ラカイン州グワ郡の学校及び村落における防災支援
及び保健衛生意識向上事業
令和元年度(2019年度) 外務省 日本NGO連携無償資金協力(以下N連)(注)の採択を受け、ミャンマー ラカイン州においてN連事業を2020年1月に開始しました(事業期間2020年1月1日~2022年8月31日)。本事業はラカイン州グワ郡の中学校等に学習支援および村落伝達支援システム(Learning and Communication Assist system for students and residents, LCAシステム)とハザードマップを設置し、それを利用して生徒および住民の防災能力の向上および保健衛生意識向上のための活動を行う計画です。 注:日本NGO連携無償資金協力は、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発事業に外務省より必要な資金が供与される制度。
事業名 | ラカイン州グワ郡の学校及び村落における防災支援、及び保健衛生意識向上事業 |
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対象者 | LCAシステムおよびハザードマップ設置地区の生徒および住民 約16,000人 |
対象地域 | ミャンマー連邦共和国ラカイン州タントウェ県グワ郡 |
実施期間 | 第1年次:2020年1月1日~2020年12月31日 第2年次:2021年3月10日~2022年10月31日 |
協力機関・団体協力機関 団体 | Union of Myanmar Federation of Chambers of Commerce and Industry (UMFCCI、ミャンマー商工会議所) People’s Health Foundation(PHF、国民健康保健協会、現地NGO) (特定非営利活動法人)SEEDS Asia |
- ■背景
- ミャンマー・南部デルタ地帯は海に面しており、サイクロン(台風)や大雨による災害が起きやすい地域です。また、医療機関が少ないうえにアクセスも悪いため医療サービスを受けにくい地域でもあります。当会ではこの地帯にあるエーヤワディー地方域で防災支援事業と保健衛生モデル事業を2008年から行ってきましたが、2019年に所定の活動を終えました。この支援事業は防災力向上と罹病予防に役立っており、現在は新型コロナウィルスの感染予防にも貢献しております。
現在の現事業地のラカイン州タンドウェ県グワ郡はエーヤワディー地方域に隣接する地域で、サイクロンが発生するベンガル湾に面していることや、年間の降水量が5,000mm以上におよぶため災害が起きやすく、医療サービス環境が悪い地域です。そのため、エーヤワディー地方域で行った支援活動を発展させた支援事業を行うこととしました。
- ■活動内容
- 【防災能力向上】
(1) LCAシステムの設置(中学校など30校)
LCAシステムは放送設備と視聴覚設備を有しており、放送設備のスピーカは校内向け用と校外向け用のものが設置されます。現在、グア郡の学校には放送設備がある学校はほとんどなく、教師から生徒への指導事項や連絡事項などの伝達は肉声です。校内向けスピーカは生徒全員への情報伝達を容易にすることができ、校外向けスピーカは学校周辺の住民に向けたパブリックアナウンスに使用されます。サイクロンの襲来時などの非常時には校内・校外向けに緊急情報などを一斉放送することができます。また、健康的に生活するためのメッセージを校内・校外に放送します。
(2) ハザードマップの作成と設置(中学校など30校)
避難場所、避難ルート等が示されたハザードマップを校内、及び校外に設置し、地域防災力の向上を図ります。
(3) 教師向け防災研修会
日常的にも防災の指導ができるように各校の教師に参加を呼びかけ、防災研修を実施します。
【保健衛生意識の向上】
(1) 生徒および住民の健康状況調査
LCAシステムが設置される地域の生徒および住民の健康状況把握のためベースライン調査を実施し、支援活動に反映します。また、ベースライン調査結果をもとに健康状況報告書を作成します。健康状況報告書は医療行政に活用することにより、グワ郡全体の住民の健康改善に役立たせることが期待できます。
(2) LCAシステムを使った保健衛生授業
LCAシステムの視聴覚設備を使って保健衛生授業を行います。授業では、感染症がどのようにして感染するか、どのように予防するか等を生徒に教えます。また、手洗い励行など保健衛生上日常行うべきことやその重要性をビデオなどを使って分かりやすく教えます。また非常時には国営テレビ放送を通じて災害情報を得ることを教えます。
(3) 保健衛生研修会
日常的に生徒に保健衛生指導を行えるようにするため、LCAシステム設置校に村の保健衛生関係者と教師で構成された保健衛生ワーキンググループを置き、グループメンバーに対し保健衛生研修を行います。研修は、ベースライン調査結果をもとに村の実態に合わせて行います。また、研修に加え、活動状況の確認、活動方法の改善指導や下記(3)項のメッセージ集の解説などを行います。
(4) メッセージ集の作成
ベースライン調査結果などをもとに、保健衛生意識向上のためのメッセージ集を作成します。メッセージ集のメッセージは、生徒および住民に向けて放送されます。
- ■成果
- 本支援事業により、生徒や住民が自らの判断で避難行動をとることができるようになり、災害時の被害が軽減されます。また、日常において保健衛生を意識した生活行動をとるようになり、罹病が低減されます。
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LCAシステムの構成
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Ma Kyae Ngu Village(マカイエグ村): ハザードマップ設置風景
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Ma Kyae Ngu Village(マカイエグ村): ハザードマップ前の集合写真
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Ma Kyae Ngu(マカイエグ村):初めて見るハザードマップで 防災の勉強をする生徒
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Kwin Gyi Village(クインジー村): 助産師さんによる健康状況の聞き取り調査
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