない土地へ行く時には、これがあると安心と分かってもらえたようでした。更に、「ライブビュー」にすると方向がはっきり分かり、歩く時にはこれがいいねと納得しました。普段から車に乗る時にカーナビと併用して、活用している方もいらっしゃいましたが、Googleマップは情報が新しいのがうれしいと納得していました。

Googleマップの活用テキスト
(2024年11月27日撮影)

地図がはっきりして分かりやすいよね!
(2024年11月27日撮影)
● LINEの活用
紅葉のきれいな写真を撮られている方が多かったので、LINEで送る写真に「文字入れ」や「スタンプを追加」を復習しました。毎日の挨拶に応用できるとうれしいですね。

LINEのグループに情報を送り合いました
(2024年11月27日撮影)
■令和6年能登半島地震被災者支援事業に対する広域災害後方支援活動を継続(11)
2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。更に、2024年9月20日から令和6年奥能登豪雨災害が発生しました。BHN広島事務所がまとめ役となり、2024年4月1日に開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。
令和6年能登半島地震被災者支援事業向けに調達した新しいパソコン12台の各種整備作業を実施し、BHN北陸事務所へ発送できる状態に整えました。新しいパソコン12台には、最近のICT研修で好評だったAI活用のテキスト等の資料も追加保存し、現地ですぐに活用できるようにしています。
これまでの活動状況は以下のページをごらんください。
理事(プロジェクトマネージャー)
有馬 修二